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リベラティオ・コロナ  作者: 白黒 猫助
10/39

第七隊

「さってとぉ、おじさん戦うの久しぶりだからお手柔らかに頼むよ~」

「は、はい」


 あくびをしながら蓮夜に話しかける男性は、今まさに蓮夜と戦いを始めようとする人間のそれではなかい。蓮夜も戸惑いの表情を隠せないでいる。自身のことをおじさんと呼ぶ男性、ゼンはポケットに入っている瓶のふたを開けて中に入っている液体を流し込む。


「蓮夜く~ん、ぜってぇ勝てないけど頑張ってね」


 この訓練場の隅であぐらをかいて観戦しているジルから心のこもってない応援が聞こえてくる。


「隊長、蓮夜さん、訓練場に魔力が行き渡ったのでいつでも始めていいですよ」

「はいよー」


 訓練場に一人の女の子が入ってきた。彼女はゼンと合流したときにゼンと一緒にいた女の子だ。彼女の台詞からもう間もなくゼンとの手合わせが始まるのだろう。そう思った蓮夜の刀を握る手に力が入る。


「こんな時に酒ですか?」

「いんや水だよ?お酒飲めないんだよね、この瓶はー、おじさんの趣味」


 そう言ってゼンは空の瓶を上に放り投げる。この瓶が下に落ちた時、手合わせの合図になるのだろう。互いにそれが分かっているのか、互いに武器を構える。

 さて、なぜ蓮夜がゼンと手合わせすることになったのか。それは遡ること一時間前。


~一時間前~

 蓮夜が医務室でエルバートからの誘いを受け、リベラティオ・コロナの一員として認められた日から二日間。身体検査や能力診断などで永遠と拘束された時間からようやく解放された。


(そろそろ指定された時間だけど、いったいどんな人が来るんだろう?)


 蓮夜は今、これから所属する第七隊の隊長室に向かうために今、案内してくれるという第七隊の隊員が来るので待っている。簡易なベッドと机が置かれている部屋で待っていると扉が叩かれた。返事をすると扉が開き、


「蓮夜くん迎えに来たよ」


 マグロの着ぐるみを着た変態(ジル)が来た。


「お前はいちいちボケないと生きていけないのか?」

「人生楽しくが座右の銘ですから!」


 やりたいことは済んだのか、部屋に入るとすぐにマグロを脱ぎ捨てた。


「よし、じゃあついてきて」


 ジルはすたすたと元来た方向へと歩き出したので、蓮夜も続いて歩き出す。


「ジルが来たってことは、ジルが第七隊の隊員なんだよな?」

「そうだよ、だから僕のほうが先輩なんだからちゃんと敬語使ってよね」

「死んでもヤダ」「言うと思った」


 蓮夜はジルと雑談をしながら歩いてみて少し気づいた。これまでの移動は検査と休息と食事のために特定の部屋を行ったり来たりしていただけなので気付かなかったが、この建物はかなり広い。まあ、四桁以上の人数がいるのというのなら納得なのだがそれにしたって広いのだ。

 どうやらこの建物はすべて地下にあるらしくフロアごとに番号と下方向に伸びる矢印が壁に表示されている。下に行くほど番号が大きくなっている。

 しばらく歩くとジルは一つの扉の前で立ち止まる。


「ここが第七隊の隊長室だよ。この先にこれから蓮夜くんの上司になる人がいるからしっかりと挨拶して」

「わかった」


 蓮夜はそう返事をして、扉をノックする。すると奥のほうから「入っていいよ~」と間延びしたした声が聞こえてきた。隊長だからと勝手に緊張していた蓮夜だったがその声のおかげで、少しだけ肩の力が抜けた。


「失礼します」

「いらっしゃーい、ようこそ第七隊へ。」

「俺は紬蓮夜です。今日からよろしくお願いします!」

「そんな堅苦しくならんでもいいよ。おじさんはゼンって言うんだけど、一応隊長やっているから隊長って言ってもらえると嬉しいな、よろしく」


 部屋に入ると、ものすごく物腰の柔らかい男性が蓮夜を出迎えた。真っ先に目につくのは透き通った青い瞳と、ぼさっとして整えられてはいない暗赤色の髪だ。身長は180はあるだろう。蓮夜が目線を合わせようとすると少し上を向くことになる。エルバートの肉体ような強靭さはないものの、その立ち姿だけでこの者が強いと感じてしまう。


「さて、自己紹介も終わったところで早速だけどこれからおじさんと戦おっか」

「え?急すぎません?」

「ごめんね、この第七隊結構忙しいからやれることはぱっぱと終わらせておきたいんだ」

「そうだよ、ほかのみんなは任務で出張っているから蓮夜くんを出迎えられるのはこの三人だけだしね!」

「三人?」


 ジルに言われるまで気付かなかった。この部屋にはジルとゼンのほかにあと一人いた。蓮夜が彼女に視線を向けていると彼女もこちらを見てきた。


「玖桜凛です。蓮夜さんよろしくお願いします」

「よ、よろしくお願いします」


 蓮夜は思わずたじろいでしまう。肩まで伸びた黒い艶のある髪に黒い瞳。名前の通りに整った顔は超がつくほどの美人だ。それに何がとは言わないが大きい。舞花のような柔らかい雰囲気とは違う可愛さに、蓮夜は胸を高鳴らせている。

 そんな蓮夜の様子にジルが気づき、ニヤニヤしながら蓮夜の背中を指でつついてくる。


「じゃあ、移動しようか」


 そうして四人は第七隊の訓練場へと向かった。








ここまで読んでくださりありがとうございます。

自分のペースで投稿していきますので、気長にお待ちください。

この間、コンビニで買い物しているときにバーコード決済するために決済アプリを開いたんですけど、店員に画面を向けたと同時にセットしていたニワトリのアラームが鳴り響きました。はずい

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