初任務12 鬼の少女
今回はは少し短めです。
~side???~
チリンッ。
「…………」
その鈴の音は、舞い降りた雪のような白髪の少女の髪飾りから発せられたものだった。
少女は地獄とも形容できる今の状況に一切表情を変えず、というよりもまるで興味がないように振舞っている。視線の先にはボロボロになって倒れる少年。
「………はぁ」
その少女は蓮夜を見て溜息をつく。
モンスターたちは少女が現れてから動こうとしない。怯えているようにも、畏怖の念を抱いているようにも感じられるモンスターたちと、先程からそのモンスターたちを一瞥もすることなく蓮夜を見る少女とで、全く別の時間が流れているようである。
「お兄さん、今回は私が助けてあげる。元の世界にいるお姉さんも」
すると巨人がぐっと歯を食いしばって緊張から抜け出せたのか、動き出して木を使って少女に向かってスイングする。その目には早く危機を脱したいという特有の焦りが見える。
チリンッ。
再び鈴の音。それと同時に少女に向かって振るわれた巨木ごと巨人は細切れになった。しかし、少女は変わらず蓮夜の方を向いている。
一体何が起こったのだろうか?二人を囲んでいたモンスターたちは皆同じことを思った。
「……今、わたしはお兄さんを診てるの。ケダモノの君たちだって本能で分かるでしょ?」
少女の幼さが残る声には深い殺気が込められていた。
「止まっててくれるのはありがたいけど、君たちをどうにかしないとこの世界から出られそうにないから………」
そう言って、少女は倒れている蓮夜の横に突き刺さって立っている刀に目を向ける。
「白輝夜、こんなところにあったんだ。お兄さんが使ってたんだね」
白輝夜と呼ばれた刀に一歩近づいて懐かしむように柄の部分を撫でる。モンスターたちは限界だと言わんばかりに低く唸り始める。
「君たち一人ひとりに時間をかける暇無いから、一瞬で終わらせる」
少女は目を閉じて刀を構える。すると少女に変化が生じる。透き通る白い髪の隙間から二本の角が伸びる。角が生え、鬼となった少女は金色の瞳を開く。
「一刀流……玉響」
鬼の少女は音もなく姿を消し、次に少女が現れた時にはモンスターたちは、自身の原型を留めることが叶わなくなっていた。
少女はモンスターの残骸を眺めながら刀を払い、いつの間にか少女の手に握られていた鞘に納められる。
「それにしてもどうやって出るのかな?ここは」
少女は辺りを見回して考える。この世界全体から感じられる箱の魔力。自然の中で暮らすモンスターたち。しかし、生態系を築くにはあまりにも強者と弱者の差が激しい。暮らしていると言うよりは、自然という器の中に強者も弱者も関係なく無造作に収納されているような感覚。
「まるで蟲毒…」
蟲毒とは、一つの容器に蟲を集め、殺し合わせるという儀式である。最後に残った虫は人を呪い殺すことに使われる。この世界で最後に残ったモンスターの力は、箱が敵と戦うための大きな戦力となる事だろう。
「……広く見えるけど、実際はそこまで広い空間じゃない。とりあえずは殲滅かな」
そう言って、少女はまた地を蹴り姿を消した。
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