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隻腕の魔法使い  作者: 木三並
第1部
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第15話

前話のあらすじ:天宮と紅川、狙撃手を考察する

「...ん?少しずつだがこっちに近づいてきている反応があるな」


天宮たちを攻撃していたリーダーらを狙撃した後、太一はフィールドが縮小されるまでの間、再度身を潜めようとしていたのだったが、自らが身を潜める建物へと近づいて来る反応があることに気づいた。


「魔力反応の数は合計で4つ...俺が知る限り、この演習で4人以上で動いてたグループは1つしかなかったし、こいつらが1時の方角からこっちに向かってきているところから考えても、この集団は嫌々従ってた奴ら( あの4人組 )ってことになるんだろうな。魔力残量から考えて、助けてやった方(あの2人組)身を潜める(移動する)と思ってたんだが、これは予想が外れたか」


そういいながら太一はライフルを再度外に向け、備え付けたスコープを使って建物の周囲の捜索をはじめる。


「(4人組(あっち)の進路上には一応、2体1で戦っているやつらもいるわけだが、素人に多少毛が生えた程度の高校生の魔法の有効範囲(探知可能な距離)から考えると、向こうをターゲットに動いているとは思えない。とすれば、あちらさんの狙いは俺自身(こっち)、と見て間違いないんだろうな...)」


先ほど狙撃を行った1時の方向を重点的に捜索したものの、ターゲットと思しき相手を視認することはできなかった。


「流石にこっちから一方的に攻撃されないよう、隠れながら移動してはきているみたいだな。あの場所に残った2人組も大きく移動はしてはいないみたいだが、狙い撃ちされないように身を隠したようだし、そういう意味では当然といえば当然の行動か」


スコープから視線を外し、周りから視認されないよう、建物内に再び身を隠した太一は、自身へと迫る相手への対処方法を考え始める。


「まあ、相手の捕捉はできてる(位置はわかってる)し、ワイヤートラップも周囲に張ってあるから、対応は何とでもできるんだが、一番の問題は4対1で戦う(こっちが1人)ことを相手がどう思ってるかってところなんだよなぁ...」


向かってくる相手を迎撃するため、太一は残弾が残っている(5発しか撃っていない)マガジンを別のマガジンに差し替えながらそう呟く。


「俺は4対1でもいいんだが、相手の中にもし、6対2で戦うこと(さっきみたいな戦い方)を嫌うやつが1人でもいて、こっちが1人ってことに途中で気づいたら、直前に行動を変えてくる(戦闘を回避してくる)って可能性も否定はできないしねぇ...さて、どうしたもんか」


銃口に接続したロングバレルも外し、ある程度の準備が整ったところで、太一はあることにふと気づいた。


「そういえばこの演習、『どう戦ったかを重視する』と言ってた割には烏岩先輩含めて、『演習で使ってはいけないもの』については特段何も言ってなかったし、触れてすらいなかったってことは、演習場(ここ)にあるものは何でも使っていい(・・・・・・・・)...ってことでいいんだよな」


そういいながら建物内のとある方向(・・・・・)を見る太一。


「向こうがこっちを補足するまでにまだ時間があるだろうから、もうちょっと仕掛けを準備するつもりではいたけど、予定通りこっちを攻めさせるために、少しばかり手伝ってもらいますか(・・・・・・・・・・)


あくどい顔...とまではいわないものの、相手を迎え撃つための準備を進めようとしている太一の顔は何かをやらかす気満々の顔をしているのであった。


「細工は流々、あとは仕上げを御覧じろ...ってね」








「時間はかかってしまったけど、さっきの狙撃のあった方向から考えて、目標の相手(ターゲット)が潜んでいるのはあの建物とみて間違いないね」


天宮たちと戦っていた4人組は、2人と別れた後、自分たちが所属していたチームを襲った狙撃手と戦うべく、狙撃が行われた方向へと隠れながら移動し続け、ようやく目標(太一)がいる場所へ到着した。


「隠れながらここまで移動してきたからどっちが北かもわからないんだけど、本当にあの建物のある方向が攻撃が行われた方向で合ってるの?」


光が差し込んでいるとはいえ木々が生い茂る演習場で、しかも隠れながら移動したことで方角がわからなくなっていた女子生徒が、現在チームを率いている仮のリーダー(インテリ)に疑問を呈す。


「方角についてはたまに見えてた太陽の位置や影の向き、時計の針で確認しながら移動したから間違いないと思うね...ところであの建物内の反応はどうなってる?」


「時折見せていたあの行動には、そういう意味があったんだな...建物方向に飛ばした探知魔法(サーチャー)に引っかかった反応が2つあるから、相手の数は2人(・・・・・・・)だろうな」


「2人か...4対2で戦うっていうのもちょっと気は引けるけど、4対1で戦うよりはましかな?」


「うん、私も相手の数がもし1人だったらどうしようって、移動している時からずっと気になってたけど、あっちは2人いるんだね」


「高度な隠ぺい魔法や阻害魔法を使ってあっちがこっちの探知を妨害してたら話は別なんだが、反応が2つある(・・・・・・・)っては間違いないから、少なくとも2人は居るはずだな」


「であれば当初の予定通り、さっきの狙撃を行ったチームが隠れていると予想される、あの建物に攻撃を仕掛けよう。建物の周りは見たところでは、罠が仕掛けられているような形跡はないみたいだけど、何か反応はあるかい?」


「ちょっと待ってくれ...ここと建物のちょうど真ん中あたりに、何らかの魔法が仕掛けられているみたいだな。相手が遠距離タイプであることを考慮すると、仕掛けられているのは拘束型の魔法、といったところじゃないか?」


「今ある情報から考えても相手のチームは、遠距離型と支援型から構成されているチーム...と見て間違いなさそうだね。狙撃のリロード間隔がどのくらいあるのかは不明だけど、建物の周りのトラップが一見しただけではわからないように巧妙に設置されているところから考えると、短時間での連射はできない可能性が高い。であればまず、設置されているトラップを無効化して、次に的を絞られないよう散開しながら建物に一気に近づいて相手に攻撃をかける...といったところでどうだろう?」


「それが現実的な戦い方だな。それと設置されてる魔法、どうやら動くものに反応して発動する探知型の拘束魔法みたいだ」


「動くものに反応するのなら、私たちがそこ場所を通過するより先に何か別のものをぶつければ、魔法を誤作動させることもできそうだね」


「風系統の魔法はそれなりに扱えるから、その役割は僕がやろう。ちょうどここに折れた枝や大きめの石とかも転がっているみたいだしね。これをまず最初に飛ばして、相手のトラップを発動させてから一斉に突撃する、異論はないね」


インテリは現在自らが率いているチームの3人に方針を確認し、一様に頷いたことを確認すると、足元にある木の枝や石を建物がある方角に向けて飛ばし始めた。


第15話更新しました。


第16話も少しずつですが執筆を進めていますので、出来上がってチェックが終わったら更新を行う予定です。

これからも引き続き、よろしくお願いいたします。



しかし、太一は一体何やらかすんでしょうね。

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