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※R15程度の表現あり※

ご注意ください

「やっ・・・・ああぁ・・・っ!アルキシン様っ・・・離して・・・!!」



強い快楽に腰を浮かしてしまうユエをアルキシンは許さないとでもいうように腰を抑える。


「ユエ、誓え。2度と俺に他の女を勧めるな。」


快楽によって思考が遮られているユエはただ甘い声を出しながら首を縦に振る。


「忘れるなよ。絶対に誓いを破ることは許さない」


綺麗な長い金色の髪。潤んだ青い瞳。薄くピンクに染まった頬に綺麗な白い体。


小柄で華奢なユエ。全てがアルキシンを煽り夢中にさせる。


すれ違った心を元に戻すかのように快楽に溺れ、朝が訪れるまで何度も交わった二人。


明るくなった部屋で、ユエの綺麗な髪をすくい口づけを落とすアルキシンが囁いた切なる願いは、意識を失ったユエに届く事はなく朝の輝きの中に消えていく。


「ユエ・・・・俺から離れるな・・・っ」






―――――――――――――――――――――――――――――――





「痛い・・・」


痛みに呻きながらもベッドからはいずり出ると、マリアが声をかけてきた。


「ユエ様 起きましたか?もうお昼ですよ。」


部屋の扉から私を窺うように顔を覗かしたマリアの言葉に私は驚愕した。


「お昼?!あっ・・・!私仕事・・・っ!」


私は慌てて服を着替えようとしたところで、マリアが止めに入った。


「大丈夫ですよ。今日はお仕事をお休みになるようにとのお申し付けです。」


「え?誰から?」


「陛下ですわ。」


私は唖然とした。

こうもタイミングよく休みをもらえるなんておかしい。


きっと陛下は昨日の私とアルキシン様の事を知っているに違いない・・・


―― アルキシン様が王様に話して私の事休みにしたんだわ


私は顔が赤くなるのを抑えられなかった。


「最悪・・・」


私がアルキシン様の側室だという事は公の事実だけれども“夜を共にしました”などという細かい事まで知られるのは、補佐官として陛下と顔を合わせている私としては恥ずかしすぎる。





それから開き直ってのんびり昼食を済ませた私は、続きの服を作る事にした。


今までにできた服は15着


睡眠をけずった甲斐あって結構な数ができたと思う。


借金も収入を全額回しているのでかなりの額が返済できた。


きっとお金の問題は解決するはず。


あとはアルキシン様に幸せになってもらい・・・笑顔がみれれば・・・私はきっと悔いなく死ねると思う。


でも、昨夜肝心のアルキシン様から、女性を勧めるのをやめるよう言われてしまった私は、どうしたら殿下の幸せそうな笑顔が見れるのかわからなかった。






余命1年と宣告されてから、あと1ヵ月で半年が経とうとしている。


体調が日に日に悪くなっているのが自分でもわかる。


鳴りやまない耳鳴り。


寝ているときでさえ治まらなくなってきた頭痛。


そして、何よりも苦痛なのは吐き気・・・。


耳鳴りと頭痛は隠すことができるけれど、吐いてしまったら隠せない。


手洗い場に慌てて駆け込んだ回数は両手では数えきれず、その都度声を殺して嘔吐する自分に嫌気がさしてきた。


苦しい・・・。


健康じゃない事がこんなにもつらいものだとは知らなかった。


でもアルキシン様と寝ている時に吐くという事がない分、まだましかなと思う。


頭痛と耳鳴りはしていても、吐かなければ隠し通せる。



―――――――――――――――――――――――――――――――




そんなある日の休憩時間


カスミ草の花は枯れてしまったが緑が強く主張する庭園で私は体を休めていた。


すると、


「お久しぶりですね。」


あのカスミ草の女性が私に近づいてきた。


私は慌てて立ち上がった。


その反動でおとずれた吐き気を必至に我慢する。


「お久しぶりです。カスミ草が枯れてしまったのでもう御目にかかる事はないかと思っていました。」


何とか笑顔で応える私に彼女は美しい笑顔をみせた。


「あら、わたくしカスミ草が1番好きですけども、このお庭自体も気にいっておりますのよ。」


「そうですか。綺麗な庭ですからね。」


そこで私は自分の名前を述べていない事と、彼女の名前を知らない事に気づく。


「申し遅れました。私は王の補佐官をしております”ユエ・ナハル”と申します。」


私が礼をすると彼女も礼を返してくれた。


「ユエ様でしたか。存じ上げてますわ。わたくしはレイン・ハーニファン・・・私もこのダーフォン国の皇太子さま、アルキシン様の側室です。」


その言葉に私は驚き、彼女をまじまじと見てしまった。


「そんなに驚きます?この庭園に来れる女性は限られていますし予想はつくでしょうに。ちなみに同じ側室という立場ですのに私の名前すらご存知なかったのかしら?」


くすくすと笑うレイン様。


私はあわてて頭を下げ謝罪をする。


「冗談ですわ。」


サラサラと流れるように笑うレイン様。


アルキシン様の側室・・・私と同じ立場ではあるけれど私とは違う本物の“側室”の方。


側室であるなら・・・すでにアルキシン様と夜を共にしているだろう。


こんなに綺麗で優しい女性ならば私が心配しなくても、きっとアルキシン様は彼女に惹かれるはず。


私はアルキシン様の幸せな笑顔を夢見て、レイン様に別れを告げその場を去った。

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