表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/105

プロローグ

「ぐわあああああああ!!」


巨体の赤黒い、複数の腕と頭部を持つ化け物。

大魔王コリポレが断末魔の声と共に崩れ落ち、そして命尽きた。


「よし!!」


長い戦いだった。

そう、100年にも及ぶ強大な大魔王軍との戦い。

それに勝利した俺は、自ら果たした偉業にガッツポーズする。


「これでやっと帰れる。エデンに」


俺の名は大和猛(やまとたける)

日本人だ。

正確には、”元”日本人だが。


――元と付けたのは、俺が転生者だからである。


転生先の俺の名はタケル・コーガス。

異世界であるエデンで二度目の生を受けた俺は、魔王アスラスを倒し異世界を救っている。


だが、戦いはそこでは終わらなかった。

魔王アスラスの裏には、エデン征服を企む大魔王コリポレが存在していたのだ。


コリポレは次元を超える事が出来ないため、直接攻め込まれる心配なかった。

だが今は問題なくとも、大魔王はいずれ魔界からエデンへと乗り込んで来るかもしれない。

それを危惧した俺は逆に魔界に乗り込み、そして100年という歳月をかけて奴を倒した。


――そう、これで全てが終わったのだ。


「やはり帰るのか」


背後から声を掛けられ、俺は振り返る。

そこには角の生えた黒い肌の男。

魔界における反大魔王軍の指揮を執っていた魔族にして、俺の相棒とも呼べる男――ガンヴィーが立っていた。


その姿は激闘に次ぐ激闘でボロボロだ。

だがその瞳は力強く輝いている。

邪悪なる支配者を倒し、希望という名の未来を掴んだ者の目だ。


「魔界は飯が不味くてしょうがないからな」


魔族の中には、人間である俺をよく思っていない者も多い。

なので、下手に魔界に残っても余計な揉め事を起こす種になってしまう。

だから俺は帰るのだ。

転生先であった、異世界エデンに。


あ、因みに……飯が不味いというのはガチだ。

本当に糞不味かった。

この100年、それはある意味、大魔王軍との戦いより厳しい物だったといえる。


まあ人間と魔族じゃ、味覚が全然違うからこれはしょうがない事だが。


「そう言われると、返す言葉が無いな」


「悪いな。後は頼んだぞ。間違っても、コリポレみたいな他者を抑圧して支配する様な王にはなるなよ」


「分かってるさ」


左手を差し出し、ガンヴィーと強く握手する。

別れの握手。

別に今生の分かれって訳ではないんだが、お互いの立場を考えると、もう早々気楽には会えないだろう。


「じゃあな!」


立つ鳥跡を濁さず。

握手を終えた俺は、魔法で魔界からエデンへと転移する。


――さあ、100年ぶりのエデンだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作宣伝
スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~
『現代ファンタジー』ユニークスキル【幸運】を覚醒したダンジョン探索者が、幸運頼りに頂上へと昇りつめる物語
天才ですが何か?~異世界に召喚された俺、クラスが勇者じゃないからハズレとして放逐されてしまう~だがやがて彼らは知る事になるだろう。逃がした魚が天に昇る龍であった事に
異世界に召喚されたがハズレクラスだったため異世界に放棄された主人公。本来なら言葉すらも通じない世界に放り出されれば絶望しかない。だが彼は天才だった。これは持ち前の超学習能力で勇者を越える存在へと昇りつめる天才の物語
ブラック企業務だった前世に懲りて転生先で俺はスローライフを望む~でも何故か隣の家で生まれた幼馴染の勇者が転生チートを見抜いてしまう。え?一緒に魔王を倒そう?マジ勘弁してくれ~
転生先でスローライフしようとしたらお隣さんは勇者で、しかも鑑定でチートクラスを見抜かれてしまう。魔王を一緒に討伐!?冗談じゃねぇ!俺は一市民としてやっていくから放っておいてくれ!!
― 新着の感想 ―
左手の握手は殴り合いの合図 親愛の握手は右手でするものだよ?
ラスアスの裏にポリコレがいてヴィーガンは対立しててDEIのフルコースみたいな滑り出し
分かる! ポリコレvsヴィーガンの闘いは、熾烈を極めそう笑 環境活動家達も乱入して来たらカオスだな そしてそれをネタに再生数を稼ぐYouTuber。現世は、魔界ですな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ