第4話
ドルイド国のリシア姫が呪いで犬に------人の不幸は何とやらと世間では言うが、全くその通り、
俺としては仲間が出来たみたいでうれしいのである。
(不謹慎な奴め・・)
「うるさいっ、これも魔王のせいだっ!」
「でもさ〜・・」
さっき知り合った盗賊の男が俺に話し掛ける。考え込んでるふうだが、口調のせいで深刻に
見えない。
「どんな呪いなのか公開しないのに呪いを解けって〜のも変だよな〜」
やけに明るい口調で、核心をつくな、こいつ。
確かに、俺も引っ掛かりを感じていた。
(呪術は魔術のように系統がないからな、呪術師ならば呪術の範囲である限り何でも解呪可能
なのだろう)
「ほぉ〜、物知りだな、アンタ。」
初対面でテュールの姿にすら違和感を抱かないとは・・恐るべしこの男。
だが、まだ何かひっかかる。呪術師を招くくらいなら、お触れで直接募ればいいはず・・。
あ〜!!考えても仕方ない!俺の中にあるのは俺のこれからのサクセスストーリーだけだ!
俺が姫の呪いを解き、俺自身の呪いも解き、勇者である身分を明かす。
そして俺は姫と結婚・・!
(・・・はぁ・・・)
テュールは深いため息をついたが、こーしちゃいられない。
行動だ、行動!!
俺は立て札の前を足早に立ち去ろうとした。
「お〜い、待てよ〜」
「何?何か用?」
「手がかりないんだろ〜?俺色々知ってるからさ〜、一緒に行こうぜ〜」
むむ、正直こいつ同行となると不安が胸をよぎる。
しかし・・手がかりはないし・・俺は苦渋の決断をした。
「あ、ああ・・」
(・・面倒な奴が増えたな・・)
テュール、すまん・・手がかりのためだ、そりゃ俺だってだなぁ・・。
「あ、そ〜だそ〜だ、自己紹介、まだだったな〜俺はチャージ。盗賊のチャージだ。よろしくな〜」
「俺は、ルーク。」
(テュールだ。)
自己紹介の温度差を全く感じていない様子のチャージは、一人意気揚揚と先頭を歩き始めた。
「で、どこに行くんだ??」
張り切りのあまり先行しすぎているチャージに話し掛けたため、自然声が大きくなる。
「この先に、呪術を信仰しているエーテル教の村があるからな〜、そこに行けば呪術系の事は
何でも分かると思うぜ〜」
呪術の・・村・・?俺はその様子を想像したが、悪寒がしたためにすぐにイメージを振り払った。
魔王よりヤバそうだぞそりゃ。
(ふふ、興味深いな)
テュールとの価値観の違いに俺はため息をつく。
こんな事なら日頃から神聖魔術でもやっとくんだったよ〜・・。
「お〜い、はやく〜!」
俺の気持ちを反映してか、足取りは重かった。