第16話
ほぁぁぁ〜。
広場のベンチで、俺は一人ため息をついていた。(テュールもいるけどな)
手がかりが飛んでったんだぞ!?
一体なんだったんだありゃぁ。
ピカソ顔負けのダイナミック・アートだよ空飛ぶ球体なんて・・。
城下町の物見高い連中が集まってこないところを見ると、やはりあの球体が注目を集めたに違い
ない。
人影もまばらである。
(ルーク、どうするんだ。チャージの事、このままにしておくわけにはいかないだろう。)
「わかってるよ、ったく。」
悪態をつきながらも、必死で思考をめぐらしている俺。
・・と、その時!!ひらめいたぁぁぁぁーーーーーー!
ひらめいたぞーーーーー!!!!!!
いや、正確には「思い出し」たぞーーー!!
まぁ、認めたくはないが単純な俺にしては上出来ってところだろう。
「テュール、茂みに隠れた時の事おぼえているか?」
(ああ。当然だろう。それがどうした?)
テュールも気付いてない!!!俺は何百年という悠久の時をかけて培われた知恵にかったのかーー!?
「あの時ハーディンが耳打ちされて、血相変えて逃げ出しただろ。この事と無関係とは思えないんだよな。」
(フ、まさにサル知恵か。)
テュールが揶揄する。
こいつは一言多いんだからな・・。
だが、認めざるをえないだろーこれは。
「テュール、いくぞ。」
(サルは行動に移すのがはやいのか。)
「剣は文句が多いのかよ!?」
俺らの他愛もない駆け引きを見ている連中も、家に帰りはじめた。
もともとまばらだった人影が、さらに少なくなってゆく。
空を見上げると、オレンジ色の光の膜が幾重にも俺らを包んでいた。
「急がなきゃな。」
俺は村までの道を思い出して、吐き気をもよおした。
が、仕方ない。急いで村に向かうことにした。