俺はクズだと自覚する
少し遡り、高校3年生の一学期、物静かでおっとりした廣瀬恵理子が不登校になり保健室までしか来なくなった。
原因は病気の症状で教室に長時間いるのが辛いらしい。
気になって毎日休憩時間は保健室に話をしに行き、今まで読みもしなかった小説の話を読んで話題にした。
当日流行ったリングや夢を見るかもしれないと言った小説をあらすじで聞かせる。
そういった話をするとこっちを見て子猫のように笑うのだ。
授業時間になってもそのまま話し込んだりしていたが、保健室の先生は特に何も言わなかった。
でも他の生徒が来ると、
「体調悪くない人は入っちゃ駄目」
と言って追い出した。
俺は恵理子に変な気を起こしてるんじゃない。ただ教室に来てほしかっただけだった。
目を寄せたりして動物が出てくる不思議な本を顔を寄せ合って見て、「見えた!」ってはしゃぐ恵理子が可愛かった。
毎日少しずつ元気になっていった気がした。
ある日から教室にも来るようになった。
教室に来るようになれば友達もいたし、俺みたいな男友達と一緒にいるより女友達同士で笑っている恵理子が自然体なんだろうと思い声を掛けなくなった。
それから数週間たったある日弓道部の後輩に呼ばれ「付き合ってください」と言われた。付き合い始めて2日目高瀬恵理子は学校に来なくなった。
原因となった俺は当日付き合った彼女と仲良くなる事で忙しかった。相手の家に遊びに行ったりお昼一緒に食べたりした。
なんとなく宝くじ(ナンバーズ)を彼女と自分の生年月日で買ったら当選した。
奇跡だと思って伝えた。
「生年月日合せてXXXXXXXで買ったら当たった!」
と言うと
「私の生年月日違うかも?」
と言われ絶句した
「誰の誕生日?」
と聞かれハッとした、恵子の電話番号だ頭から抜けてない。
下一桁が違うから間違えた最低だ。
それからなんとなく一緒にいるのがぎこちなくなった。
そして後輩に振られた。
原因は恵理子だ。そう知っていたらしい。
俺が保健室に行っていた事も、恵理子と仲良くしていた事を、そして教室に来るようになった後すぐに手を引いた事を。
後輩は俺が他の子と仲良くしている事が気に食わず声を掛けたらすぐにこっちを見たがそんな人と思っていなかったようだ。俺が節操ない男に見えた事だろう。
まぁ実際は恵子が頭から離れていなかったのが原因なんだろうな。
俺は馬鹿でどうしようもないクズだ。
後輩は恵です。
恵子、恵理子、恵
なんか誰が誰だか分からないですよね(汗)