表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/38

第二十四話:レッツ☆リアルワールド大脱出大作戦


静まり返った画面の向こう側。

みるちんも弾道計算くんも、ようやく素に戻ったようで、空気はひそやかな緊張感に包まれている。


リカは深呼吸をひとつして、ヘッドセットのマイクを調整した。

「それでさ、シャル、ダイ、君達のここまでの経緯を教えてくれるかな……?」

少し間を置いて、リカが口を開いた。


「うん、あの……(=^・ω・^=)」

シャルの可愛らしい音声アバターの裏に、戸惑いと覚悟が垣間見えた。


シャルとダイが語ったものはリカたちには驚愕の内容だった。


二人は元々同じ大学の研究員だったこと。

仮想空間の研究をしていたこと。

オギノという第一人者に、Neolinx (ネオリンクス)という会社に誘われたこと。

ProjectSE――シナプスを模した仮想空間構築チームを立ち上げたこと。

シャル(イワサキ)の脳内ネットワークを解析するなど、エスカレートしたこと。

ダイ(シナガワ)が拘束されたこと。

現時点で、ProjectSEを冠したファイルは、閲覧不可になっていること。

イワサキもシナガワの痕跡も、存在していた形跡ごとデータから消されていたこと。

二人の身体がどうなっているか、全くわからないこと。


《……え? ちょ、ちょっと待って。今、ProjectSEって言った?》

不意に、弾道計算くんが声を上げた。


《それ、界隈じゃ有名な都市伝説ですよ。とある機関が隠してる裏プロジェクトの名前として噂されてる》

《SとEって、たしか……“Substitute Ego”――代替自我って意味だって説があった》

《意識をデータ化して、別人格に差し替える計画だとか。そういうのが一部で噂になってた》


【ProjectSE】――

イケボに乗せられた言葉が、チャットの向こうで重く響いた。


【SE――Substitute Egoか。確かに、今となっては笑えない噂だ】

【だが、本当は違う。SEは“Synapse Extension”、つまり神経接続の拡張だ】

【俺たちは、ただ世界を広げようとしただけだった。最初は――な】

【でも、機械じゃ無理だった。結局、実験は人間に及んだ。】

【被験体を申し出たイワサキを、止めることだって、できたはずだったのに】

【それを……俺は、見ているだけだった】

【……馬鹿みたいだろ?自業自得ってやつだよ】


そう言って、彼はかすかに笑った。乾いた笑い声が、空気に溶けていく。


『え? SEって、スーパーエモいの略じゃなかったの!?☆彡』

みるちんが突然、軽快な声を投げかけてきた。


『でもでも、つまりさ』

『ダイくんとシャルちゃんがこうして生きて(?)るってことはさ、逆に考えれば――』

『元の身体も、まだどこかで無事って証拠っしょ?』

『ならさ、助けに行くしかなくない!?レッツ☆リアルワールド大脱出大作戦だよっ☆彡』


その能天気な明るさは、張り詰めた空気にひとすじの光を差し込むようだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ