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人は何処までも落ちる

高校を卒業した後、花屋の家業を継ぐという名目で、農業大学校へ行くことになった。

最初は全寮制で二人部屋、2年は一人部屋になる。

最初少し戸惑ったが、良い同居人で楽しく過ごしていた。


農大の生活にも慣れてきた矢先、大学の教授が講師の心理学の授業が始まった。

『よろしくおねがいします!』

生徒が集まり授業開始と同時に教授は愚痴り始めた。

「大学は学力を上げ真剣に取り組んで入る所だが、お前らは適当に入れる所で短大卒をもらう為に入ったんだろ?

お前らみたいな落ちこぼれが俺の授業を受けれるだけでも感謝しろよ!」


(は?何言ってやがる・・・)


人生で初めて本気でやる気を失った。

今までは知っているからまともに受けないこともあったが、知らない授業は真面目に受けていた。

この時ほど授業を受ける気力が失われた事は無い。

その授業の最後に講義について感想を書くようにと言われ、A4コピー用紙にありったけの負の感情を書き綴った。


それから学校の講義は行く気を失いバイト生活を満喫する事になった。


もちろん単位など取れないが、テストだけは出席し、赤点など取ることもなく一年が過ぎた。


その間バイトはガソリンスタンドを楽しく続けた。

バイクに乗り寮とバイトを行き来する日が続く。


学校いや寮生活は楽しかった。


女子寮に遊びに行き、一緒に勉強会したり、嫌な事があった日は外出て月を眺めてた。

なんか男といる時はただ飲んでたけど女といる時は普通の生活してた気がするな。俺はいつの間にか女といるほうが楽な事に気が付いた。


バイトで稼いだ金はほぼ酒と煙草に消えた。

いや学費払ってたし、酒も寮でみんなと飲むためだ。

よく飲みすぎて手当り次第キスしてた。

男も女も関係なくキス魔の餌食になってたから本当に申し訳無い事をしたと今は思う。でもホントに嫌がる素振りがあったらその時点でやめてたから本当の意味での被害者は多分いない。

友達辞めた人居ないから、たぶん居ないと信じたい。


そんなある日携帯を手に入れ恵子に連絡した。

農大は田舎だったが、恵子は少し都会の専門学生だったので格差を感じながらも、懐かしい気分になり、会いに行った。


会いに行くと恵子の父親とばったり会いさらには友達もいて意味わからない状態で再開した。

父親はすぐ帰ったが恵子と友達(名前聞いてねぇ)と朝までカラオケに行き帰った。


あれ?なんか違う・・・

普通に話がしたいだけだったのに?

なんでこうなった?


(もういいやなんか疲れた)


そう思う日が続く。


バイト・バイト・バイトと繰り返す日になんとなく飽きて他のバイトもしてみたくなり、バイト仲間に相談すると


「酒強いよな?いいバイトあるぜ」


と言われ連れて行かれた所は俗に言うホスト

まぁカワイイ()女のコ()と飲むだけでお金になる変な所だ

店では甘えるキャラをしていたというか顔が童顔過ぎてイケイケでは無かった為甘ーく接していた。


飲んで飲ませて隠れて飲んで飲ませて逃げて飲んで飲ませて


続けているとある日言われた。

「ジオお前メンヘラ製造機だな」

は?仕事付き合いしかして無いぞ?ストーカーとかいるがあれは俺のせいなのか?そもそも、お持ち帰りやアフター厳禁の店だったので連絡先も交換してねぇって


変に意識せず相手のスペースに入り弟っぽいっと思ったらメッチャ甘くされて相手は虜になるが一切個人情報を出さない為にずっと気になってしまうらしい。


(いや違うだろ?夢を金で買う場所に来てんだからそれ以上求めんなよ!)


と心の底から思っていた。


とある日、ナンパ行こうかと言う軽いノリに乗っかかりナンパスポットに行く途中高校生がヒッチハイクしていた。

「どこ行くの?」

と聞くと

目的地が一緒だったのでそのまま乗せて行った。

到着したらバイバイまたーとなりそのまま別れたが連絡先だけ交換していた。


そしてナンパを決行するも、相手がいない。

今日はハズレかなー?と思い帰り道で信号で止まった横の車のお姉さんに声をかける。

「今から遊びいかない?」

「お兄さんたちナンパ?こんなとこで?凄いね!良いよ」

「マジで?じゃぁそこのコンビニでちゃんと会おう」

と言ってコンビニで会うと年齢結構上の方だったがそこはまぁいいやって事で朝まで盛り上がり別れた。

楽しく飲めればそれで良い。


ある時ガソスタのバイト仲間が狙っていた女の友達(髙瀬美保)を落として欲しいと頼んできた。

「それなんて罰ゲーム?」

と言いながら初めて会った日甘い香りと甘い誘惑を発揮しそのまま男子寮に連れ込んだ。

その頃俺は壊れていた、愛が無いのに愛を語れる、相手を壊す事に長けた人間になっていた。


そしてガソスタの友達と4人で一緒に遊ぶ日々を過ごした結果向こうも射止めた事を聞いた。


(もういいかな・・・)


と思ったが、さすがにすぐ別れるのは友達の手前まずいと思いそのまま会う頻度だけ下げていった。


学校は卒業するにも単位が全く足りない俺は親を召喚され面談をすることとなった。

親と校長に挟まれ全く学校に来ないでバイトしているのはどう言うことかと言われ、「大学の教授にお前らは馬鹿だと罵られこんな理不尽な所まともに授業など受けなくてもテストと卒論ができる事を証明しただけです。」と言って反論した。

校長も少し知っていたらしく、「補習だけは終わらせるように」と言い面談は終わった。

まぁ卒論は一年の一学期にほぼ完成したミニバラの栽培記録があったし、テストは全て受けていたから嘘じゃない。

花は好きだ。何も言わないが俺の感情を素直に受け取ってそのままちゃんと予想通りの成長をしてくれる。


補習(駐車場造り)と書かれた地図が来た・・・は?意味わかんねぇ


と思いながらも、チェーンソーで木をぶった切り、ショベルカーとトラックで土を削り斜面に平地の土地を作り、駐車場にした。

出来ないと思っていた校長・担任は驚きながら卒業できる事となった。


卒業間近、突然美保が「来週から親の都合で神奈川に転勤になったの。5年間神奈川に行くことになったから簡単にはジオと会えない」と言って来た。


あぁそうか、これで終わりかじゃぁ夢を見せて終わらせよう。

そう思い実家に連れていき、彼女の紹介をし、また会う日は5年後と決め別れることになった。


そう

あくまでも夢を見せて終わらせようとしたのだ。

5年後なんて分からない。


俺は最低のクズだ

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