異世界恋愛民向けに、舞踏会シーン関連の動画を色々まとめてみた件
琥珀と申します。
異世界恋愛ミステリとして金髪縦ロールの高飛車公爵令嬢が登場する謎シリーズを投稿しており、次作「公爵令嬢カタリナの婚活」を書き書きしているのですが、ようやく舞踏会シーンに差し掛かったところでして……
今までも、舞踏会シーンが出てくる作品は何度か書いているのですが、毎回毎回、書きにくい! つらい!
そもそもああいうドレスを着たことなんてあるわけもなく、ワルツも踊ったことないし、ようわからんものを手探りで妄想たくましくしながら、ボロが出ないように書くの、大変ですよね……
読み手としても、一応「舞踏会ちゅうのはこんな感じ」というイメージがあった方が、いい感じに作品を楽しめそうではあります。
というわけで、こういうときは映像見るに限る!
教えて!YouTube先生!なのですが……
気をつけないといけないのが、普通にワルツの動画を検索すると、競技系の社交ダンスの動画が出てくること。
現代の社交ダンスだと、腰をがっつり密着させて組むし、競技となるとポーズもくっそ派手。
のけぞりポーズ!とか、あんなん相当鍛えてないと普通に無理っしょ。
舞踏会で踊られるワルツとはかなり違う予感しかしないのです。
次に良く出てくる、ウィーンフィルのニューイヤーコンサート他イベントでのダンスパフォーマンス系も、振り付けが明らかにバレエだったり、なんかちょっとよくわからん演出入っていること多すぎィ!
なので、やっぱり映画やドラマの舞踏会シーンを参考にするのがよいのかなと思うのです。
ついでに舞踏会の会場とかの様子もわかるしね!
ということで、以下オススメ動画なのです。
<考証ちゃんとやってそう系>
★BBC版「高慢と偏見」(1995)
https://www.youtube.com/watch?v=GgXYj_YqVvM
イギリスの田舎町の屋敷で開催された舞踏会の場面です。
4人一組?でカップルが位置を変えながらほにゃほにゃやっているように見えるので、カドリーユ(英語読みだとカドリール)とかいうダンスがコレなのかも?と一瞬思いましたが、調べてみるとイギリスでは1808年に持ち込まれ、1813年に流行したそうなので、18世紀末〜19世紀初頭と言われている「高慢と偏見」とは微妙に時期が合わないかも??
それに、カドリーユの解説読むと、4組のカップルが四角になって踊る的なことが書いてあり、そういう動きをしてるところがないっぽい??
で、カドリーユのダンス動画を探してみたら、出てきたのがコレ。
https://www.youtube.com/watch?v=SXENJpWpmVs
この動画は演奏会でのパフォーマンスっぽいですが、やっぱ違う感じですよね。
でもこの動画のダンス、一般的なカドリーユの解説ともなんか違うぞ…カドリーユ、なんなんや!
ついでに、YouTube先生がお前、昔のヨーロッパのダンスに興味あるんか?と出してきてくれた動画。
https://www.youtube.com/watch?v=TUxbcJIOHNY
映画「ジェイン・オースティン 秘められた恋」(2007)の一部っぽいです。
アン・ハサウェイがジェインを演じてます。
曲はヘンリー・パーセルの「ホーンパイプ」(『アブデラザール』という演劇の劇伴)だそうで、ホーンパイプというフォークダンスがあるらしいのですが、このダンスがホーンパイプなのかどうかは謎。
全体の印象は「高慢と偏見」のダンスと似てるけど、動きは違いますよね。
違う種類のダンスということなのか、曲によって振り付けが違いだけで、くくりとしては同じダンスなのかも謎すぎる。
BBC版「高慢と偏見」「ジェイン・オースティン 秘められた恋」のダンスはなんなんでしょう……ちょっとよくわからんです。
カントリーダンスとかいうアレなのか?
ネットで解説探して読むだけだと隔靴掻痒感がががが。
とにかく、ワルツ以前にイギリスで踊られていた社交ダンスのどれかです(ぶん投げた)。
ちなみに、衣装は、19世紀頭のエンパイア・スタイル(シュミーズドレス)。
フランス発のスタイルで、一時期ヨーロッパ全土で大流行したそうですが、なにしろ薄着も薄着なので、肺炎で死んじゃう若い女性が急増したという罪なファッションです。
BBC版「戦争と平和」(2016)
https://www.youtube.com/watch?v=MeSsQmNRecQ
ロシアの舞踏会場面。踊るのはワルツ。
ナターシャ役のリリー・ジェームズがくっそ可愛い。
衣装はこちらもエンパイア・スタイルです。
というか、父母と一緒に、殿方に声をかけられるの待ち(父親にお嬢さんと踊ってええですかと声をかける)とかどういう地獄や……
誰にも声かけられんかったら、どうするんだよ……
つら! マジでつら!(この世界にうっかり転生したら絶対壁の花組なので前倒しで半ギレ)
ところで原作だと、アンドレイとナターシャが出会うのは1809年の設定なので、ワルツ踊っているのは若干早い気もせんでもないです。
ワルツ、もともとはオーストリアとか中欧の民族舞踊で、1814年のウィーン会議(ナポレオンの後始末)をきっかけにヨーロッパ各国に広がったらしいのででで。
★ヴィスコンティ「山猫」(1963)
https://www.youtube.com/watch?v=X8V_LtnjwiA
シチリアの大貴族の舞踏会。
撮影もシチリア貴族の館で行い、ライティングは蝋燭の灯り、エキストラの3分の1がシチリア貴族の末裔という二度と撮れない名場面。
舞台は1861年〜のシチリアなので、異世界恋愛おなじみのコルセットでがっつり絞ってクリノリンでスカートを膨らませたスタイルです。
ちなみにワルツはヴェルディのピアノ曲を編曲したもの。
踊っている男性がサリーニ公爵 (バート・ランカスター)、女性は公爵の甥の婚約者 (クラウディア・カルディナーレ)。
ダンスを見守る人達の中で、微妙顔しているのが公爵の甥 (アラン・ドロン)、イラッとしている年配の貴婦人が公爵夫人、その右手にいる、半泣きになっているの若い女性が甥に結婚を申し込まれるかも!とちょっと前まで舞い上がっていた公爵の娘。
というドロドロ人間関係があったりしつつ、華麗にワルツなのです。
それにつけてもこの作品のバート・ランカスター、イケオジの極み……マジで極み……(拝む)
<ファンタジー強め系>
★ケネス・ブラナー版「シンデレラ」(2015)
https://www.youtube.com/watch?v=2QGGbT5HGxY
王子とシンデレラのみのダンス場面です。
リリー・ジェームズがくっそかわいい!(2回目)
そしてシンデレラの青いドレス、めちゃくちゃ綺麗ですよね!
https://www.youtube.com/watch?v=sZdxsFKhf0U
群舞の場面がなかなかなかったのですが、短いメイキング映像がありました。
みんなで踊ってるのは結構跳ねる感じのダンス。
これがポルカなんやろか。
舞踏会=ワルツというイメージが強いですが、ポルカとかマズルカも人気だったとかどっかでチラ見した記憶。
ワルツよりも男女がべったりにならない&軽快で即興性が高いのでダンスとして面白いとかなんとか解説を見た覚えがあります。
※振り付け入ってるっぽい舞台でのパフォーマンスですが、ポルカはこんな感じ。
https://www.youtube.com/watch?v=WUpTIdtJZpc
※マズルカはこんな感じ(映画「エルミタージュ幻想」の舞踏会場面。画質悪いですが)
https://www.youtube.com/watch?v=pRm9pX5Re8o
https://www.youtube.com/watch?v=2J-s-pXBX0E
いろんな衣装とかお城の内装とかはこちらのメイキングで。
19世紀後半のクリノリン・スタイルが中心ですがスペインとかアジアとか色んな国の正装も入ってます。
ちゅうか舞踏会シーン、セット組んで撮影してるんですが、シャンデリアはガチで作って蝋燭の火もいちいち点けてて凄い。
数百人はいるっぽいエキストラにメイクして、複雑な衣装を着付けしてってそれだけで発狂物です。
公開当時、なんで今さら実写版シンデレラ作ったんやろ思うたきり、特に見たいと思ってなかったですが、むらむらと見たくなって参りました。
ケネス・ブラナー監督の映画「名探偵ポワロ ベネツィアの亡霊」を去年見たのですが、なかなか良かったですしね。
https://www.youtube.com/watch?v=hh8pGfA75oc
ついでに400時間かけてシンデレラのドレスのレプリカを自作した方のメイキング動画。
現代アレンジはありますが、クリノリンにペチコートを重ねるドレスの基本構造もよくわかります。
工程めちゃくちゃ多いし、ペチコートの重ね方とかめっちゃ複雑やし、ここまでやらんと、映画の超ふわんふわんドレスにはならんのやね…とたまげました。
というかここまでのふわんふわんは、現代の繊維でないと無理だと思う……
★ジョー・ライト版「アンナ・カレーニナ」(2012)
https://www.youtube.com/watch?v=NPJQzFswyUA
1870年代のロシアの宮廷。
黒いドレスを着たのがアンナ(キーラ・ナイトレイ)、白いドレスが恋人?をアンナに奪われるエカテリーナなのかな……
モダンダンスのコリオグラファーが入ってる作品で、なんでか前腕をあわせて絡ませ合う?謎の振り付けが入っていたり、女性の身体を持ち上げるリフトをがんがんやってたり、伝統的なワルツとは全然違うですが、おもろかったのご参考まで。
本編、未見なのですが、映画全体が舞台劇風に演出されているそうです。
アマプラでレンタルできるっぽいので、そのうち見てみたいと思います。
【追記】★ソフィア・コッポラ「マリー・アントワネット」(2006)
日置槐先生にコメントで言及していただき、検索したら興味深い動画が出てきたので、緊急追加!
キルスティン・ダンストがマリー役を演じた作品です。
18世紀なかば(マリーがフランスに嫁いだのは1770年)なので、女性の衣装はパニエで横に超張り出させたロココ風ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)、男性はアビ(ジャケット。17世紀のジュストコールと同じもの)・ジレ・キュロット(膝丈のボトムス)というスタイル。
https://www.youtube.com/watch?v=ESUzbLWuzY8
本編未見なのでようわかっとりませんが、マリーとルイ16世が結婚した時のお披露目ダンス的なアレなんでしょうか?
ヴェルサイユ宮殿の鏡の間っぽいです。
それにしてもこのシーンのマリーのドレス、いくらなんでも横に張り出しすぎぃい!
うちのおんぼろマンションのドア、普通にひっかかると思うというか、そもそも階段も上がれんのんちゃうか…
https://www.youtube.com/watch?v=mIHJRF8D_wk
仮面舞踏会のシーン
思いっきり現代曲だったりするので、振り付けも現代なのかなぁという気もしますが、セットや衣装はガチっぽい。
それにしても、フェルゼンの顔がいい……
他にも色々ありげですが、とりあえず異世界恋愛物でそれなりのリアルさを求めるなら「戦争と平和」「山猫」あたりを参考にするとよいのかなと思ってます。
なろう異世界恋愛作品でも、たまーに「歩くだけのダンス」というのが出てきますが、それは「高慢と偏見」みたいなことをしているんだなと脳内補完する方向で。
いうて、異世界恋愛もファンタジーの一種ではあるので、がっつり歴史準拠でやらなあかん言うことでもないと思うんですけどね。
自分も、「リベルタンゴ」とか「君の瞳に恋してる」で踊る場面が出てくる、魔法アリ系異世界恋愛作品を書いちゃったりしてますし。
なんにせよ、舞踏会シーンは異世界恋愛の華。
ここがしっかり描けるようになると、読み応えが出てくると思いますので、今後とも資料を集めてイメージを膨らませていきたい所存です。
おまけ:2023年のウィーンの舞踏会のニュース。場所はウィーン市庁舎のホールです。
ドレスコードはありますが、一般の人も参加できるっぽい。
https://www.youtube.com/watch?v=khx4kHZ_qtU
白いドレスの女性&ブラックタイの男性が、いわゆるデビュタントの皆さんなんですかね?
ワルツだけじゃなくて、全体で振り付けが決まっているっぽいダンス(フォーメーションダンス?)もやってるみたいです。
現在でもウィーンにはワルツを踊れる人が普通にたくさんいるそうなんですが、中高年の方が踊れてる感ありますです。
おまけのおまけ:2014年のウィーンオペラ座でのデビュタントの入場シーン
https://www.youtube.com/watch?v=4xVQAR24BYA
要は成人式なので、おじーちゃん以下一族郎党がボックス席からめちゃくちゃ撮ってるのが面白い。
じゃがいも探偵先生から、17-18世紀のダンス(メヌエット、パヴァーヌ、ポロネーズなどなど)+現代も結婚式などで踊られているケイリーについて、解説&動画リンクをコメントしていただきました!
コメント欄もぜひご参照ください!