第14話
「おりゃぁ〜!うりゃぁ〜!」
あ〜っ、意気込んだのはいいが次から次へと追手が来る。
地下からの階段を上りきった所に待ち伏せていた奴が大声をあげやがったせいだ。
く〜っ、さっきまでは平坦だったから戦いやすかったが、この城、典型的な
「高い所に偉い人がいる」タイプの造りらしく、らせん状の階段を上らされている。
上からも下からも、スケルトン(骸骨)の兵士が怒涛のように攻撃を仕掛けてくる。
(さすがに、キツいな・・)
「もう少しだ、もう少しっ!」
その言葉に根拠はなかったが、そう思わないとやっていられなかった。
俺は気合を入れなおしテュールを振り回す。
スケルトンどもはバラバラになり、階下に落ちていった。
俺の太刀筋は、さっきから横になぎ払うタイプのもの一種類だけなのに
こいつらときたらガードもしない。
(この魔物は知能が低いな・・)
テュールも同じ事を考えていたようだ。
俺は骨の道を切り開き、ついに階段を上りきった。
目の前には、見たこともないような豪奢な造りの扉。
魔王城の扉もかなりのものだったが、これには及ばない。ありとあらゆる
宝石がちりばめられ、金箔に覆われている。
他の扉にはこういった特徴はみられなかったから、おそらくこれが王の部屋だろう。
(行くぞ、ルーク)
「おう!」
俺はテュールを構え、扉をあけた。
「!?」
部屋には、誰もいない。玉座らしき物もあるが、やはり誰も座ってはいない。
「王の間だよな・・何で誰もいないんだ?」
(罠だったのか・・?)
罠の線も薄い。気配が全くしないからだ。
「でもよー・・ん?」
俺はあたりが眩く輝くのを見た。
いや・・ペンダント?ペンダントの僅かな光が、力強いものになっているのだった。
「これは・・?」
(玉座の下に向かって光の道が・・)
突如できあがった光の道が、玉座の下にむかって伸びていた。
俺は、急いで駆け寄る。
(何かあるのか?)
「・・・ん〜・・ん!?」
(どうした?)
「こ、これは・・・!」
(エーテル教の書物・・・!ということは!)
「ああ、これが・・・!」
間違いない。俺が今手にしているのは秘術書だ。
それも、太陽のような紋章から察するに陽の書。
よ・・よっしゃ〜〜〜〜〜〜!!!!!!
これであとは術師に術を使うだけ〜〜!!!
それで・・それで・・
「やっと人間の体に・・」
おっと、うれしさのあまり声に出してしまった。
が、喜んだのもつかの間。
ペンダントの光が物凄い勢いで反対方向に伸び始めた。
それも、目では追いきれないほど遠く、長くに。
「!?どういうことだ!?」
(む、もしや・・・)
「な、なんだよ?」
(ルーク、追うぞ!)
「へ?」
(いいから、はやく!!)
「あ、ああ・・。」
テュールの物言いに圧倒されて、俺は走りはじめた。