御守りの落とし物
「また、御守りの落とし物ですよ。近頃多いんですよね」
谷口は駅員室の落とし物入れに、御守りを放り込んだ。古びた御守りだ。もう何度もみた気がする。
「え、おまえ、それ拾ってきたの??」
駅長の加賀森がメガネをクイっとあげた。すっと立ち上がると、帳簿の入った棚をゴソゴソと漁り出す。
「谷口、これ、見てみろ」
加賀森が帳簿を突き出した。落とし物の返却記録だった。ある程度のカテゴリーで分けられていて、新しいものが手前、後ろに行くほど古いもの。落とし物の内容と、返却時に取らせてもらった身分証明書のコピー。
谷口は御守りの該当カテゴリーを開き、順にページをめくっていく。御守りと記されたページが、次々に現れる。そのカテゴリーなんだから当然だ。
「これが、なにか?」
「なにか気づかないか?」
「?」
再度、ページをめくる。
御守り、拾得日、返却日、身分証のコピー
1枚ずつ、間違い探しでもするかのように、丁寧にページをめくる。
つと、谷口の手が止まった。
前のページに戻る。
その前のページ
更にその前のページ…
「加賀森さん、これって」
「拾得日の年数、凄いだろ?」
「いや、そんなことより、全部同じ人じゃ…」
コンコンコン
駅員室の窓口を叩く音。
谷口はそっと窓口の方を見た。
さっきまで見ていた顔、だった。




