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マネージャー、n回目の旅に出る。
ブーーーーーーーーー
体育館に響き渡るブザー。目の前に見えるのは汗を落としながら、並ぶ私の愛する部員たち。赤いスコアブック、ボールペン。そして得点板の80-61の文字。
ああ、そうだ。終わったんだ。
3年間の努力は実らず、終わったんだ。
私は、"また"彼らの勝利の女神にはなれなかったんだ。
私は体育館の天井に挟まったバレーボールを見ながら、何度目かの涙をジャージの袖で拭った。
私はまた、戻らなくてはいけないのだ。
みんな、大丈夫だよ。
何度だって、私はあなたたちの女神を目指してみせる。
だって私は、あなた達を、部員達を、私立木坂高等学校男子バスケットボール部のみんなを、愛しているのだから。
そして私はn回目の旅に出た。