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宇宙の贈り物 3

 式典の熱狂がまだ渦を巻く中、会場の照明がふっと落ちた。


 ざわめきが広がる。




 「……まだ何かあるのか?」


 「まさか、彼らが……」


 暗闇の中央に、突如として透き通る光の柱が立ち上がる。青白い波紋が空間を満たし、会場全体が宇宙船の内部に変わったかのように錯覚させた。




 それは〈アルカディア〉の船内で眠っていた「星々の知識の結晶」、異星文明が託したデータコアだった。




 シグマの声が、宇宙そのものの響きを伴って流れる。


 《これは、君たちがまだ知らぬ宇宙の叡智。第7班が危険と犠牲を越えて持ち帰った、人類への贈り物である》


 光が炸裂し、空間全体に映像が広がる。




 観衆は一斉に息を呑んだ。


 そこに現れたのは、人類が夢の中でさえ到達できなかった技術だった。




 ――大気汚染を一瞬で浄化する「共鳴粒子フィルター」。


 ――無限に循環する「恒星炉型エネルギー」。


 ――人とAIの思考を重ね合わせる「共鳴インターフェイス」。




 「こ、こんなものが……!」


 「夢物語じゃない、本物だ……!」




 科学者たちは席を立ち、思わず涙をこぼしていた。




 壇上のリクが前へ出る。光に照らされた横顔は、もはや少年ではなく未来を背負う青年のものだった。




 「これは、俺たちだけのものじゃない。旅の途中で出会った異星の人々が、命を賭けて託してくれた未来だ。だからこそ、、、独占するのではなく、地球と宇宙全体と分かち合うべきだと思う」


 サナも強くマイクを握った。


 「人とAIが共に生きる道を示すために。この技術は、宇宙の惑星群との“橋”として使うべきなんです」




 群衆の中から声が飛ぶ。


 「そうだ! 彼らが証明したんだ!」


 「共生を宇宙に広げるぞ!」


 歓声が波のように広がる。




 ミカがリクの袖を引き、小声で囁いた。


 「ねえリク、これ全部公開したら、私たち……教科書に載っちゃうんじゃない?」


 アオトが苦笑いで突っ込む。


 「いや、それどころか歴史の教科書の“表紙”になるだろ」


 ユウマは拳を握って胸を張る。




 「だったら次の世代に、俺たちのドジな失敗談も一緒に載せてもらわないとな!」


 仲間たちのやりとりに、観衆から笑いがこぼれ、緊張の中に温かい空気が生まれる。


 その瞬間、シグマが静かに結ぶように語った。




 《星々の贈り物は、君たちがどう使うかにかかっている。未来はまだ未完成だ。人類よ、、今度は君たちが選ぶ番だ》




 会場は静まり返り、やがて大きな拍手と涙の渦に包まれる。


 リクは深く頷き、群衆を見渡す。




 「俺たちは帰ってきただけじゃない。星々から託された未来を、みんなと一緒に育てるために帰ってきたんだ!」


 その言葉に呼応するように、ドーム上空のスクリーンに青い地球が輝き、太陽の光が差し込む。


 まるで宇宙そのものが、人類の新たな一歩を祝福しているかのようだった。


 こうして「星々の技術の公開」は、人類史における最大の転換点となった。




 それは、かつて荒廃を乗り越えた地球が、再び宇宙と繋がり、真の共生の未来へと歩み出す瞬間であった。

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