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リベラティオ・コロナ  作者: 白黒 猫助
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超えられない壁

  投槍(ジャベリン)が蓮夜へと降り注ぐ。数え切れない赤黒い槍が刺さった地面はまるで地獄絵図である。たまらず後退した蓮夜はそのあまりにも殺傷能力の高い技に血の気が引く。


「人に撃っていい技じゃないんですけどそれ」

「避けたんだから結果オーライ、オーライ」


全て避けきったのも束の間、ゼンが突っ込んでくる。ゼンからの鋭い突きを刀で受け止めて何とか耐える。が、硬直は一瞬。またゼンの槍がどろりと溶け、今度は刀身の大きい中華刀へと変化する。

 槍ほどの重い一撃はないが片手で扱えるうえに、斬撃と斬撃の間に蹴りなどの打撃を混ぜて攻撃をしてくるため攻撃の密度が数段増している。先程まで攻撃をする隙をうかがっていた蓮夜だったが、今は完全に防戦一方になっている。


「んぐっ!?」


 ゼンの蹴りが蓮夜の横腹をとらえる。その常人離れした力で蓮夜は吹き飛ばす。蓮夜はうまく受け身を取って体勢を立て直したが、血の付いた手を振るったゼンの横に投槍が三本生成され、蓮夜へと射出される。


「こんなもんっ、おらぁ!!」


 身体機能が向上した蓮夜には槍を捌くことは簡単だが、一拍の時間を潰されたことで武器を切り替えたゼンにすぐさま対応することが出来なくなる。

 ゼンは紅い薙刀を振るう。遠心力により槍や中華刀を超える威力を秘めているあの薙刀は、今の蓮夜の力では防ぐことが出来ない。

 蓮夜はバックステップで避けようとしたが、薙刀の刃が腕を掠める。斬られた腕から血が流れる。


「君が今後リベラティオ・コロナで戦っていくうえで複数の武器を駆使する敵と出会うかもしれない。何より君は武器を握るのは二回目、少しでも戦闘経験は積んでおいたほうがいい」

「はぁ、はぁ、だからってこんなボコボコにする必要あります?」

「それも経験という事で。でもおじさん、結構攻撃したつもりだったんだけど、被弾はほとんど無い。蓮夜くんほんとに一般人だった?」

「少なくとも、今まではおそらく」

(隙が無いなら、こじ開けてやる!)


 蓮夜がゼンへと踏み込む。ゼンは動くことなく蓮夜を迎え撃とうと構えている。接近した蓮夜は刀の切っ先を向け突きを放つ。ゼンは薙刀で捌くことなく体を傾けて突きを避けるが、それを蓮夜は狙っていた。

 蓮夜は左手で薙刀の柄を掴んで強引にゼンを引き寄せる。そして蓮夜は眼前に迫るゼンの顔目掛けて頭突きをかます。蓮夜とゼンの頭がぶつかり、ゴンッ!と重い音が響き、流石のゼンも一瞬ひるむ。すかさずゼンの腹に攻撃を叩き込もうと蹴り上げるが、ゼンは当たる寸前のところで腕を挟み込ませ打撃の衝撃を緩和させる。


(どんな反射神経してやがる!?)

(思い切りの良さは一級品だ。土壇場で隙を作るための作戦をすぐに思いつき、それを実行できる力が彼にはある)

「…雨染(あまそめ)


 ゼンは戦闘の最中だというのに蓮夜の行動を考察し感心していた。そんなことは露ほども知らず、蓮夜は何とか食らい付こうと必死に攻撃の手段を考える。

 先程よりも多くの魔力を込めて雨染を放ったが、ゼンは複製した斬撃もすべて捌き切って見せた。


(ダメだ、ゼンさんに……攻撃を当てるビジョンが、見えない。超えられない…)


 そこで初めて蓮夜の動きが止まる。体はジルの助言のおかげでまだ動くことが出来る。しかし、ゼンという超えられない壁を前に心がついて来れなくなった。「超えられない」。その事実だけで蓮夜の体は縛られたように動けなくなってしまった。

 ゼンは蓮夜の様子にすぐに気づき、反撃に出ようとした体勢を解く。


「戦意喪失は感心しないよ、それは「死」と同じだからね」

「!」


 ゼンの言葉に蓮夜は眼を見開く。そして一瞬、自分が殺めた武装集団の団員たちの顔が脳裏をよぎる。と同時に恐怖と焦りがこみ上げてくる。


「すみません、まだ…やります」

「それでよし、来い!」


 二人が同時に地を蹴る。

 立ち上がったところで先程まで対峙していた相手と再び戦うことになるとは限らない。それを蓮夜は今から痛感する。



 























 
























 蓮夜の視界からゼンが消えた。


 

ここまで読んでくださりありがとうございます。

自分のペースで投稿していきますので、気長にお待ちください。

侍ジャパン、WBC優勝おめでとう!私は幸運なことに一回から最終回まで見ることが出来ました。終始叫んでまして、そのあと予定あったのに喉を枯らしてしまいました。

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