【8】協力者(サポーター)
「おー。派手に飛んだねー。」
そう言う割に各務さんはあまり驚いた様子を見せない。
「中の誘拐犯生きてるかなー?」
「!?」
しまった!何も考え無しに…!
慌てて車の方へ走り、中の様子を確認する。
「…良かった…。」
中で3人気絶していたが、呼吸をしているのが分かったので安堵する。
「さて、アイツを呼ぶか…。あ、人形は隠しといてね。」
いつの間にか後ろに来ていた各務さんは携帯を取り出し何処に掛ける。
「おーっす。待て待て、切るな。各務だよ。
例の件で話がある。…おう。場所は…」
人形どうやって隠そう…。
十数分後…
一台の黒いセダンの車がやってきた。
その中から目の下のクマが凄いが、凄い潔癖そうなオーラを醸し出すイケメンが降りてきた。
「で、各務。何をやらかした?」
「まあ待てよ。誘拐犯を捕まえたんだよ。」
「何だと!?」
「この少年がな。」
イケメンはこちらに振り向く。
「ほう。君、名前は?」
「山本 剛です…。」
「タケル君、凄いじゃないか!…っと失礼、私が名乗っていないね…。」
イケメンさんはスーツの内ポケットに手を突っ込み黒い何かを取り出す。
「私は穂原市警察署の刑事をやっている高天原 真実というものだ。」
高天原刑事は警察手帳を出しながら自己紹介をする。
「…でもどうやって捕まえたんだい?」
「あー、彼ねー、同業者だわ。」
「…何だと?」
「同業者。」
「胃が…。頭が…。」
「まあまあ、そうはしゃぐなよ。」
「五月蝿い。…タケル君、君はこの男みたいになるなよ…。」
高天原刑事は『あー、断罪者が2人もこの地域にいんのかよー、事後処理やら情報操作、隠蔽工作がぁ…』と目を虚にしながら呟いていた。
「タケル君、彼は断罪者の存在を知っている数少ない俺の協力者だよ。」
各務さんはそんな刑事を指差しながら説明をした。