浮浪者二人後編
家に帰るとまだ二人とも居た。
おいおいマジでポテチ食ってテレビ見てやがる。
いやポテチはすでに無くなってるのか?
「帰れって言ったのに」
「オニーサン居ないうちに帰ったらなんか悪くない?」
「と言うか家におばさん来たよ?あれ誰?なんか食材置いて出てったけど」
あーそうか母親か親は離婚してるが、食材とかよく持ってきてくれるからな。
ん?息子の家に女子高生二人居て気にせず帰ったのか?
まぁ家族の事に口を出さないルールだしな。
ちょっと特殊すぎる気もするが・・・
「いやとりあえず家まで送るから帰れよ」
『だ~か~ら~無理ってば』
ハモンな!焦るって
「じゃぁ明日休みだから今日はもう寝れ明日朝飯のあと送ってやるから」
「晩ご飯」
コイツ飯目当てか
いや最初から「休ませて」だったなもういいやなんか疲れたよ。
「分かったなんか作る」
食材あるらしいしなんか作ろうと食材確認すると、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモがあった。
うんちょっと俺の中でメンドイ系だ。
最近は時間かかる料理を避けてるからイモメンドイ
と言うか芋料理は時間かけるとうまいのが多いから短時間だと中途半端になるんだよな。
またパスタかと思ったが、女子高生なら俺の偏食行けるかも?と、アイスを豪快に掬い半円にして上にブルーベリーソースをかけ、周りにアルコールのないブルーキュラソーシロップを垂らす。
ついでにトッポを挿してレモンシロップほんのちょっとアイスにかけ完成!
ホントはいつもこんなの食ってる男見たことある?
無いよな・・・まぁ今日までだ良いや
「ほら晩飯」
『・・・キャーかっわいー!』
いやまぁちょっと予想してたけどねメンドイ食え寝ろ
「こんなの食べてるの?メッチャキレイ!」
「オニーサン女子力タッカと言うかもう女子?」
あぁよく言われたさお前は女かっていや違うしマジでメンドイから止めてくれ。
「よく言われるが彼女も居るし普通の男だから襲われる前に出ていけよ?」
「オニーサンに襲われるより私が襲うほうが早そうw」
「あんたまた・・」
おいおいまたってやべぇ匂いがプンプンする絶対追い出そう。
聞こえないふりして「食ったら寝るな?」と言い横で食べ始める。
うん幸せキュラソーの人口柑橘系の香りが食欲をそそり、ブルーベリーの味で甘さがいっそう増す。
しかもレモンのかかっている部分が刺激的で再度甘さと香りが再認識される。
トッポで食べて、スプーンで掬いまたトッポで食べる。
繰り返すうちに無くなりさぁごちそうさま!
と思ったら
「ご飯食べたーい」
コイツマジかうちに飯なんかねんだよ!
もともと偏食の極みを具現化したような食生活に、睡眠障害でまともに寝ないこんな不健康真っ只中の一人暮らしの家に来てまともな飯食えると思うな?
「米は半年ぐらい食ってねぇから無いな。ジャガバターでも食うか?」
「食べるーいっぱい作って!めっちゃお腹減ってるんだ」
「この子食欲凄いから今日多分いっぱい食べさせないとヤバイよ食われるよ〜~」
おいおいマジか芋あって良かったとりあえず4個蒸し器で蒸してあげるとぺろっと食べ上げた。
「美味しかったありがとー」
と言ってテレビを見ながら談笑が始まる。
まぁ時には家に誰かいるのも良いなとか思いながら夜が更けていき、「寝るの忘れるなーー」と言う一言でお開きとなった。
俺は自分の部屋で(ふすま一枚)記憶の整理に勤しんでいると
「もう寝たかな?」
「静かだし寝たんじゃない?」
って言う声が聞こえてきた。
「初めて襲って来ない男に会ったかも?」
「だよねー男ってあんた見るとすぐ酒飲ませてヤル事しか考えてないから私が守るのに」
「もしかして不能とかかな?」
「いや彼女いるって言ってたし荒波立てたくないだけとか?」
「なんて言うか女として見られてるのは分かる。でもなんだろうな違うんだよね」
「ふーんまぁちょっとこれ以上迷惑掛けないほうが良いかな良い人過ぎるし」
「そうかも?でも一緒に寝るぐらいだけはしたいなそれ以上は本当に無理だけど」
「いつもそうよね、一緒に寝たい。でもHな事お断りお父さんが欲しいって言ってるみたいw」
「そうよだって・・・」
「ゴメン」
あぁそうか違和感があったがこの二人ちょっとむずかしい環境で生きてたんだろうな。
まぁ俺もちょっと手を出す気になれないと言うか、相手が望む時以外は手を出さないから別に良いけど世の男は無理だろうな。
とか考えてるとふすまが空き、本当に入って来やがった。
まぁ良いや寝たフリどうせ何もしないならホッカイロがあると思おう。
とか考えてると、「オニーサン起きてる?」と言い布団に入って来た。
足音からしてもう一人もベッドの横に居るっぽい。
さぁ寝たフリして子供が横で寝てると思い夢でも見るか。
「オニーサン起きてるのに動かないと言うか寝たふりしてる・・優しいね」と言ってそのまま寝やがった
横で「ウソ・・」という声が聞こえる
まぁマジで起きてるんだけど気づかれると思わなかった。
まぁ良いや記憶の整理は明日にして今日は記憶を混ぜちゃおう。
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夢を見た
記憶の整理が中途半端だと現実と夢の区別がつかない。
でもこれは夢だと分かっただって空飛んでるから。
空を飛ぶ夢は必ず失速してゆっくり地上に戻るそこで起きる。
でも夢の中で一つ困った事に横に今多分横で寝てる子が一緒に飛んでいた「オニーサン優しいね」「オニーサンに彼女が居ない時に会いたかった」「明日お別れしたく無い」「ファーストじゃ無いけどチューしちゃう」
と言われた。
そうすべて夢だ。
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起きると目の前で二人こっちを見ていた。
近すぎない?
「おじさんの寝顔見て面白いか?」と言うと
「メッチャカワイイ」と言われため息をつく。
あぁ若干トラウマなんだよそのセリフ。
農大時代、友達に「農大で付き合うならどの子がタイプ」と言う良くある話を振ったら、「ジオ以上に可愛いやついねぇじゃん」と言われぶっちゃけ「キモ」って思った。マジで止めてくれ。
「まぁ良いや大丈夫起きてるなら家まで送ってやるから覚悟しとけ」
と言うと、しょうが無いなーという感じで
「ご飯食べたらね」と言われた。
あぁコイツラマジで飯食いまくるな。俺は一日一食しかも不定期だったから凄い違和感。まぁこれが普通かと思いメンドイので、ウドンを出す。
今日のうどんは地元名産品。
魚とごま風味の郷土料理だ。
「美味しいね〜」
「おばあちゃんの味だ〜」
と言いながら食ってやがるいや違うだろまぁおっさんの味だなとか思いながらふと鏡を見ると口が赤かった。
何も言わず顔を洗い歯を磨き身支度をする。
んハテコイツラ歯磨きとかは?と思ったら普通に歯磨きセット持ってた。
そういえば昨晩も俺はさっさと歯磨きとか風呂入ってたが二人共コッソリやってたんだろーなと思ってたら、よくよく見ると化粧も薄いがしてる。
うん彼女以外に目が行かないからか全然気にして無かった。
よく見ると凄い細身で整った顔だなとか思いながらも、そこに感情は付いてこない。
なんだろうな猫さんとしか思えない。
家まで送るか。
家は車で10分って・・え?歩いて15分?
車のほうが遠回りになるらしい。
うん近い。
歩いて帰れるといい家の前でもう大丈夫元気貰ったと言いながら、帰って行った。
送るべきか少し迷ったが、これ以上干渉すると双方悪い。
俺は人の心が解らない。
関わると相手の傷を増やす。