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断罪者 零 〜月光の機神〜  作者: 佐脇(吐血)
第一章:月の覚醒
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【9】真実と覚悟


「なるほど…この女の子が拐われそうになった所を見つけて応戦したらこの人形が覚醒したと…。」

落ち着いた高天原刑事は俺から事のあらましを聞いてそう呟いた。

「本当なら警察に通報して、危ない事に首を突っ込むなと言わなきゃなんだが…ハハハ。」

あ、まだ目が虚だ…。

「さて…高天原。お前を呼んだのはこれから誘拐犯達(コイツら)に色々と聞きださせるからだ。」

「ああ、この誘拐事件はもう表に出過ぎているから断罪者権限で処理は出来なくなっているからな…では、やってくれ。」

各務さんは上着から丸い物を取り出し、誘拐犯の1人にかざす。

あれは…歴史の教科書で見た銅鏡ってやつか?


「我、この者の罪を問う…。我に真実を語りたまえ…!顕現せよ!"真実を語る(ヤタノカガミ)"!」

各務さんがそう唱えると手に持っている鏡が光り輝く。

「タケル君、あれが各務(アイツ)の断罪者の聖具である"真実を語る(ヤタノカガミ)"だ。あれは対象の記憶を読み取り事の真相を明らかにするんだ。今まで何件かの事件もあの能力(マテリアル)で解決出来ている。」

高天原刑事は悔しさと尊敬が入り混じる顔で各務さんを見ながら語る。

断罪者の聖具って闘う能力だけじゃないんだぁ…

「ん。分かったぞ。」

「どうだ?」

穂国(ホノクニ)の港の第一倉庫がアジトかつ拐った娘達の保管場所だな。」

穂国(ホノクニ)…隣の市か。

「分かった。ではすぐに署に戻って…「まあ待て。」」

「…どうした?」

「どうやら俺も行かねばならないようだ。」

「…まさか!」

「ああ、社会に出せない(ざんぎょう)があるみたいだ…。」

「…分かった。なら任せて良いか?」

「ああ。終わったら連絡する。」

2人は真剣な顔で向かい合う。


「タケル君。この娘は僕が責任持って家に送り届けるよ。」

十数分後、高天原刑事が応援を呼んだ為、現場は赤い光でいっぱいになった。

気絶している犯人達をパトカーに押し込む様子を眺めていると、未だ気を失ったままの桜花を後部座席に寝かせながら高天原刑事がそう言ってきた。

「あ、はい。…え?俺は?」

「君は俺と一緒に残業だよ♪」

「………は?」

各務さんが肩に力を入れて俺を逃がさないと言わないばかりに圧をかけてくる。


「いや、でもですね?俺も怪我をしていたい痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いぃぃぃ!怪我してる所に追い討ちをかけないでぇぇぇ!」

「銃弾が掠っただけじゃないか♪」

「いやいやいやいや!!痛いですからね普通に!あ、待って!!指を曲げて傷に食い込ませようとしないで!」

高天原刑事が哀れみの目線を向けているのが見える。

「さ、行こうか♪」

各務さんは俺の首に腕を回し無理矢理引き摺る。

「さ、忘れ物無いね?人形(ツクヨミ)はちゃんと持っているね?」

パトカー達が来る前に何とか元の姿に戻ったツクヨミは今学ランの内ポケットに入っているけど…

「俺が行っても役に立ちませんよ!」

必死に抵抗をする。

しかし、各務さんは急に冷めたトーンでこう言った。

「あの犯人(おとこ)の記憶を読んだ時、この誘拐事件にはヤクザと中華系マフィアが絡んでいる事が分かった。しかも、かなり大きくて警察も手が出せない…。だが、今すぐ動かないと拐われた娘達が今夜売り払われる事になる…。それを君は放置するのかい?自分の幼馴染みだけ助かれば良いのかい?」

俺はその言葉に顔を青くする。

…そうだ。桜花はたまたま助かった…。

でも俺があの時居なかったら今頃は他の娘達と一緒に売り払われていたんだ…。

拐われた娘達は今も恐怖に震えているだろう…。

「……分かりました。」

俺は覚悟を決めて各務さんを真っ直ぐに見つめる。

「ん。よろしい。」

各務さんの雰囲気が元に戻る。


「じゃ、行こうか♪」



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