俺のバカ嫁
世の中はバカばかりだ。
この世の中は一握りの賢人によって動かされ支配されている。
バカは決められたレールの上で決められたことしかできない。
そして限らた枠の中で幸せを見出し死んでゆく。
俺はそんなバカを見下していた。
「もっとわかりやすく教えろよ!」
こいつもそんなバカの一人。
いいだろう、バカを指導する訓練の為に利用させてもらおう。
俺は今までの人生の時間をほとんど勉強に費やしてきた。
小さい頃はみんなが空き地で野球をやっていた時、俺は算数ドリルを何十冊とやってきた。
丸々1冊を全問正解で終えた時の快感は何事にも代えがたい。
「そんな人を小バカにした態度はいらねえから。わかりやすく教えろ。」
...バカなくせに態度がなっていないやつだ。
しかし、ここでバカに本気で怒ってしまったら同類なので決して怒ることはしない。
「お前のおかげだぜ!ありがとうな!」
バカがバカなりにお礼を言う。
悪い気持ちではない。
こいつはいつもバカ正直に本音を俺にぶつけてくる。
そんなバカには小さい頃からずっと好きだった男がいるという。
どんな男かと気になって調べてみたが、なるほどそいつもやっぱりバカだった。
そんなバカはやめて俺についてこいよ。
そんなことを言えるわけがない。
小さいころから一人で勉強してきた俺は他人と話すのが苦手だ。
だからバカには友達が多いのでその中からそれなりのバカを選び外堀から埋めることにした。
勉強以外でそんな余計な苦労をしはじめた矢先、俺は学校の試験で連続学年トップ記録を途切れさせてしまう。
それもつい最近編入されたバカっぽい女子にトップをとられてしまった。
俺は余計な苦労とともに勉強にも余計に力を入れた。
次の試験には無事、リベンジを果たした。
その間バカがバカなりに作ったくそまずい弁当が俺を余計に奮い立たせた。
なんだかんだいいつつもそんなバカと一緒にいる時間が多くなり高校卒業間際には授業以外、ほとんどバカと一緒にいた。
高校卒業後俺は一流大学に見事合格した。
バカはスポーツ推薦である大学に入学。
これでバカともおさらばかと思いきや俺たちは同棲をはじめた。
住むところは公平にお互いの大学への通学中間の地点。
「あんたもバカだねえ。なんであたしなんかと。」
このバカは酔っぱらってコンパから帰ってきて必ずこのセリフを言う。
バカはお前だ。
そんなバカと俺は結婚することになった。
バカが白いドレスを試着して自慢げに俺に見せる。
「ほう、バカにも衣装だな。」
「ばかっ!それを言うなら馬子にも衣装でしょ!ってなんだとコラ!!」
バカはお前だ。