マネージャー、2回目のチャレンジ。
朝食を食べに制服を着てリビングへ行くと、そこにはいつもの母の姿があった。
「入学式に遅刻はありえないわよ」
ため息をつきながら机の上に並べてあったコップにオレンジジュースを注いでくれた。生まれてからずっと同じ椅子に座ってきたので何の躊躇いもなく席に着くことができる。たった2年、大きく変わっていることは特にない。
(こういうタイムリープもの?って数100年とか、時空を越えたりとか、そういうでっかいスケールのものだと思ってたんだけどなあ…)
そんなことを思いながらオレンジジュースを口に含んだ。
「お母さん、制服どうかな?似合ってる?」
2年前に同じ質問をしたことを思い出し、ふと聞いてみる。
「うーん、制服は可愛いけどその寝癖は減点ね」
キッチンで顔を上げながらぼたんの寝癖を見て顔を顰めた。聞いたことがある答えだ。
やはり夢ではないようだ。
となると、私は今から入学式へ向かい
1年8組へとクラス分けされて
入学式の3日後に坂田先輩に声をかけられてバスケ部に入部するのだ。普通に過ごしていればきっとこの未来は変わらないはず。
どうして2年前に戻ったのかはっきりはわからない…もしかしたら何かの拍子で元の世界に戻るかもしれない。でも…、ならそれまでの間だけでも…!
「男バスとの青春、またしちゃおうじゃない!」
そうだ、やり直せばいいんだ!そして必ず次こそはあの子達を日本一長くバスケができる高校生にするんだ!未来を知っているんだから何も怖くない。私はあの子たちの勝利の女神になる。
朝ごはんを急いでかきこみ、洗面台へと向かい寝癖を直した。そうして2回目の高校生生活が幕を開けたのであった。