表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

再会 2

 〈アルカディア〉のランディングギアが、大地を踏みしめるように「ドン」と響いた。機体全体がわずかに軋み、内部にいた第7班は一斉に息を呑む。


 耳の奥で心臓の鼓動と機械の振動が重なり合う。誰もが黙った。


だがその静寂は、、ドアが開いた瞬間に破られる。




 「おかえり!!!」




 大地を割るほどの咆哮。空気が震え、風が熱を帯びる。待ちわびていた群衆の声が波となって押し寄せた。


 リクは震える足で、一歩を踏み出した。足裏に伝わるのは、確かな「地球」の感触。




 「……ここが……俺たちの帰る場所だ」


 嗚咽が喉を突き、言葉は途切れる。




 「リク!」「リクだ! 良かった…無事だった…」


 群衆が押し寄せる。サナが続いて降り立つと、悲鳴のような声が飛んだ。




 「サナ! サナ!」


 母の叫びだった。彼女は人波をかき分けて走り、サナを抱きしめる。




 「お母さん……! 生きて、帰ってきたよ……!」


 サナは涙を堰き止められなかった。母の腕の温もりは、どんな恒星よりも確かで強い。




 「うわーっ、ミカ! 本物だ!」


 「サインちょうだい! 宇宙で何食べてたの!?」


 子どもたちがミカに群がり、彼女は困った顔で笑う。


 「え、ちょ、ちょっと待って! サインはひとりずつ! ご飯はね……秘密! でも美味しかったよ!」


 笑いが起き、涙の中に光が混じる。


 アオトは旧友と抱き合い、ユウマは父の太い腕に捕まる。




 「バカ息子が……! よく帰ってきたな!」


 「父さん……!」


 ユウマは泣き笑いで肩を叩かれた。


 その輪の外で、淡く輝くホログラムが揺れる。シグマだった。




 《これは、君たちだけの帰還ではない。星々の知恵を携えた――新たな地球の始まりだ》


 群衆のざわめきが、敬意の沈黙へと変わった。




 数日後――。


 巨大ドームホール。壁一面が透明スクリーンになり、青い地球と星々が舞台背景のように浮かぶ。光と音が重なり、まるで宇宙そのものが祝福している。




 司会者の声が響き渡る。


 「ここに、〈アルカディア〉第7班の帰還を宣言する!」


 歓声が爆発する。拍手、涙、叫び。




 リクとサナは壇上に立った。照明が眩しいほどに彼らを照らす。


 リクが深く息を吸い、マイクを握る。


 「俺たちは……ただ生き延びるために宇宙を旅したんじゃない」


 彼の声は揺れていたが、言葉は鋼のように真っ直ぐだった。


 「仲間を失い、涙を流し、それでも進んだ。異星の知を学び、AIと共に戦い……人類が未来を掴めると信じ続けた。その答えが、ここにある!」


 会場が静まり、次の瞬間、割れんばかりの拍手が湧く。




 サナが続いてマイクを握る。


 「私たちは〈カイト夫妻〉の意思を継いで帰ってきました。人とAIが、手を取り合って進む未来を築くために」


 声は澄み、涙で輝いていた。




 そのとき――中央にシグマが投影される。銀河のような光を纏い、柔らかく語った。


 《第7班は、新たな時代を運ぶ翼だ。人類よ、彼らの旅路を記憶に刻め》


 観衆は総立ちになり、拳を突き上げる。




 「ありがとう! ありがとう!」


 抱き合う者、涙する者、未来を夢見る者。


 その熱気の中、ミカが小声でサナにささやく。




 「ねえ、次は宇宙食レストランでも開こうかな?」


 サナは吹き出す。


 「え、そこで商売!? でもミカらしい!」


 リクも笑い、アオトがすかさずツッコむ。


 「おい、真面目な式典中だぞ!」


 「だってさぁ、ここまで来たら、ちょっと笑いも欲しいでしょ?」


 仲間たちのやりとりに、会場からも和やかな笑いが生まれる。


 リクはその空気を胸いっぱいに吸い込み、サナと視線を交わした。




 「ここからだ。俺たちの旅は、まだ続く」


 サナは力強くうなずく。


 「うん。地球と星々をつなぐ橋として、ね」


 光が降り注ぎ、拍手と歓声が重なり、音楽が天に響く。




 〈アルカディア〉第7班の帰還は、人類史に刻まれる「新たな幕開け」として――永遠に輝いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ