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四人の花嫁 4
皇を違えれば国が滅びる。
そんな言い伝えなど馬鹿馬鹿しいと思うだろうが、50年程前国の理を無視し皇になった者がいた。
皇族ではないものの聡明で慈悲の心を持った男で、圧政を強いていた暴君より余程相応しいと官吏からも民衆からも多くの支持を得た。
これで善い国になると皆、期待をしたのだが即位後すぐに異変が起きた。
まず海から魚が、山から獣が姿を消した。
そして雨が降り出した。
雨は幾月も止まなかった。
河は荒れ、作物は枯れ、疫病が蔓延し民の多くが命を落とした。
理など皇族に都合の良い昔話や神話だと信じていた者達も皆恐れだした。
天に意志があるのだと。
彼は自らの過ちを後悔し、国が滅ぶ前にと自ら退位したという。
そのような歴史があるせいで、唯一皇の血を持つ浩全を廃することが出来なかったのだ。
浩全もそれを見越して皇族を次々と処刑したのであろう。
自分しかいなければどんな事をしても皇でいられると。
暴君に任せ国を滅ぼされるか、賢君を立て天に国を滅ぼされるか、どちらを選んでも国は滅びる。
皆が考えあぐねていた所、一人の男が現れた。
琥珀色の瞳を持つ少女を伴って。




