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妄想の帝国

妄想の帝国 その81 完全世襲議員制度

作者: 天城冴

緊急事態法を成立させ、半永久的に議員となった与党ジコウ党、子供にもその地位を引き継がせることになり、完全な世襲議員精度が事実上成立したのだが、孫の代には彼らの思いもよらないことになっていた…

 20XX年 与党ジコウ党、およびメイジの党らの賛成多数により、緊急事態法が成立、直後に、新型肺炎ウイルスの第10波を理由に緊急事態条項発令、選挙無しで議員の任期延長が決まった。そして…


『あー、緊急事態中の第〇×国会を開催します、議員の方々、キジダダ3世さん、アトウダ4世さん、ハギュウダン3世さん…

え?名前があるんだから名前で呼べって、ダメですよ、アナタがた世襲は、本来選挙で選ばれたわけじゃないんですから、お祖父さん、曽祖父さん、またはお祖母さんの議席を引き継いでいるだけなんですからね。任期中に亡くなったり、引退して、選挙をやらない…もとい、やれないってことで、お子さんが議員になって、そのまた引き継いだ人がなくなったからで…。世襲だから、個々の名前で呼ぶのはかえってダメなんですよ。

 ああ、アトウダ4世さん、もっとべらんめえというか、横柄な口調でないと。口をひん曲げて、…え?やりにくい?“ひいおじいさんと違って、僕は若いし、世界のこともよくしっている、こういう口調は相手に失礼だし、だいたい議員、国の代表なのだから、もっと誇り高く”って。ダメダメ、ひいおじいさんと全く違うじゃないですか。アナタね、何度も言いますけど、国民の代表としてアナタ自身が選ばれたわけじゃないの、曽祖父さんから、お祖父さん、お父さんから、アナタに議席が渡っただけなの。選挙で選ばれたのは曽祖父のアトウダさんで、アナタじゃないのアナタじゃ。“しかし、世界の議員はきちんと考えて自己主張”って。だから、よその国の議員とは違うんですよ、世襲だから。今のニホン国の完全世襲制度では議員も世襲なの、まあ、曽祖父さんのころからそうでしたけどね。

だいたいギジさんとこなんて選挙やってたころから、お父さんと混同されてましたからね。アナタ方親や祖父母の引継ぎなの、だからアナタの個性とか思想とか、主張とかどうでもいいの、性格とか個人のナンチャラは関係ないの、単に血なの血統なの、遺伝子なの。自分がどうたらいうのはいけないの、曽祖父そっくりにやってもらわなきゃ、困るの、それが世襲の意義なんだから。

“議員になるのに、なんで結婚相手とか住むところが決められるんだ”って。だって世襲なんですよ。血統に縛られてるんですから、釣り合う相手じゃなきゃダメでしょう、住むところも議員会館ですよ、専用なんだし、古かろうがなんだろうが、親、祖父母と同じゃなきゃだめなの、同じになるようにわざわざ修繕してるんですから。

“人権は、個人の自由は”って、そんなもの、世襲にあるわけないじゃないですか、何を言っているんですか。だいたいアナタ方の祖父母がそれを否定してたじゃないですか、国民に対して。国のために尽くせってね、そういうわけで、アナタ方世襲議員も国のために尽くしてください、祖父母さんたちのように、個性も尊厳も人権も否定してね、特に自分らの。

“親やジイサンたちのクローンじゃないんだ”って。そんなこといってもねえ。親の、祖父母の血をひいてるってことで議員になれたんですよ、アナタ方。似てなきゃ困るんです、アトウダ4世さんなんて、本当は整形手術してもらうはずだったんですからね、曽祖父のアトウダさんに似せるために口をひん曲げないと、お父さんは失敗して完全にヒョットコ顔になってしまって、鬱状態になっちゃたから、急遽、アナタにお鉢が回ってきたんですよ、感謝してくださいよ、どうせほかにやれることないんですしね、そのためだけに教育うけてきたわけですから。

それにクローンを作るのも大変なんですよ。ギジさんとこは元総理のアベノさんとことご親戚ですけど、お子さんが不足してね、まあ本人のクローンを作ろうとしたんですけど、なかなかうまくいかない、失敗作ばかりですよ。まあ記録によると相当アレというか、性格も頭もねえ、天才とかハンサムとか作るの方がよほどたやすいですよ、ああいう妄想に生きてるような中なんたら病にする方が難しくて。オカシイっていえばオカシイんですけど、あのような感じを再現するのが難しい。なんで、アベノ2世は無理だったんですけどね。

まあ、ガース2世さんもお子さんがちょっとねえ、アレで、繁殖を試みたんですけどね、いかに今の科学が進もうと、無理なことはあるんですよねえ。だいたいニホン国は、まだ議会が正常に動いてた頃から科学の基礎研究とか重要なことを疎かにしまくっていましたからねえ。当然科学研究は世界から遅れに遅れてますからねえ、隣国はすでに…。

ああ、周辺諸国の成果を認めてはいけないんですよね、ニホン国国会は。大昔の大負けにまけた帝国の幻想にしがみついて、あーだ、こーだ、とむだな質問や支離滅裂な答弁して、下品で大衆受けするヤジをとばしていればいいんですよ、世襲議員さんたちは。

ニホン国は内外からの優秀な官僚がきちんと運営しますから。劇場型国会ならぬ世襲議員による民主主義的国会ごっこを続けてくださいね“


どこぞの国では、血統自慢やらで、当選するという民主主義国家ではありえないことが起こっているようです。が、当選した本人を親と間違える人多数という、すでに本人の個としての存在が否定されまくっています。まあ、世襲って、本人たちの人権も全く無視されるんですよねえ、それでいいんですかねえ、世襲議員といわれる人たちは。

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