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春の学校エッセイチャレンジ 

農業高校の課外授業

作者: 恵京玖

 一応、農業高校だったので課外授業で山へ行っていた。マイクロバスに揺られて、田舎の寂れた町から僻地のような何にもない、山で授業をするのだ。

 実を言うと本当は低すぎて丘なのだが、ここでは山と呼んでいた。


 山へ行って何をするのかと言うと竹を切るのだ。

 たくさん生えてきた竹を、十六の乙女がノコギリで切って整備する。十六の乙女が、である。

 やっていることが童話に出てくるお爺さんの仕事みたいだなと思いつつ、竹をギコギコと切って、その辺に捨てるのだ。竹取の翁だったらかぐや姫が入っている輝く竹があるはずなんだけど、十六の乙女の前にそんなものは無かった。

 もう一度言おう。十六の乙女が竹取の翁みたいな事をするのである。まあ、農業高校だからしょうがないと思うが、まさか竹取りするとは思わない。


 その後に草刈り機で草を刈る。ようやく現代機器が出てきた。使い方を教えてくれた先生曰く、草刈り機を使いこなせれば、農家の嫁に行けるらしい。


 ……え? 私ら、農家の花嫁修行しているわけ?


 そんな疑問は他のクラスメイトもあって、「いや、別に農家に嫁ぐ気は無いんだが……」と言っていた。

 ちなみに農家の我が家に嫁いだ母は「私は草刈り機を使った事が無いわね。危ないから、やらなくていいって言われているから」と話す。そして母は「いい経験になったわねー」と呑気に言っていた。

 それにしても農家の花嫁修業か。……なろうの小説だって、そんなことしねえよ。

 そんな花嫁修業は続く。薪割りもやり出して、農家じゃなくて山男に嫁ぐ人間育成をしているんじゃないのかって思う。


 でもこうして文句タラタラ書いているが、課外授業は割と好きだった。いつもの教室じゃなくて常緑樹が広がる山は開放的だし、空気もおいしいし、遠足みたいで楽しかったのだ。しかも昼食もここで作って食べるのだ。焼きそばとかフルーツポンチとか食べておいしかった思い出がある。


 教室では学べないことを課外で学ぶのだが、いつまでも忘れられない学びがある。


 それはマイクロバスで山へ行く途中の事。生徒たちはマイクロバスに乗って、何人かの先生は車で向かっていた。何事もなく普通の国道を走っていると後ろを走っていた先生の車が、警察車両に止められていた。


 何やら先生は車を空き地に止めて、外に出て、警察と話していた。


 マイクロバスに乗っていた生徒も先生も、どうした? と疑問に思うが、警察はずっと先生と話している。

 そして小さくなっていく先生と車を見ながら、私達は山へと向かって行った。

 この時、私は先生でも警察に呼び止められるんだー……と言う学びを得た。これは教室では学べない事だったと思う。しかも目の前で見れるのだから、思いっきり印象的だった。


 ちなみに先生はシートベルトをしていないことを警察に咎められて車を止められた。後日、罰金を払いに行ったようだ。


 みんな、交通ルールは守ろう。






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