魔眼の少年
レンは魔眼病に罹ってしまった
魔眼病とは目が激痛とともに魔族の目に似ていってしまう病。
痛みを治療することは可能だが、目が元の状態に戻ることはなく
魔族の目に似るということから魔眼病を発症した者の周りには不幸が訪れるという伝説があり発症したものは、追放されてしまう。レンもその一人だ
レンは幼い頃家族との旅行中に魔眼病を発症し、両親に旅行先の森の中へ捨てられてしまった。
「自分を天使が生まれ変わったと言っていたのに………病気になったら捨てるんだ…」
レンは両親に裏切られたことにショックで暫くその場から動けなかったが、時間が経てば夜となり森は暗闇に覆われる。
夜はモンスターが活動する時間。それまでに森を抜け出せなければこの状態では生き残れない。
レンは痛みに耐えながらなんとか森から抜け出した。街にたどり着いたものの森から抜け出す為に体力をほとんど使い切り街に着くなり建物の壁に倒れるように座った。見知らぬ土地でどこに何があるかすらも分からない。
街の住人に助けてもらおうと残された体力を使いレンは
「あの…休める場所を…知りませんか?」
と話しかける。街の住人達は最初は親切に教えようとしたが、レンの目を見るとすぐさま逃げるかのように去っていく。次第にレンと話そうとするものは誰もいなくなり、レン自身も諦めてしまっていた。
時間が経ち意識が朦朧としてくる中
「ねえ君、大丈夫?」
と声が聞こえ、咄嗟に顔を上げるとそこには銀髪の少年とメイド服をきた女性が立っていた。
貴族のような少年が自分に話しかけてくることにレンは少し戸惑ったがこの人なら助けてくれるかもと今まで感じていた不安に期待が混じっていく。
そしてレンは言った。
「お願い………助けて……。」
銀髪の少年は少し微笑んだ顔で
「いいよ。」
と言いその声が聞こえた瞬間安心からか、レンの意識はそこで途絶えた。
翌日の朝
目を覚ましたレンの目に映ったのは優しい色合いの赤い天井、ふと起き上がり周りを見渡すと自分よりも何倍も大きいベッドで寝ていたことに気がつく。
一生見ることがないであろう景色を見ていることに動揺するものの、目の痛みがないことにはすぐ気が付い
た。
すると隣から
「んん……………ふぅ…」
と声が聞こえ、レンは
「えっ!?」
と驚きながら隣を見る。
そこには自分に救いの手を差し伸べてくれたであろう銀髪の少年がたった今起きる姿があった。
銀髪の少年もすぐにレンに気付き、レンに向かって
「もう起きてたんだね、昨日は大変だったでしょ。」
と放つ。
レンはその言葉を聞いては、
「僕を助けてくれてありがとう!」
と焦るように言った。
「そこまで焦らなくてもいいのに、面白い人だなぁ。」
と銀髪の少年は言う。
その言葉を聞いて少し照れるレンを見ながら、
「そうだ、僕の名前をまだ教えてないよね。」
「僕の名前はカイル、カイル・ジェスターって言うんだ。よろしくね?」
と銀髪の少年、及びカイルが言った。
それにレンはすぐ
「僕の名前はレンって言うんだ。助けてくれてありがとうカイル!」
と返す。
カイルは
「それさっきも聞いたよ?」
と微笑みながら言うと、レンはまた顔を赤くした。
それからカイルはレンにレンをジェスター家の養子として迎え入れたこと。しかしカイルの両親がレンをよく思っていないことを伝えた。
「僕は君の目特別でいいと思うんだけどなー」
両親がよく思っていないことを不思議そうに言うカイルを見たレンは
「ふふっありがとう」
と笑みをこぼした。
「じゃあ、とりあえず僕の家を案内をしよう!僕の家は結構面白いと思うんだ!ほらついてきて!」
そう言うとカイルはレンの手を引いて走った。カイルに連れて行かれた先は裏庭。様々な花が綺麗に咲き、その景色は芸術と言われても否定できないものだった。
「すごい………」
「でしょ!?僕もここすごい好きなんだ、時間さえあればここにずっといたいくらいなんだから。」
レンの言葉にカイルは自慢する様に話した。
「他の場所も見せてよ!」
レンはカイルに急かすように言う
「じゃあこれなんかはどう?」
「ほら、見て!」
カイルはレンに様々な場所を見せ、それは全てレンが見たことのない景色だった。
「すごかったよ!全部今まで見たことないくらい綺麗だった!」
「ふふっ見せれてよかった。そうだ!飲み物を持ってくるよ!ちょっと待ってて!」
裏庭に戻り、カイルが飲み物を取りに行っている間、レンが待っていると横から突然話しかけられる。
「お前のその目すっげぇ綺麗だな!」
レンに話しかけてきたのは金髪の少女だった。
「えっ!?あっ、ありがとう………」
レンが少し照れながら返事をするとカイルが戻ってきた。
「レン、お待たせー……って何でジェシカがいるの!?」
「なんだよ、いたら悪いのかよ」
「そう言うつもりで言ったんじゃないってば、紹介するよ、この子はジェシカ・ブライトって言うんだ。僕の友達なんだ。ていうかジェシカ、レンと何話してたの?」
「こいつの目がすっげぇ綺麗って言う話だよ!カイルもそう思うだろ?」
「こいつじゃなくてレンって名前があるんだからレンって呼んであげなよ!けど僕もレンの目は綺麗だと思うよ」
「ありがとう……………」
「あはっ、レンすっげぇ顔赤いぞ!照れてんのか!?」
ジェシカとカイルに茶化されながらも三人で話をする。そうする間に時間は過ぎていき、いつのまにかジェシカとカイルと一緒にいることが当たり前になってきていた。いつまでもずっと一緒、そう思っていた時だっ
た。
「レンを養子に出すことにした。」
カイルの両親から告げられた言葉だった。
「何で……?レンは別に何もしてないじゃん!」
カイルは不服そうに言う。
貴族であるジェスター家、ブライト家にとって魔眼を持つ子との接点があることは印象を悪くする原因になる。そう判断し、カイルの両親はレンを養子に出すことに決めたのだ。
「ごめん………レン……僕じゃ君を救ってやれなかった」
カイルは涙を浮かべながら言う。
「仕方ないよ、この目があまり良い印象じゃないのは分かってたし……けどきっとまた会えるから、会えたらまた話そう?」
「ジェシカに元気でって伝えておいてね。」
「当分会えなくなるのは寂しくなるけど、元気でねカイル」
数年後
「ついに学園に通う時が来ちゃったかぁ………」
僕は庶民家のアルファード家の養子として数年間育てられた。何故引き取られたのかはあまり覚えていない。
忙しかった家族を手伝っていたから、思い出す時間もなかった。
魔眼を持っているのに僕を育ててくれたことに感謝しないといけない。
学園では一般生徒は寮に入ることになる。つまり家に帰ることは基本できない。
「当分会えなくなるのは寂しくなるけど。」
レンが家族との思い出を振り返っている時、目の前に輝かしい色をした金髪の少女貴族生徒が通った。
「綺麗な髪の人………」
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