表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

少年は『生き残る』

作者: コケのこけし

まだ一応休載中です

当作品は『人間世界及び魔世界間における世界大戦(人魔大戦)調査証言書』の関連作品です。


窓から光が差し込む。

小鳥たちが鳴く声とともに下から母が僕を起こす声が聞こえる。

「レオ、起きなさーい」

僕は寝ぼけながら母さんに対し返事をしたあとすぐに洗面所に向かい顔を洗う。

洗ったあとに母は再び僕に対し、

「朝ごはんのパイ置いとくから食べといてねー、お母さんはお父さんのところに行くから。

あなたも食べ終わったらすぐ来るのよー」

そう言われ僕はすぐにリビングに行き母が用意してくれたパイを食べる。

昨日の残り物だが母さんのつくるパイはやはり美味しい。

パイをすべて食べたあと僕は水を飲み、父さん達のいる下の店へ向かう。

下へ向かうとすでに父さんと母さんは開店の用意をしているらしい。

僕は父さんへ挨拶を済ませようと父さんの方へ近づくと

「おはようレオ、すまないが地下室へ言って蝋燭を取ってきてくれないか?

俺はこいつを修理しないといけなくてな手が離せないんだ。行けるか?」

父さんは近くにあった計算をしてくる魔道具を叩きながら聞いてくる。

「父さん、僕もそれぐらいならできるよ!舐めないでくれ」

そうつよく言う。いつまでも子供扱いはしないでほしいな。

「わかったよ。それじゃぁこれが地下室の鍵だ。気をつけるんだぞ」

そう父さんは少し笑いながら鍵を渡してくる。

「だから大丈夫だから。もう子供扱いしないで」

また僕が強く言うと、

「悪かったから、それじゃ頼んだぞ」

また少し笑いながら返された。

もう11になったんだからもう子供あつかいはやめてほしい。

あと4年で成人だと言うのに。

そう思いながら地下室へ向かい、蝋燭の入った箱を探している時

地下室の外から凄まじい光とともにとてつもない爆音と爆風がした。

僕はその瞬間気絶をしてしまったのだろうか。

気付いたときには床で寝そべっていた。

まだクラクラする頭と体を持ち上げ、地下室から出てみると外には平野が広がっていた。

そこにあったはずの我が家が、父さんと母さんの店が、お隣さんの店が、

向かいのステファニーおばさんの店が、斜め前のグランティの家が、いつも僕たちに時間を

示していた鐘の塔が、街の中心に立っていたこの国の中心の議事堂が、

いつもみていた光景が、僕たちがいつも遊んでいた街が、思い出がすべて一瞬のうちに消え去った。

残ったものは焼き焦げた残骸と朽ち果てた石造りのなにか、そして焼き焦げた匂いとなにか腐ったような匂いが混ざった悪臭だけ。

なにがなんだかわからず僕の足は勝手に動いていた。

父さんと母さんを探さなければ。

勝手に動いた足を見た僕はそう思った。

すぐ瓦礫をどかして母さんと父さんを探した。

必死に、瓦礫をどかしながら探す。

すぐに二人は見つかった。

真っ黒い姿で瓦礫に埋もれながら、死んでいた。

一瞬のうちに死んだだろう。二人とも作業をしていたときの姿勢のまま死んでいた。

僕は二人だったであろうものをみて、胃にとても強い刺激がきて、そのまま吐いてしまった。

朝食べた母が作ってくれたパイも半分溶けた状態で前部出てきた。

涙を流しながらただ吐く。

吐き出したパイを見て、もうこの味を食べることはできないんだろうと思うと余計悲しくなり涙が出てきて、胃が締め付けられ吐いてしまう。

そのうちほとんど吐く物がなくなり胃液だけが出てくる。

ひどい匂いだ。

僕は一通り吐いて泣き終わったあと、近くに落ちていたスコップを使い穴を掘る。

二人を埋葬しよう。僕ができるせめてものことだ。

深さにして約1メートル弱、横の幅はわからないが二人が入れるだけの十分の場所分は掘れた。

僕はその穴に二人を入れ、土をかけ埋葬した。

この店のあったところなら満足してくれるだろう。

そう思いながら必死に埋めた。

二人を埋葬した僕は、教会があった場所を目指して歩くことにした。

あそこならもしかしたら人がいるかもしれない。

そんな淡い期待をもって歩くことにした。

あるき出した時向かいの家からなにか声がする。

聞き覚えのある声だった。

ステファニーおばさんの声だ。

でも、いつものような歳を感じさせないような声じゃない。

死にかけの子猫のような鳴き声だ。

「誰かぁいないかぁ。助けてくれぇ、ここにいるんだ。目が見えないからどうなっているかわからないんだ。頼むから助けてくれぇ」

そう言っていた。

助けようと思った。でも、無理だと思った。

足が完全に瓦礫に挟まっていて、手には鋭い何かが刺さっていて血を垂らしている。

そして目には砕け散った瓶の破片が刺さっていてそこからも血を垂らしていた。

僕一人じゃ助け出すことはできないし、助け出したところで…

そう思いながら、音を出さないようゆっくりとその場を立ち去った。

僕にはただただ罪悪感だけがのこった。

教会に向かう途中、なんどもそんな人を見てきた。

腕を失ったもの。皮膚が爛れてしまい、この世の者とは思えないような状態で歩くもの。体中になにかの破片が刺さっているもの。そして父さんと母さんのように焼け焦げ、動かなくなっているもの。

最初は胃が締め付けられ、何もない胃から必死に吐き出されたなにかを出していたが次第になれなんとも思わなくなってきた。途中、回復魔術を使い傷を必死に治そうとしている人にであったが中級魔術では治らないらしく諦めていた。

ポーションも同じなようで初級・中級のものは痛みを紛らわすだけらしく、ポーションをかけて痛みから開放された人たちはみな倒れ死んでいた。

そんな酷い状況に慣れてしまった僕は異常なんだろうか。

やがて教会についたが、教会はかろうじて残っているだけの廃墟と変わらない状態のものだった。

その教会は臨時の病院となっているらしく多くのけが人が集まっていて、

いつも僕たちに勉強を教えてくれるコルティクス牧師やシスター・クローネが包帯や中級治癒魔術が書かれたスクロールにポーションを大急ぎで運び怪我人を治療している。

病院の中も地獄だった。

治療は牧師やシスター、治癒魔術を使える者数名で行っていたのだがけが人が多すぎた。

半壊した教会内では収まりきらず外まで溢れ出している。

さらにけが人の多くがどこかの部位を失っているかひどい火傷を負っており、到底中級程度の治癒魔術で治るものだとは思えなかった。

その光景を立ち尽くしてみているとコルティクス牧師が僕に近づいてきて、

「レオくん、無事でしたか!私達は幸い地下室にいて無事でした。レオくんもですか?」

だまって僕はうなずいた。

「そうでしたか。ところでご両、いえなんでもありません。とにかく大変でしたね。

どこか怪我はありますか?」

僕は黙って首を横にふる。

「そうですか、一応初級の治癒魔術をかけておきますね」

そう言われ魔術をかけられた瞬間、心が少し軽くなったのと同時に擦り傷の痛みも消えた。

「ではあちらの方へ言って休んでいてください。あそこには治療が終わった方や生き残った無傷の方がいます。それでは。」

そういい残し牧師は次のけが人のところへ向かっていった。

他に行く場所もない僕は牧師に言われたようにその場所へ向かっていった。

僕は生き残った人たちが集まっている場所に行き知り合いがいないか探した。その時見つけた。二人の親友のうち一人のシルファティートが。

ボロボロの状態で目から光を失いそこにしゃがんでいた。

声をかけようとした時彼も気付いたらしくこちらを見てかすかにほほえみまた虚ろな目でぼーっとしている。

「シルファ、生きていたのか!?」

「ああ、レオ。そうだよ僕は生き残った。眼の前で妹と母さんを見捨ててね。いまでも二人の泣き叫ぶ声が聞こえるんだ。瓦礫に埋まった二人の。」

「シルファ、決して君のせいでは」

「もうやめてくれ、もうやめてくれ。みんなからそう言われてるんだ。でも、僕が二人を殺したんだ」

そう言って彼は半狂乱になりながら暴れだし、周りの大人に抑えられ睡眠薬を打たれる。

「この坊主は家族をいっぺんに亡くしちまっておかしくなっちまってるんだ。あんま関わらないほうが身のためだぞ」

そう睡眠薬を打ったおじさんに言われてしまった。

でも、僕は彼のことを放っておけない。親友だから。

明日になったらシルファをどこかに連れ出そう。

そう思い床についた。

翌日、シルファは死んだ。自殺だった。

死んだ人が持っていたナイフを盗み、それをなんども自分の腹に突き刺し、下には涙と血が混じった池を作って死んだ。

僕はまた一人になってしまった。

もう、僕からなにも盗らないでくれ。一人ぼっちにしないでくれ。

僕は彼の死体を焼き、残った骨を共同墓地に埋めた。

僕は彼とよく通った草原に埋めたかったが、それはできなかった。

せめて、なにかしたいと思ったがそれすらも叶わなかった。

シルファを埋め終わったあと、僕はお昼も食べず木陰に寝転がっていた。

その時だった。

どこからともなく馬に乗った男たちの一団が現れた。

最初は助けがきたのだと思った。

でも彼らの風貌を見て違うと分かった。

ボロボロな服に、統一されていない武器、ボロボロな馬、そして不潔な髪と体。

彼らは盗賊だった。

彼らは教会に集まっている人たちを見た瞬間こっちに向かってきて次々と殺しを始めた。

男女子供関係なく。

盗賊は泣きながら逃げ回る者を楽しむように殺してまわり、残った僅かな財と、教会にあった残り少ない食料を奪っていった。

コルティクス牧師は盗賊に捕まりシスターはたち殺されたあとだった。

牧師は最後まで抵抗しているようで盗賊になぶり殺しにされている。

僕は隠れた。

盗賊たちが消え去るまで教会の中の地下室の中で縮こまっていた。

やがて盗賊たちは一通り満足したようで次の目標をさがしに馬に乗ってどこかに消え去った。

盗賊が去った後も僕は縮こまっていた。怖くて、悔しくて。

僕はそのまま寝てしまったようで目が覚めたら次の日の朝だった。

その日は盗賊が持ち去らなかった干し肉を食べ、体を洗い一日を過ごした。

近くに死体がある中一日を過ごした。最初は死体を見るたびに胃になにかこみ上げてくるものがあったが、だんだんと慣れ何も感じなくなった。いよいよ僕はおかしくなってしまったのだろうか?

次の日、僕は轟音で目を覚ました。

この音は聞いたことがある。街が消え去る直前に聞こえた音だ。

急いで空を見ると大きさの鋼鉄でできた鳥がぐるぐる空を回っている。近くには子分と思うやや小さい鳥を引きつれながら大きい音を出し我が物顔で空を飛んでいる。

鳥たちは3時間も同じところを飛びながら街の様子を見ているようだった。

そんな中僕はその日も残していた食料を食べ、体を洗い寝る。

こんな日を2日ほど繰り返した。

その間も鳥たちは空を飛んでいた。

あの鳥はいったいなにをしたいのか。

僕にはさっぱりわからない。

日常になりつつある生活をまた繰り返そうと朝起きたとき、変わったことが起きた。

いままでとは違う大きさの鋼鉄の鳥が群れをなして飛んできた。

数にしてざっと20以上はある。

そこからなにかたくさんのなにかが落ちてくるのがわかった。

ゆっくり、ゆっくりと。

鳥のフンではないようだった。

僕は好奇心に負け、落ちた場所に走って向かっていった。

走り出して10分ぐらいたったとき、それが見えてきた。

それは人だった。

それも見たこともない武器を持ちながら皆統一された服を着ていた。

僕は彼らに聞いた。

「あなた達はどこの軍隊ですか?どこから来たんですか?僕たちを助けに来てくれたんですか?」って。

そしたら一人が片言のキルリ語で

「私たちはアメリカ国の軍隊です。穴の向こうから来ました。はい、あなた達を助けに来ました。」

そう言われて最後に一つ聞いた。

「このまちをこんな状態にしたのはあなた達ですか?」

彼らは少し間をあけてこう答えた。

「いえ、違います」

みんな、復習するべき相手を見つけたよ。

神様ありがとう。

最後の最後にこんな機会を与えてくださって。

父さん、母さん、みんな見ててよ。

答えを聞いた瞬間、懐に隠し持っていたナイフを握り

あいつらに向かい突進していた。


読んでいただきありがとうございました!

できれば色々評価などをお願いします!

(参考になりますので…)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ