5話 異世界の理
…………
はっ!!
今何時!?
スマホ、……。
手元にないことに気がついた。寝ているのはベッドじゃないし、横には本棚も、勉強机も、タンスも無かった。
……どうやら、昨日の出来事は、夢ではなかったみたい。
にしても、今が何時かわからないのはキツイね。
体内時計的には、6:30くらいだと思うけど……。
日は昇っているみたい。
昨日は、ご飯を食べなかったので、お腹が空いている。
まぁ、どうやって火をつけるかがわからなかったから。
火が使えないと、料理もできない。
乾電池とスチールウールは売っていないの?
そんな事を考えていたら、コン、コン、コン、と、戸をノックされた。
誰だろう?
戸を開けた。
「おはようございます! ミカさん、荷物、まとめてきましたよ」
あー、そうだった。ルリさんをこの家に住まわせることにしたんだ。
「おはようございます。一番奥の部屋に入れてください。私も手伝います」
「本当ですか? ありがとうございます」
◇◆◆◆◇
荷物を入れ終わった。ルリさんに教えてもらおう。
「ルリさん、火って、どうやってつけるんですか?」
「台所に、石はありませんでしたか?」
あった気がする。わたしたちは台所に移動した。
「これです。これに魔素を込めると、触れている金属に熱を与えます」
知らない言葉だ。
「魔素っていうのは…」
「魔素とは、大気中や生物の体内に存在する粒子のことです。スキルや魔法は、魔素を用いて発動されます」
「その台座に、魔素を込めた石を置いて、フライパンを乗せるとフライパンが熱くなります」
「便利ですね」
「触っても熱くないんですよ、ほら」
台座に置いた石を触ってみせる。
「魔素を込めてみてください。怖いので、鍋の上でやってください」
ルリさんが使ったものとは別の石を渡された。数種類あるみたい。何が始まるの。
「どうやって込めるんですか?」
「手のひらに感覚を集中させてみてください」
こう?かな。難しい感覚だ。
「きゃっ」
石から水が出てきた。
「成功ですね。ミカさんも、魔素を込められるようになりました」
やった。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
その後、ルリさんに勝手を教えてもらいながら、野菜炒めを作って、お米を炊いた。
料理できるかは聞いてくれたけど、日の使い方は教えてくれなかったなぁ、シノさん。
異界人は難しいよね。
「そういえば、ミカさんは、どんなスキルを持っているんですか?」
シノさん、知らせてなかったのか。私もよくわからないけどね。
「『栽培』と『収納』、でしたっけ」
「『栽培』ですか?すごいですね」
収納はすごくないのね……。
「どんなスキルなのか、知ってますか?」
「勿論です。『栽培』は、農民なら誰しも憧れるスキルですからね。
簡単に言うと――植物の成長を促進させる効果です」
優秀じゃん。
「便利なスキルなんですね」
「ミカさんは『勇者』なんですよね? だったら、それ以外の効果も付与されているかもしれませんよ」
初耳。
「職業、『勇者』になにか意味が?」
「『勇者』は、所持しているスキルの能力を大幅に上昇させます。あとは、寿命がとても長くなるというのも有名ですね」
「なるほど、では、使ってみないとわかりませんね」
「いえ、栽培は常時発動系のスキルなので、ミカさんが、種を植えたら効果が発揮されると思います」
「そうですか…。『収納』はどんな効果なんですか?」
「『収納』は、物を出し入れする能力です。通常、中の大きさは本人の最大魔素量に比例します」
「魔素量が多ければ多いほど、大きいものを収納できるんですね」
「はい。大きさは体積のことで、質量や長さは関係ありません。『収納』は、すべてのスキルの中で最も所持者が多いスキルとされています」
紙とか、薄いものだったらたくさんはいるってことか。結構あたりまえ的なスキルなんだね。
「ありがとうございます」
「あっ、そうだ。『収納』の中にものは入っていませんか?」
一度も使っていないから、入ってはいないと思うけど。
「入っていたとして、どうやって出すのですか?」
「胃の中から、物を掴んで、外に投げるイメージをしてみてください」
吐きそう。その例えどうにかならないの?
――ポンッ
取り出せたみたいだ。
机の上には、小さな箱に入った種がある。
「思ったとおりですね。異界人は収納の中に、最初から物が入っている場合が多いと、本で読んだことがありました」
「これは……?」
「視た感じ、トマトの種みたいですね」
「わかるんですか?」
「はい、私は『鑑定』のスキルを持っていますから。もっとも、植物以外を視ることはあまり得意ではありませんが」
私の助手は優秀か。
「すごいですね、視ただけでわかるなんて」
「撒いてみますか? 道具は家から持ってきていますので」
「そうですね。『栽培』の効果も試したいところですし」




