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特別授業

今日もいつも通り午前の授業を受ける……訳ではなかった。


「そろそろお前達にも特別授業をしてもらう。」


レーネ先生の言葉、そして僕たちがいる場所は教室ではなく洞窟の前だった。そして手には剣や杖などそれぞれ生徒に合った武器を持たされていた。


状況がいまいち飲み込めないみんなを置いてレーネ先生は言葉を続ける。


「ここは学園が所有する土地でな、この洞窟はダンジョンとなっている。ダンジョンといえど、そこまで強いモンスターは出てこない。お前達がちゃんと授業に励んでいれば決して死ぬことはないだろう。」


「ダンジョンって…………」


「俺の魔術で蹴散らしてやる!」


ダンジョンに不安を感じているものもいれば、自身の実力を試そうと意気込んでいるものもいる。


「大丈夫なのかな………」


「俺も正直不安だがまあ大丈夫だろ、先生も言ってたろ?ちゃんとしてりゃ死ぬことはねぇって」


「そうそう、それにレンは剣術結構得意じゃん!」


「まあそうだけど………えっ!?」


不安を感じながらもグリウェンと話していた時、突如後ろから聞き慣れた声が聞こえ、後ろを向くとそこにはカイルとジェシカ、気が付けば辺りに大勢の生徒がそこにいた。


「カイル!?それにジェシカも……なんでここにいるの?」


「あたし達も一緒に特別授業受けるんだよ。先生から聞いてねえのか?」


「いや聞いてないけど………」


「ああ、それとお前達には他の奴らとも協力してもらう。知らない奴らとも協力して戦うのが冒険者、冒険者じゃなくともそういう経験はあったほうがいいからな。」


「じゃあとりあえず適当にグループ作れ!人数はいくらでもいいが最低三人で組めよ!」


僕がなぜいるのかをジェシカに聞いた時、とってつけたようにレーネ先生から説明がされ、そして突然グループを作れと急かされる。


「じゃあレン!僕たちと一緒に行こうよ!ジェシカもいいでしょ?」


「当たり前だろ?レンが問題ないなら大丈夫だけどな!」


「僕は大丈夫だけど本当にいいの?」


カイルとジェシカに誘われる中、カイルとジェシカと普通に話してる僕にグリウェンは困惑していた。


「なあ、お前普通に話してるけどあいつら貴族だよな?しかも魔術のカイルに剣術のジェシカとか呼ばれてたやつじゃ………。」


「うん、昔色々あってね。友達なんだ、グリウェンも一緒のグループにならない?」


「まあ一緒に行くけどさ……お前何者なんだよ………。」


「ちょっと剣術が出来るだけのただの庶民だよ。」


「お前ら!!1時間経つまでには安全エリアに来いよ、ダンジョンの地図は渡してあるからそれを確認すれば辿り着けるはずだ。」


レーネ先生の言葉で皆準備を進める。グリウェンから何か変な印象を持たれたような気がするが、カイルとジェシカも含めたグループを作りダンジョンへと潜っていく……


ダンジョンに潜っている時、特に何もなく、雑談をしている最中グリウェンは露骨に緊張していた、時折カイル達を気にする様子も見せていた。そんなグリウェンにカイル達は話しかける。


「ねえ君、名前なんて言うの?」


「えっ!?いやっ!グリウェンって言います!!今日はカイルさんと一緒に行けて嬉しいです!!」


「そんな敬語で話さなくても大丈夫だよ?」


「あたしとは一緒に行けて嬉しくないのか?」


「いや滅相もない!!ジェシカさんとも行けて嬉しいです!!」


「あはは、グリウェンって面白い人なんだね。」


「いつもはこんなんじゃないけどね、お貴族様がいるから緊張してるんだよ。」


「おい!!そんな言い方すんな!!」


グリウェンをからかいながらダンジョンを歩いてる時だった。


グニュッ!


何か弾力のあるもの踏み、ふと下を見るとそこには水色のスライムが踏まれ、スライムは踏まれたことに怒り僕の足を包み込もうとしていた。


「うわっ!?」


「ちょっ!!誰か取って!!」


驚き足で振り払おうとするが、スライムは足にくっついたままで離れない。


「動くなよ。」


ジェシカがそう言うと僕に近づき、腰につけていた短剣を持つ。そして僕の足のすぐ横に短剣を振りかざしたと同時に、スライムは砕け散った。


「スライムは核があるからそこを攻撃すりゃ簡単に倒せる。知らなかったのか?」


「いや知ってたけどさ、急に現れたら焦るじゃん!」


「ははっ、本当かなぁ?」


「ダンジョンの中だってのにお前たち危機感ねえなぁ。」


「僕とジェシカはあるさ、ないのはレンだけだよ。」


「みんなして僕をからかって………グリウェンとカイルは別に何もしてないじゃないか。」


からかうように言うジェシカに言い訳を言うも、逆効果で余計にからかわれる。

しかしグリウェンの緊張が解けてきたのか雰囲気が良くなってきた。


「よっしゃー!!さっさと安全エリアに行くぞ!!」


グリウェンが大声でそう叫ぶと、スライムの群れが現れた。


「ねえグリウェン、さては余計なことしてくれたね?」


「ははは……………悪りぃ。」


僕がグリウェンをからかうとグリウェンは申し訳なさそうに謝る。しかしすぐにカイルが仕切り直すように喋る。


「まあ丁度いいや、みんなの実力を見せようじゃないか!」


その言葉で僕たちは一斉に戦闘態勢に入り、スライムと戦う。


カイルとグリウェンが火の魔術で攻撃する中、ジェシカはお構いなしに突っ込んで行く。


「ちょっとジェシカ!!あんまり前に行くと魔術が当たっちゃうよ!!」


「大丈夫だって!!気をつけてるし!!」


「あっやばっ!!」


僕が注意するがジェシカは特に気にする様子を見せない。するとカイルが不穏な言葉を漏らし、カイルが放った火の魔術はジェシカの足を掠めた。


「あっっつぅぅ!!!」


スライムの群れをなんとか倒し切ると、ジェシカはカイルを睨む。


「カイルてめぇ………。」


「僕が悪いの!?」


「100%ジェシカが悪い。」


「流石にジェシカさんがちょっと…………。」


「…………悪かったよ。」


みんながジェシカを責めるとジェシカは不服そうに謝る。そんな話をしていると安全エリアに辿り着き、そこにはレーネ先生が立っていた。


「おぉ、お前らが一番か、流石に魔術のカイルと剣術のジェシカと呼ばれてるだけはある。」


「そりゃどーも。」


「ねぇジェシカ、そろそろ機嫌直しなよ〜僕も悪かったからさ〜」


カイルがジェシカの機嫌を直そうとしているとき、レーネ先生は僕の方を見てくる。その時僕の左目には少し違和感があったが、僕が気にすることはなかった。

高評価や低評価、正直な感想が励みになります。


これから不定期に更新していきますので応援の程よろしくお願いします。

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