表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

68/105

第67話 安心

「ぐぅぅぅ……な、なんだ貴様らは?くそっ……侵入者だぞ何をしておる!」


俺のビンタで目覚めたコーダン伯爵が頬を押さえながら立ち上がり、外の護衛に叫びながらベッド脇に置いてあったベルを鳴らす。

恐らくそれは只の鈴ではなくマジックアイテムで、屋敷全体に異常を知らせる効果がある物だと思われる。


「無駄だ。外の護衛はおねんねしてるし、俺がこの部屋に張った魔法の結界がそのアイテムの効果を遮断している」


「なっ!?」


俺の言葉に、伯爵の目が驚愕に見開かれる。


「ついでに言うなら……ベッドの上の女共は呪いで寝かせているから、腕を切り落としても目覚める事はない」


「た、た、た……戯言だ!そんな言葉を信じると思ったか!」


どすどすと足音を立てて、伯爵が扉へと走る。

そして外に出る為ドアノブに手をやるが――


「な、なんだ!?開かんぞ!?」


ドアノブはピクリとも動く事はなかった。


結界の効果だ。

音やマジックアイテムの効果を遮断しているだけな訳がない。

当然物理的な遮断もしてある。


「結界を張ってあると言っただろう?お前に逃げ場などない」


「く、くそっ!お前らは何者なんだ!一体何の目的で……そうか!金か!金だな!!それならいくらでもくれてやる!!」


ドアノブから手を離した伯爵が今度は壁際に走り、室内にあったデカイ金庫――識別機能付きのマジックアイテム――を開ける。

その中には金塊がぎっしり詰まっていた。


コイツの行動は本当に貴族ではなく成金っぽく見えて仕方ない。

まあ別にどうでもいい事ではあるが。


「金など求めてはいない。お前は今から俺のする質問に素直に答えろ。嫌なら苦痛を味わって貰うだけだ」


「こ、答えればわしには手出しせんのだな?」


伯爵が怯えながら厚かましい事を聞いて来る。


「それは答えしだいだ」


暗殺に関わっている時点でどういう答えが返ってこようが殺す事はもう確定している訳だが――だからこそこうやって夜襲をかけたのだ――一々喚かれても面倒なので、敢えて希望を持たせて素直に話す様に仕向けておく。


……拷問はあんまり好きじゃないからな。


以前の暗殺者共は迷わず拷問したが、それはそれ以外に情報を引起き出す術がなかったからだ。

嘘発見器がある今、返答をする相手をむやみやたらと苦しめる気はなかった。


例えそれが、絶対に殺すべき憎むべき相手であったとしても、だ。

これでも一応勇者だしな。


まあ殺されたのがコーガス侯爵家の血筋とは言え、顔も知らない相手だから冷静でいられるだけで、それが義父や義兄弟達だったなら、怒りに任せてやっていたかもしれんが。


「う、嘘ではないな?もし嘘だったら容赦せんぞ」


生殺与奪を握られているこの状況下で、一体何を容赦しないと言うのか?

生き延びたいなら相手の機嫌を伺った方が無難だと言うのに、勝ちの芽も無く威嚇するなど愚の骨頂である。


ま、一々それを指摘したりはしないが。

不安にさせるだけだからな。


「安心しろ。必要なのは情報だ。お前の命に興味はない」


俺は相手を安心させるため、駄目押しでスキル【ウィスパーヴォイス】を使う。


「そ、そうか。それならばなんでも答えよう」


その効果は覿面(てきめん)で、見る間に伯爵の表情から怯えの色が消えていく。

我ながら本当に便利なスキルを編み出した物である。


さて、それじゃあどう関わってるのか聞かせて貰うとするか。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


『面白い。悪くない』と思われましたら、是非ともブックマークと評価の方をよろしくお願いします。


評価は少し下にスクロールした先にある星マークからになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作宣伝
スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~
『現代ファンタジー』ユニークスキル【幸運】を覚醒したダンジョン探索者が、幸運頼りに頂上へと昇りつめる物語
天才ですが何か?~異世界に召喚された俺、クラスが勇者じゃないからハズレとして放逐されてしまう~だがやがて彼らは知る事になるだろう。逃がした魚が天に昇る龍であった事に
異世界に召喚されたがハズレクラスだったため異世界に放棄された主人公。本来なら言葉すらも通じない世界に放り出されれば絶望しかない。だが彼は天才だった。これは持ち前の超学習能力で勇者を越える存在へと昇りつめる天才の物語
無限増殖バグ始めました~ゲーム世界には運営が居ない様なので、本来ならアカウントがバンされる無限増殖でアイテム増やして最強を目指したいと思います~
気づいたらゲーム世界。運営がいるならと、接触するためにBAN確定バグを派手にするも通知来ず。しょうがない、もうこうなったらバグ利用してゲーム世界を堪能してやる。目指すはゲームじゃ手に入れられなかった最強装備だ!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ