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かつて希望だった者、今は災厄な物  作者: 奈月四季
一章『辿り着いた世界』
6/7

着せ替え人形

 部屋の扉が閉められた。


今現在俺は自らが起きた部屋の中にいる。

 凜音と飛鳥と共に・・・


 「あら、可愛いらしい部屋じゃない」

 「そうですね、とても男の子の部屋とは思いません」


 そう言いながら二人は床に座った。


 「今は女の子なんだけどな・・・」


 俺は吐き捨てるように言った。


 これからされることが何故か予想できる。状況から、どう考えても俺は着せ替え人形として扱われる。


 「蓮くんのままがいい? それとも蓮ちゃん?」


 笑みを浮かべながら飛鳥が聞いてくる。


 「任せる」


 自分では判断しかねるので俺は彼女らに判断を委ねた。


 「じゃぁ、蓮ちゃんね」

 さらに笑いながら飛鳥は言う。


 まぁ、そうなるだろうな・・・


 薄々予想のついていた俺は心の中でそっと呟いた。


 「じゃぁ、私も蓮ちゃんってよーぼう」

 凜音も笑顔でそう言う。


 「前まで白鐘くんだったじゃん・・・」

 「いいんですよ、別に」


 いいのかよ・・・


 今まで凜音とは少し距離感があったような気がしていたのだが、今回の件で良くも悪くも距離が近くなったような気がした。


 「さてと、これから蓮ちゃんには女の子としてのあれこれを教えて行こうと思います」

 「服だけじゃないの!?」


 俺はてっきり着せ替え人形にされるだけだと思っていたが、どうやらそれだけじゃなかったようだ。


 「あたり前よ。男の子と女の子じゃ結構違うところがあるし、どうせ戻る手段が見つからない限りこのままでしょう?」


 無知より恐ろしいことはない。

 こうやって教えてくれる人がいるのは救いだと思う。


 「色々教えてあげるのは私も賛成まずは服を着せてあげようよ」

 「そのつもりよ。と言っても私は治るまで片腕だから、口は出せるけどそれ以外は凜音ちゃん頼んだ」

 「わかりました」


 凜音と飛鳥はクローゼットをあさり始めた。


 「お、これいいんじゃない!」


 そうやって飛鳥が出して来たのはゴスロリドレスだった。


 「絶対似合わないし、なんでそんなのが入ってるんだよ」


 確かに異世界じゃ着ててもおかしくないような気はするが。


 「とりあえず着なさいね」


 俺の元に飛鳥はドレスを押し付けて来たのでしょうがなく持つ。

 それを見ていた凜音は俺の元へとやってきてドレスを手に取った。


 「着せてあげますよ」

 そう一言言った。


 「いや、一人でも別に・・・」

 「いいの、いいの」


 俺の声を断ち切るように凜音が押し切る。


 「じゃぁ、よろしく・・・」


 キッパリ断ることのできない俺の性格が出た。


 俺の返事を聞くや否やドレスを着せ始めた。


 俺の肩に凜音の手が触れる。柔らかくスベスベした手。そこから人の温もりを感じた。


 少し照れる。


 例え見た目は女の子になっても男の時に持ち合わせていた感情は健在なのだと分かった。

 異性とのこの距離。今は同性なのだが。今までの人生で女の子に縁のなかった俺には到底なしえなかった物。妹がいたがあれは違うだろう。


 心臓がバクバクしているのがわかる。バレないように抑えようとするができるわけもなく。


 「ねぇ、蓮ちゃん?」

 俺の耳元で凜音が囁く。


 バレたか?


 「ん?」


 どこか焦りを隠せてない声で返事を返した。


 「尻尾と耳触っていい?」 


 ホッと安心した。どうやら焦るにはまだ早かったようだ。


 「別に構わないけど」


 まぁ、尻尾と耳を触る位なら構わないだろう。


 「やった! さっきからもふもふしたかったんだよね」


 もふもふか。確かに言われて見ればふわふわしてて触り心地が良さそうだ。


 後でさわって・・・


 「ひゃぅっ!」


 変な感覚が体を走り、それと同時にどこから出てきたか分からないような声が出てしまう。


 「大丈夫!?」

 焦り混じりの声で凜音が聞いてくる。


 「大丈夫・・・」


 一瞬だけ変な感覚に襲われはしたが今は先程と変わらず問題ない。


 「どこかえっちな声が聞こえた気が・・・」

 「飛鳥ちゃんは黙ってて」

 「はい・・・」

 飛鳥はしゅんとして黙り込む。


 「痛かった?」

 「いや、痛いって訳じゃないけど、なんか変な感覚が走った」


 とりあえず俺は自分の身に何が起きたかを話した。恐らく凜音は自体を俺よりも深刻に捉えているらしい。


 「もう触らない方がいいよね?」 

 「いや、初めての感覚だったから驚いただけ。ちゃんと言ってくれればいつでも触ってくれて結構だよ」


 凜音を落ち着かせるために俺は軽く微笑みそう返した。


 「そんなことより」

 微妙な雰囲気を断ち切るように飛鳥が割って入る。


 「蓮ちゃんの着せ替えは終わった?」

 「一応できてるけど」


 凜音がそう答えると飛鳥は、姿見を持ってきた。


 「こっち向いて」


 言われた通りに俺は姿見の方へと体を向けた。

 そこに居たのはゴスロリドレスを着こなしたけも耳少女。白髪の髪が黒いドレスとよくあっており可愛らしい。


 「むっちゃ可愛いじゃない」

 「素材が良すぎますね」

 そう二人から褒められる。


 確かに可愛い。


でも一人だけ堅苦しい服装だと思った。みんな軽い服装なのに俺だけゴスロリドレスってまずない。それに戦うために俺たちはここに来ている。この服装じゃとても動けたものではない。


 ヒラヒラしたスカートがとても邪魔だ。それに股下が無防備すぎて落ち着かない。


 「確かに、俺も可愛いと思う。けど、動きにくいし軽い服装の方がいい」

 「今のままでいいと思うんだけどなぁ」

 小さな声で飛鳥は言いながらクローゼットへ戻る。


 「そう言ってもこんなものしかないよ」


 クローゼットから飛鳥がが出して来たのは、メイド服、白いドレス、フリフリの着いた水着、セーラー服、巫女服


 「他は?」

 「ないね」

 「ないの!?」


 クローゼットの中身がどう考えてもコスプレイヤーのそれなのだが・・・ 


 まぁ、いいや。


 この中で一番動きやすそうなのは巫女服だろう。水着の方が圧倒的に動きやすいだろうが、水着でその辺を動き回るのは普通はないだろう。


 「巫女服がいい」

 俺は飛鳥達にそう言った。


 「そうね、これが一番動きやすそうだし、獣人に似合いそうだよね」


 凜音とは同じ意見だ。動きやすいだろうし、獣人には恐らく良く似合う。


 「着替えさせてあげましょうか?」

 「いや、自分でできる」


 凛音が聞いてきたが俺は断った。


 着替えさせられているあの距離感はどこかむず痒かった。

 俺は巫女服を手に取るのだった。



 

 え、袴短・・・

 ほぼミニスカートじゃん。

 

 

 

 

 

 

学生なのでなかなか書く時間が取れないのでいつ投稿できるか分かりません。

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