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隻腕の魔法使い  作者: 木三並
第1部
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第4話

前話のあらすじ:太一、本人の許可なしに個人情報をばらされる

「話が変わるが、今日のこれからの授業ってなんだ?」


「石島君が言ってた通り午後はフィールド演習なんだけど、今回の演習は高校のグラウンド(ここ)ではできない内容らしくて、演習場に移動しなきゃいけないから、午前中の授業は次の魔法学理論で終わりだよ」


「午後の演習は移動しなきゃいけないあたりがに面倒なんだが、魔法学理論はそれ以上にめんどくさいな...」


「どっちにしても『めんどくさい』なんですね。でも魔法学理論は、私としてはすごく勉強になる内容だと思うんだけど」


魔法学理論(あれ)は魔法を初めて使う人だったり、基本的な部分をもう一度勉強し直したい人、将来的に魔法術式学を専攻したいって人とかにはためになる内容なのかもしれないけど、俺みたいな発動方法が違う(マニアックな)魔法を使う人間にとってはあまり意味ないんだよ。もはや単位を取るためだけに出席している授業と言っても過言ではないし、サボれるのならサボりたい」


「授業をサボるのはダメです!でも、鎖藤君の魔法って私たちが使う魔法とはちょっと違うんですか?」


「そういえば、過去の演習か何かの時に先生が、「太一が使う魔法は系統外魔法だ」みたいなことを言っていたような記憶はあるが、どこがどう違うのかとかは何も言ってなかったな。具体的にどういったところに違いがあるんだ?」


「魔法を発動するにあたって術式を使うところや魔力を必要とするあたりは一般的な魔法と一緒だな。ただ、俺が使う魔法は一般的な魔法(それ)と違って、『自然の力を介さずに直接発動している』ってところが一番の違いになるだろうな、たぶん」


「自然を介すか介さないかだけだったら、あまり変わらない気もするけど」


「いや、一般的な魔法は自然を介して発動するが故に、火や風、水といった、『属性』が付与されたものしか基本的に発動することができない。そして魔法を発動するための術式も、その属性を発動・増幅させるための式が組み込まれている。一方の俺が使う魔法は、自然を介す必要がないから、そういった式が術式の中に組み込まれてないんだ。属性に関する式が組み込まれないということは、術式がその分だけ簡素化されるということだから、魔法の発動スピードはもちろん上昇する。それから、他の式...例えば操作に関する式を組み込めば、通常より高精度な魔法を使うこともできるようになる」


「操作については俺たちが使う魔法にも組み込むことができるんじゃないのか?」


「一応できるが、『属性』に加えて『操作』という変数が一つ増えることになるから、それだけ魔法の発動や制御が難しくなるらしい。そもそも通常の魔法は、自然の力をどれだけ取り込むかによって魔法の威力が上がるようになってるから、そのあたりの制御も考えると、なおさら大変なんだそうだ」


「見た目では小さな違いのようでも、実際は大きな違いになるんですね」


「あと、俺の魔法のメリットをもう一個挙げるとしたら、周辺環境に影響されずに魔法を行使できるってところになるのかね」


「周辺環境に影響されない?」


「雨が降っている中では火の魔法が減衰してしまったり、水がないところでは水の魔法を発動するのが難しかったり、発動できても威力が十分でなかったりといったことか」


「概ね順一郎の言う通り。一方でデメリットも勿論ある。一つ目は出力。これは自然を介していないから、魔法の威力は本人の魔力量に依存されてしまうということ。二つ目は、魔法に属性が付与されていないから、火に水、雷に土といった、相手の魔法に効果的な攻撃を与えることができないってことだな。まあ、二つ目はデメリットと言っていいのかわからんが」


「魔法の威力や属性の付与といったところにデメリットがあるとしても、今までの話を聞く限りでは鎖藤君が使う魔法の方が私たちの魔法よりも実践的な魔法ですよね。であれば、もう少し今の時代に使われていてもおかしくないと思うんですけど」


「たしかに、それは白崎さんの言う通りだな。今、系統外魔法があまり使われていない理由を太一は何か知らないのか?」


「俺の魔法が使われていない理由については、一応調べたことはあるんだが、系統外魔法に関する当時の資料やそれを研究した資料がそんなに残ってなかったから、詳しいことは俺も正直わからん。ただ、魔法使いが貴重だったという過去の歴史などから考えれば、発動に多少のラグがあったとしても、少ない魔力量で高い威力の魔法を発動できるっていう、一般的な魔法のメリットが重要視されていたんじゃないかね?」


「へぇ、そうなんですね」


「さっきも言ったように、系統外魔法に関する当時の資料がそんなになかったから、こればかりは推測の域を出ないがな」


「確か、今日の魔法学は魔法史をメインテーマにしていたはずだから、わからないことがあったら先生にどんどん聞くといいんじゃないかな」


「それもそうですね。でも、いろいろなお話をしていたら休み時間もあっという間ですね」


「そうだな。あと、成績がいいことは前からわかっていたことではあるけど、太一にこれだけの知識があるというのも、意外な収穫だったな」


「鎖藤君が以前からこういったことを知っていたのか、それともサボっている時に調べていたのかはわかりませんけどね。たぶん前者だとおもいますけど」


「間違いなく前者だろうね」


「言い方はあれだがとりあえず、次の授業の内容を俺は理解している、というお墨付きをお二人からいただけたようだから、俺はそろそろ寝るわ。授業が終わったあたりで起こしてくれ」


そう言い残して太一は机に突っ伏して寝ようとしたのだが...


「お墨付きなんて与えていませんし、そもそも鎖藤君はまじめに授業を受けてください。もし、次の授業で寝ていたら、この歴史書を頭の上から落としますからね」


分厚い教科書を片手にがニコニコする彩音の笑顔(脅迫)を再度目の当たりにした太一は、机に突っ伏すのをやめてしぶしぶ授業を受けることにしたのであった。


現在執筆中の第5話は次の週末を目途にアップしたいと思っています。


最新話のアップ前、アップ後に内容のチェックは行っていますが、全ての誤字脱字を発見・修正できているわけではないので、もし読んでいる途中で気になるところがあったら、連絡いただけるとありがたいです。


もちろん誤字脱字報告ではなく、物語の感想もウェルカムです。

皆様からの声は励みになりますので(`・ω・´)

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