第12話
「フフフ・・しかし姫の身体は使い物になりませんでしたねぇ。」
「フン、この国の王とて使い物にはならなかったのだ。当然だろう。」
俺は、いまいち状況が飲み込めない。
国王が、国王のことを使い物にならなかったとかなんとか言っている。
何だ、こりゃぁ。
(これは・・・)
テュールは察してるようだからなんかムカつく。
・・が、そんな場合じゃなかった。
「フフ・・茂みの中に隠れるとは。何のつもりなのだか。滑稽で仕方がないな・・」
!!!!
「出て来い、そこの奴ら。」
国王の部下も俺らに呼びかけた。
「くっ・・」
俺は観念して、出て行こうとした。
が、その時。
チャージの幸運か、そうでないのか、俺らの居る所と違う茂みがガサガサと動く。
「フン・・馬鹿め。」
国王の部下が罵る。
暗闇の中目を凝らして見るとそこには、あの教主ハーディンがいた。
「やはりバレたか・・術を使うと気を読まれると思ったんだが、裏目に出たか。」
「術・・だと。そうか、お前エーテル教の・・その紋で分かった。」
「都合がいいですねぇ」
「フフフ・・ここに来たという事は、我らの目的もわかっているだろうしな。
術を使うのか、使わないのか。どうなんだ。」
フッ、とハーディンは笑う。
「隠れて様子を伺っていたことからはこちらの考えは分からないのか?」
「こいつ・・。」
「最終段階に入るまでもう少しだからな、慎重にいこう。」
「ですが・・」
「なぁに、国王も姫も殺した。兵も全て手ごま同然。あとは術を発動させるだけだ。」
「術はお前らには扱えない。」
「フ・・代価をお前のような優秀な術師の命とすれば容易いこと。」
こいつら、勝手に話進めてやがる。
だが、偽国王がハーディンに何やら耳打ちすると、ハーディンは血相変えて走り去った。
「・・・?」
(なにを吹き込んだのだ・・?)
「・・さて、次はお前らだ・・気付いてないとでも思ったか?」
俺は突然話をふられてドキッ!とした。
だが、今度こそ観念するしかないようだ。
俺らは姿をあらわにした。
「フフ・・全て聞かれてしまったな・・」
「どうしましょう?」
「ム・・これは・・使えるやもしれん・・まさか・・・」
???使える・・?俺か?サルなのに・・
(術師でもないのに生贄の資格などないはずだがな・・何に使えるというのだか。)
「ま、生き延びれそうじゃねぇ〜か〜」
「フ、面白い。牢にぶち込んでおけ。調べ終わりしだい、処分を決める。」
しょ、処分って・・・。俺は血の気がひくのを感じた。
なんせサルになってからマトモに戦えない。
最悪の場合これは・・。
俺らは部下数人に連れ去られた。
俺の青春返せ〜〜〜〜〜〜!