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リベラティオ・コロナ  作者: 白黒 猫助
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初任務3

「そういえば」、とベンは何かを思い出したかのように話題を変える。


「さっきお嬢さんが一人で黄昏ていたぞ」

「凛さんが?」


 ベンは何やら顔をニヤつかせながらさらに話す。


「お前はあのお嬢さんともっと仲良くなりたいんだろ?いろいろな意味で」

「はあ!?バッカお前、任務のパートナーとして少しでも距離を縮められればと思ってるだけだ!」


 自分にとって図星である部分を突かれ、動揺しながら早口で言い訳をするように弁解する。が、その様子がよりベンにとって面白い方向へと向かって行ってしまう。


「へー、そうかそうか。まぁ、お邪魔虫はとっとと仕事に戻ろうかね。がんばれよ、青年!」

「う、うるせぇ」


 最後までペースを握られたまま逃げられてしまった。一人残された蓮夜はベンが言っていたことに従うのは癪だが凛に会いに行くことにした。


 またしばらく歩くと、デッキの手すりに体重を預け海を眺める凛が見えてきた。話しかけようと近づくと、凛の方からある香りが漂ってきた。


「煙草なんて吸うんですね、以外っす」


 凛は人差し指と中指に煙草の吸い口を挟んで気だるげな様子で海を眺めていた。


(元々、美人だけど煙草を吸っているだけで絵になるとか反則だな)

「あ?あぁ、仕事場じゃ人の目があるから簡単に吸えないし…」


 蓮夜は驚いた。自分が知っている凛とはかけ離れた低い声にギラついたピアスが艶のある髪のからのぞかせていた。蓮夜の凛へ抱く最初の百合のような清楚なイメージから、深紅のバラのような棘がある気高いイメージへと塗り替わった。


(顔強!?)


 蓮夜が凛のギャップに唖然としていると、凛は話しかけたのが蓮夜という事に気が付いていないのか言葉を続ける。


「大型新人とか言ってジルが連れてきた奴とタッグを組むことになって、もっと吸いずらくなったし、仕事場はブラックだし、ストレス溜まりまくってんだよ………てっ、なんでお前が、いやあなたがここにいるんですか!!」


 ようやく蓮夜の存在に気付いた凛は慌てて手に持っていた煙草を吸殻を捨てるケースの中に入れる。


「いや、暇だったからこのデッキを散歩してたんです。それよりも煙草なんて吸うんですね、ピアスも」


 指摘された凛は顔を赤くして、ピアスの付いた耳を手で押さえながら蓮夜をキッと睨みつけた。しかし、もう蓮夜の中で凛は二面性を併せ持つ面白い人という認識に変わりつつあるので、威嚇してされてもノーダメージである。


「わ、悪いですか!」


 慌てた様子で言葉を発するが、先程聞いた気だるそうな低い声では無くいつもの高い声に戻っていた。


「別に悪くないですよ。驚いたけど、美人がバチバチにピアス開けて、煙草を吸っているのも絵になってて、俺はいいと思います」

「美人…………この状況でのお世辞は私のご機嫌を窺っているようにしか思えないんだが……はぁ、蓮夜、今から私は素で喋る。お前ももっと砕けて話してくれて構わない。」


 凛は諦めたように手すりに組んだ腕に顔を伏せ、またすぐに顔を起こして蓮夜にそんな提案をしてきた。凛との距離を縮めたいと思っていた蓮夜は願ってもない申し出だったので、心の中でガッツポーズする。


(お世辞で言ったつもりはなかったんだが)

「分かった。あと、低い声もいいと思うぞ」

「ッ~~~~~~!」


 蓮夜がそう言った途端、また腕の上に顔を落として、はああぁーと大きな溜息を吐く。凛のピアスの付いた耳は朱に染まっていた。


(もしかして人から褒められるのに慣れてないのか?可愛いなこの人)


 蓮夜は凛に対して恋愛感情を抱いているわけではないが、目の前の凛の見た目とのギャップにときめきまくっていた。


「………うなよ」

「え?」

「だから、誰にも言うなよって言ったの!この事を。今まで誰にもバレなかったのに、お前とは一昨日初めて会ったばかりだしこの船は広いから会わないと思ったんだよ。あー、 ツいてない」

「おう、誰にも言わない」


 蓮夜は凛のことを教えてくれたベンにひそかに感謝する。


「それより、みんなにもその性格で接すればいいのに…」

「いいんだよ別に。入隊初日に緊張しまくってあんなキャラでいたら、いつの間にか真面目キャラになってたんだよ。もうそんなに苦じゃないしな?」

「俺には?」

「お前にはもうバレたし……こ、こっちの方が好きなんだろお前は」


 自身に満ちたようなドヤ顔で蓮夜を見てくるが、凛の耳はまだ真っ赤に染まっていて明らかに無理しているのが分かる。それが何だか面白くて思わず口元が緩んでしまう。


「何笑ってんだよ」

「いてっ」


 凛はムッとした表情で蓮夜の尻を軽く蹴る。尻をさする蓮夜を見て、凛はふんっと鼻を鳴らして歩き出した。


「どこ行くんだよ?」

「お腹すいたから飯食いに行くんだよ、あ、蓮夜お前私に飯奢れ」

「はあ!?なんで俺が奢らなきゃいけないんだよ、それにさっき俺食べてきたばっかりだし」


 蓮夜は凛に抗議するがまったく意に介さない。


「ちょうどいい、そこに連れてけ。行くぞ」

(連れてけって、あのマッチョたちのところに?ちょっと面白そう)


 凛の知らないところで一人で盛り上がる蓮夜。これから、はたから見たら地獄そのものな店に連れていかれることになる事を凛は知る由もなかった。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

自分のペースで投稿していきますので、気長にお待ちください。

是非とも評価、いいね、感想お願いします。

最初の凛ちゃんは固すぎるというか、真面目過ぎてヒロインとしてはキャラが立ちにくいという印象が皆さんの中であったのではないでしょうか?そうでもない?

ヒロインの裏の顔というのに大変魅力を感じております、私は。

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