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断罪者 零 〜月光の機神〜  作者: 佐脇(吐血)
第一章:月の覚醒
2/12

【1】日常の一時

穂原市(ほのはらし)


この地域は太古から稲作に適した地域であったため、この名前に決まったという。

農耕に適した地域であるため、豊作を祈願するため街の東部には有名な稲荷神社が建立している。


『-この稲荷神社の周りには古い建物が並ぶ住宅街があり-』


知ってるよ先生。だって俺の家その古い建物の一つだからさ…。というか生徒の大半はこの地域の生徒なんだから知ってるよそんなの…。


春の暖かい日差しが教室に入り込む午後。

A県立穂坂高校の生徒の1人である山本剛(ヤマモト タケル)16歳は眠さと戦いながら授業を受ける。


この教師は授業内容から脱線しやすいのだ。

『戦国時代にはかの有名な武将の軍師が養子にいたという話もあり-』

もう止まらないじゃん…。まああと少しで授業終わるからいいか…。


キーンコーン…キーンコーン…

『おや、私とした事が…古文の教師なのにこの街の歴史についての話に夢中になるあまり授業を疎かにしてしまった…。』

『起立!気を付け!礼!ありあっしたー!』

教師がぶつぶつ呟くのを遮るかのように今日の日直が素早く号令を掛けたのだ…。


時は少し流れ、HR。

『ここ最近市内で誘拐事件が発生してます。

皆さんも注意してくださいね。では、さようなら。』

担任の教師が全ての連絡事項を終えた後、そう言った。


誘拐事件ねぇ…。まあそんな事には遭遇しないでしょ。

それより、帰宅したら蔵の掃除を祖父と約束してるんだよな…。

「はぁ…面倒だわ…。」

「何で溜息ついてるの?」

俺が大きめの溜息を吐いた時、隣にいる幼馴染みである高嶺桜花(タカミネ オウカ)が覗き込むように尋ねてきた。


「この後の大変さを想像すると溜息も出るさ…というか、近いから。離れなさい。」

「そんなに気にしなくて良いのに〜。」

気にしますよ…。

この幼馴染みは昔から一緒にいる俺から見ても美少女なのだ。

もちろん、それを他の男連中が放っておくわけがない。校内ではファンクラブも設立されてるぐらいだ…。昭和かよ…。

一年前に、桜花のファンクラブ会長から

『お前をこのファンクラブにいれる事は絶対に無い、残念だったなぁぁ!!』と言われた事がある。

別に入りたくもないので、『ソウデスカ…』と適当な返事をしたら…

『貴様ァ!それが幼馴染みの余裕ってやつかぁぁ!妬ましい!妬ましいぃぃぃ!』と騒ぎだしたのでアイアンクローで黙らしたっけ…。


「剛、どうしてそんな遠い目をしてるの?」

「一年前の今頃を思い出したらね…」

「ふ〜ん?おじいさんみたいな事言うね?」

と言いながらまたこっちを覗き込んでくる。


…さっきから周囲の男性陣から俺への怨嗟の視線が飛んできてるからやめてほしい。

あと少しで桜花の家だ。我慢だ、我慢…。

「ん…じゃあな桜花。」

「また明日ね〜。寝坊しないでね!」


そうして俺は桜花と別れ、少し歩調を早めて自宅へと急いだ。

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