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SARU QUEST  作者: charenger
22/22

第22話

「あ、あの、テュールさん??」

(なんだ??)

俺は、あまりの状態に面食らい、いささかキャラ設定を無視した口調で話し掛けた。

「これはなんだよ!!!??」

ありえない。認めないぞ〜!

認めたら俺の中でモラルが崩れ去る事になる〜!

確かに、黒い球体とか、サルになったりとか、非常識な事がいっぱい俺の身の回りに

ありますとも。

モラルなんて言葉俺の口からは出せないと思ってたね。

でもねぇ・・。

俺ら、浮いてる〜〜〜ッッッ!?

(昔は珍しくなかったのだがな。魔術師人口の変化と、レベルが低いのとで

今は滅多に見かけない。)

「何冷静に説明してんだー!?ハーディン、あんたも常識から外れてる部類だけれども・・」

吹き上げる風が、俺の言葉を伝わりにくくしている。

なんてったって、全員持ち上げるような風だ。

魔方陣の上に乗って、テュールが何やら言った途端、凄まじいまでの風が、俺らを押し上げた。

ハーディンなんかローブ着てるから、風が中で暴れて、まるで焼きたての餅のように

ふくらんでいるのだった。

「・・・・」

それでも冷静なのがおかしいよこいつ・・。

毛並みが逆立つのが分かる。悲しいほどサルなのだ、俺。

ひゃぁ・・すっかり離れた地上からは両手を広げて、優雅に宙を舞っているようにでも見えるのだろうか。

押し上げる風が鼻に入って息苦しいし、本来の俺の姿だったら髪も踊り狂っていることだろう。

(・・ぞ、気をつけろ)

「へ?」

テュールの声が聞き取りにくくなったのは、さっきにも増して風圧がかかっているからだろうか。

(ルーク!!!!!)

「うわっ!!?!?!?!?!?」

ぶ、ぶつかるーーー!?

思わずそう叫ぼうとした口に風が流れ込んできて、俺はむせた。

わずか5m程上を見上げると、真ん中に穴の空いた、石造りのドーナツ状のものが浮かんでいる。

風は魔方陣から、その中心の穴にむかって吹き上げているのだった。

俺は外側のほうにいたため、気がつかなければ頭をうつところだった。

「あ、あぶねぇー!」

なんとかドーナツの真ん中から円盤状のものの上に上がった俺ら。

「随分と高い所に来たな。」

ハーディンが言うので、俺も見下ろす。

魔方陣の形などは当然分からず、広大な森はまるでパセリみたいに見える。ちらほら

地面にある斑点のようなものは、おそらく人間(猿か?)だろう。

円盤自体、半径100mはあったから落ちる心配はなかったが、はじっこからみおろして

いたため、やはりゾッとして後ずさってしまった。

(ルーク、そこだ。)

「ん?」

テュールが何事か俺に教えるので、俺は風が吹き上げる穴の、向こう側を見た。・・何故気付かなかったのだろう、エーテル教のと同じような、神秘的な神殿が、浮遊した頼りない地盤の上に、しっかりと建っているのだった。

この浮遊する円盤もそうだが、本当に不思議な、俺の知らないものってこの世界に

沢山眠っているんだなぁ・・。

神殿は、かたく扉を閉ざしていた。










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