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魔眼の生徒

指定された教室に入り、椅子に座ろうとしたその時


「またゴミが入ってきたぞ………」


一人の貴族の言葉で教室にいたものは一斉に自分の方を向く。貴族からすれば庶民はいじめの標的なんだろう。聞こえるように放たれたその言葉でレンはそう考えた。


しかし自分が魔眼によって受けてきた扱いを考えれば、それはあまり苦にはならない

化け物だと言われ捨てられた過去に比べれば、庶民いじめなどレンにとっては軽いものだった。


特に気にすることもなく、空いている椅子に座ると隣に座っていた少し不満な顔を浮かべた赤髪の男子生徒から話しかけられた。


「お前、よく無視できるな。俺だったら殴りかかってるんだけど。」


「こういうのは慣れてるから…」


平然としている自分に驚きながら話しかけた相手にそう返すと、相手はさらに驚いた表情をする。

そして気を遣ったのか、深く触れることはなくそのまま自己紹介を始めた。


「僕の名前はレン、よろしくね?」


「そうか、俺の名前はグリウェンっていうんだ。」


そう話していると、教室にまた一人生徒が入ってくる。

すると、先程の貴族はレンに放った言葉をその生徒に浴びせた。


「あいつ、ジャックって言うんだが庶民生徒が入ってくるたびに言ってんだよ、気持ち悪りぃ。」


「グリウェンも言われたの?」


「当たり前だろ。俺じゃなかったらあいつは今頃土の中にでも埋められてるね。」


「さっき俺だったら殴りかかってるって言ってなかった?」


グリウェンとそう話していると、教室に紫髪の眼鏡をかけた女性が入ってくる。


「今日からこのクラスを担当するレーネだ。私は庶民も貴族も関係ない。私が担当するからには少しでも問題を起こしてみろ、地獄を見せてやる。」


生徒への自己紹介がそれでいいのか?と思いつつも、今まであった悠長な雰囲気は完全に消え去っていた。


しかし


「レーネ先生!なんで私達がゴミ達と一緒のクラスなんですか!」


声のする方を向くと、そこにはジャックが立っていた。

その言葉にレン、グリウェン含めその場にいた庶民生徒は全員苛立つ。


「ゴミとは何のことを言っている?」


レーネ先生はそう投げ返すとすぐさまジャックは


「庶民生徒のことに決まってるだろ!」


「てめぇ……いい加減しろよ!!」


ジャックがレーネ先生の質問に答えたその瞬間グリウェンは怒り、ジャックに向かって魔法を放とうとしたが、放つことはなかった。


「貴様ら……私の目の前で何をしようとしている……?」


レーネ先生はそう話すと、グリウェンはすぐに魔法の詠唱を止めた。その顔は恐怖に染まっており、グリウェン曰くあのまま放っていれば殺されると思ったらしい。実際、何もしていないはずのレンも恐怖で体が震えるほどだった。しかし貴族生徒はレーネ先生の言葉を気にすることはなく


「見たでしょ!あんなゴミ達なんかと一緒にいたら僕たちの命が………」


ジャックが話している最中、レーネ先生はそのジャックに向かって


「ゴミは貴様の方だ!!!」


とジャックの話を遮り、ジャックに向かって


「庶民も貴族も関係ないと私は言ったよな?貴様は私の言葉を聞いた上で彼らのことをゴミ扱いした。私にとっては庶民という立場だけで彼らをゴミ扱いした貴様の方がよっぽどゴミだ!!!」


「一度だけ情けをくれてやる………次同じようなことをやってみろ、貴様をこの学園に通えないようにしてやる!!!」


その言葉でジャックを含めて教室にいた生徒全員がおとなしくなっていた。そして静寂の中、レーネ先生は僕の方へ向かってきた。僕の目の前に立ち、グリウェンに向かって


「貴様も同じだ!!何魔法を放とうとしてるんだ?貴様の魔法で他のやつらに被害が出ていたらどうするつもりだったんだ!」


「申し訳ありませんでしたっっっっっ!!!!!」


レーネ先生がグリウェンに怒鳴ると、グリウェンはすぐに謝った。教卓に戻る時レーネ先生が僕の方を少し見てきたような気がして、午前の授業はまるで頭に入らなかった。


授業が終わり、学園の食堂で昼食を食べていたレンとグリウェン。


「グリウェン、僕を挟んで怒られるのやめてくれない?心臓止まると思ったんだけど。」


「本当にごめん………」


レーネ先生の恐怖からか自己紹介をしていた頃のグリウェンは完全に消えていた。


「僕最初の授業全然頭に入ってなかったんだけどグリウェン覚えてる?」


「覚えてると思うか…………?俺もレンに聞こうと思ったのに…………」


「だよね…………」


そんな話をしている時、レンを二人の貴族生徒がレンの方を見ていたが、それにレンは気づくはなく午後の授業へと向かった。


「あれってもしかして…………」


「絶対そうだよ!やっと会えるんだ!!」


午後の授業の戦闘訓練の最中、金髪の女子貴族生徒と銀髪の男子貴族生徒と喜ぶように話していたが、別の教室ではレンとグリウェンを含め殆どの生徒が午前の授業を聞いてなかったことでレーネ先生に怒られていた。


「貴様らは午前の間何をやっていたんだ…………?」


苛立ちを隠しきれていないレーネ先生に殆どが怯える中、僕はレーネ先生に話しかけた。


「あの………何をするんですか……?」


「お前ら全員授業終わるまで走ってろ!!!」


僕の問いかけに怒りながら返すレーネ先生に僕含め逃げるように走りに行った。


そうして午後の授業が終わり、グリウェンとも別れ寮に向かう。


学園初日の授業は波乱に始まったが、友人が出来たのは安心した。

それと同時に魔眼のことを知られた時どうなってしまうのか不安にもなり、僕はそれを誤魔化すように自室を確認することにした。


扉を開け、中に入る。初めて見る場所の少しワクワクしながらキッチン、寝室と確認していく。広さは家と殆ど変わらなかった。そして本棚にある本を見ると


「え!?」


思わず声をあげてしまった。本棚の中には大量の魔導書が置かれていた。僕にとっては普段読むことが出来ない貴重な物が大量にあることに驚いた。


早速本棚にある魔導書を取りベッドで横になりながら読んでいると、疲れからか本を抱えたまま寝てしまった。


そして翌日、教室につくと椅子に座るとグリウェンが


「寮の部屋凄くなかったか!魔導書が本棚の中に大量にあるんだぜ!」


「凄かったよ!僕なんか魔導書読みながら横になってたら本を抱えたまま寝ちゃったし……」


興奮気味に話すグリウェンに対して僕も興奮気味に返した。

グリウェンと魔導書について話していると、レーネ先生が教室に入ってきて、話は中断されてしまい、午前の授業が始まった。

高評価でも低評価でも正直な評価が励みになります。


これから不定期ではありますが更新していきますので応援の程よろしくお願いします。

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