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魔眼

学園が所有するダンジョンの攻略をしていた際にレンが突然意識を失ってしまう。

緊急事態として扱い、学園に戻り学園の医務室で休ませることした。


医務室の外で待たされる僕達。数時間がたった。


時間は過ぎていくのに、不安は一向に消えなかった。


もしレンがこのまま目覚めなかったら、そんなことをふと考えてしまう。そしてそんなことを考えてしまう自分の事が嫌になる。


すると動きがあった。レーネ先生が医務室から出てきた。


「レンの様子は!?」


レーネ先生が話すのも待たずにジェシカは急かすように言う。


「一応治療は行ったが、その場凌ぎにしかならんだろう。いずれまた同じ事が起こるかもしれん。それに40℃の高熱も出していてな。やっと熱が下がってきたとこなんだ。」


「その場凌ぎって!なんでちゃんと治療しないんすか!」


「とりあえずカイルとジェシカ、お前らと話をする必要がありそうだな。中に入れ。グリウェンはもう戻ってろ、これ以上はお前にも支障が出る。」


グリウェンはレーネ先生の言葉の意味を理解できていなかった。しかし僕とジェシカはその意味をなんとなく察した。


そしてレーネ先生もそれを察したのかグリウェンを追いやり、僕とジェシカを医務室の中に入れる。


医務室の中に入ると、そこは少しどんよりとした空気になっていた、そして苦しそうに息をするレンの姿が見えた。


「治療しても完全には治せなくてな。」


「レン………!」


「あまり近付かない方がいい。」


レーネ先生の話を聞く前にジェシカはレンに近づこうとするも、レーネ先生によって止められる。

そしてレーネは口を開く。


「お前ら、レンの目のこと知っていたな?何故私に隠していた。」


「だって…………レンは話すことを望んでなんかいないから…」


レーネ先生に問い詰められ、言葉を詰まらせながらも返す。すると、レーネ先生から衝撃的な言葉を告げられる。


「レンのこれはただの魔眼病じゃない。」


「「…………えっ?」」


「ちょっと……!それ……どういうことだよ……!」


ただの魔眼病じゃない。そんな言葉を告げられ、僕は理解が追いつかなくなっていく。ジェシカはレーネ先生を問い詰めるが、その顔は不安と焦りで埋め尽くされている。


「普通、魔眼病は目が激痛とともに魔族の目に似ていく病気なんだ。激痛は最上級の治癒魔法で治せるが、魔眼に関しては元に戻す方法は見つかっていない。それはお前らも知ってるだろ?」


「レンの場合はそれに加え、左目を中心に模様が出ている。これは少なくとも魔眼病の症状として今まで確認されてきていないことだ。」


「それって……つまり……」


その言葉の意味を聞くのが怖くなってしまう。その意味を聞けば、レンと今まで通りいれるのか、怪しくなってしまう。そう感じていたから。

でも、レーネ先生はそんな僕を置いて言葉を続けた。


「本物の魔眼かもしれない。」


「本物の魔眼………」


「でもっ!レンは今まで何もなかったじゃん!!なんで急に………!ほら!もしかしたら魔眼病の症状の一つかも……!」


「ならば今までで一人でも似たような症状があるはずだ、少なくとも文献にはそんな情報は書かれていなかった。いくら迫害されやすい病だからといって、文献にまで情報を残さないなんてことはあり得ない。」


レーネ先生の言葉を聞くと、空気がどんどん重くなるのを感じる。ジェシカは理解しながらも、それを認めたくないのか、違う可能性を話すが、レーネ先生によってすぐに否定されてしまう。


「それじゃ……レンはどうなるんですか………」


聞くのが怖い、もし殺害するなんて言葉が聞こえたら、大丈夫だと自分に言い聞かせても、頭の中には聞きたくない言葉でいっぱいになる。


「まずは起きるのを待つ………その後本人から目について話を聞きはするが………」


「魔眼が本物となれば何が起きるか分からない。周りに影響を与えないならともかく、与えるなら非常に危険だ、起きてそうそう暴れ出す可能性もある。もしそうなれば気絶など行動を不能にする事を第一にするが、我々は生徒の命を守らなければならない。最悪の場合は殺すことになるだろうな。」


「…………………」


何も言えなくなる。レンと一緒にいたい。でもその願いが多くの人を傷つけることになるかもしれない。最悪の場合レンは死ぬ。その言葉だけでとてつもない暗闇に包まれている気分になる。


「絶対にやだ!!レンは絶対に殺させないから!!殺そうとしたら殺してやる!!」


「やめなよジェシカ………!」


「やめろって……カイルはレンが死んでもいいのかよ!!」


「いいわけないでしょ………でも、僕たちのせいで大勢の人達が死んじゃうのはもっと良くないよ………」


涙を浮かべながら叫ぶジェシカをなんとか落ち着かせようとするけど、上手くできない。そんな事をしていると。動きがあった。


「ん…………んん………?」


「レン!!」


「おい!!近づくな!!」


レンが起きた。ジェシカはすぐに気付き、レーネ先生の注意を無視してレンのもとに急いで向かう。


「レン!大丈夫か!?痛いとこは?苦しいとこはない!?」


「何、どうしたのそんなに慌てて。びっくりするじゃん。」


「当たり前だろ……!急に倒れたんだぞ……!」


ジェシカと普通に話すレンの姿を見て、僕は少し安心する。髪の隙間から見えるレンの左目は少し不気味だけど、いつもと変わらないレンで良かった。心からそう思った。


「おい、レン。回りくどいことは言わんぞ。その左目、何があった?」


「………さぁ……僕もいまいち覚えてないんですよ………僕の左目に気づいた時にはもう捨てられてて………なんでこうなったかも分からないんです。」


「なんでこうなったかは分からないけど、別に知りたくもない。知れば余計に辛くなる気がするから。」


「そうか、レン。だがこれについては知ってもらわねばならん。お前のその目だが、病気によってなったのではない可能性がある。」


「………?どういうことですか?」


「お前のその目は魔眼病でなったのではなく、何かがお前の身に起こり、左目が本物の魔眼になった可能性がある。」


「本物って………僕何かされた記憶なんてありませんよ……?」


レンはレーネ先生と話をしているが、レンは何も知らない様子だった。レンが僕たちに隠し事をしているのかは分からない。けど知りたくもない。知らないままでいればきっとレンとまた三人でいれる。


だから僕は何も知ろうとはしない。レンの左目は本物の魔眼かどうかも。レンが目について聞かれた時、少し間があった原因も。


レーネ先生の話を遮り、僕とジェシカはレンに抱きつく。レンは少し笑うだけで、僕とジェシカに何も言わずに、僕たちの気が済むまでただ抱きしめられ、レーネ先生も何も言わなかった。


「無事で良かった…………」

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