第8話
・・・そんなこんなで、教主の館(神殿の裏に建っている)で教主のハーディンとやらに
話を聞いているのだが・・。
どうにも、油断のならない男だ。本当の事を話していないような・・何か裏があるような。
大体「教主」と聞いた瞬間、ハゲたオッサンを想像してしまったが、目の前にいる教主は
俺より少し年上・・年の頃24,5といった感じか。頭はもちろんハゲじゃなくて、
シルバーブロンドの美しい髪がなびいている。
こいつより年上の信者も沢山いるってぇのに、教祖の家柄ってだけでいい身分だ。
「秘術書については確かに知っていますが・・詳しい情報ではないのです。
場所の特定まではさすがに出来ませんね・・」
微笑をたたえたままハーディンが説明する。
(不思議な男だ・・)
テュールも訝しげだ。
「そ、そうですよね、ははは、教主様はご存知ないと・・」
ロルト、こいつよほど教主が恐ろしいのかこびへつらってばかりいる。
「俺の、この身体を戻すのに必要なんだよ。どんな小さな情報でも良い、教えてくれ。」
俺も頼み込む。
「陽の書に書いてある術ならば・・確かにどんな呪術でも解く事が出来ます。
しかし陰の書に書いてある術は・・とても恐ろしい術です。」
・・口では恐ろしいといっているがやはり微笑をたたえたままだ。
「陽の書と、陰の書はひかれあいます。二つ一緒にあるか・・あるいは・・手にすれば道しるべと
なるのか。・・どちらにせよ、陰の書に関わってもらうのだけは避けたいのですがね・・」
「そんなもんに興味ないっての!陽だけあれば十分、陽だけあれば。」
「盗賊としては両方興味あるけどなぁ〜」
こ、この大馬鹿チャージっ!!!
「チャージ!」
俺はすかさずたしなめた。
「はははは、冗談、冗談〜」
・・まったく、こいつときたら最初はちょっと本気っぽかったぞ・・。
「フフ・・まぁ、エーテルの秘法を記した書ですからね・・使える者が限定されるのもそうですが、
触れられるかどうか。」
あーどいつもこいつもエーテル教のやつらはネガティブ思考かよ!
「まぁ、こちらとしても見つけておきたいのでね、触れられたら一度持ち帰ってください。
それを条件に、これをお渡しします。」
おおおお、あまりネガティブじゃない教主はそう言ってペンダントを俺に渡した。
「これはエーテルの力を感じると、光ります。我等の呪法によるものですがね。」
むむ、そう聞くといい気はしないが、こりゃぁいい手がかりだ!
俺は礼儀も忘れて館から勢いよく飛び出した。
さぁ、捜索開始だ!!