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アイザック・ニュートンの思し召し  作者: げこ◆A3nDeVYc6Y
ラッキー・スターのお目こぼし(第二部)
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ラッキー・スターのお目こぼし(2)

チヒロくんの貴重な推理シーンです。

 翌日からの僕は”ラッキー・スター”とやらの正体を突き詰めることに精を出した。

 何せナオさんのファンを騙ってストーカー行為をするような人物だ。早めに見つけてしまって排除するに限る。……なんて言っても僕がやったことはナオさんに近付く周囲の人に目を向けて学校生活を過ごしたくらいなんだけれど。

 例えば、ナオさんが職員室と教室の間を移動する際には距離を開けてついて回り、ナオさんがクラスにいる時は質問や接触を試みる人に注視したり、アクションは起こさなくてもナオさんのことを凝視している者はいないかと見回したり、そういう活動を行った。

 ちなみにミヤビさんからの”僕も知っている相手”という情報から、学校を代表するくらいに有名ではない限り他学年の生徒にまでは目を配っていない。

 おかげで僕はナオさん以外の先生が担当する授業に遅刻しそうになったり、僕自身がナオさんのストーカーだとクラスメイトに勘違いされたり、生徒は立ち入り禁止である場所に入り込もうとして他の先生から注意を受けることもあった。

 今だって、廊下でナオさんと話していた教頭先生から「あなた、最近よく見かけるわね」なんて言われてしまって冷や汗をかいてしまった。

 しかしそうしてでも得られる成果は十二分にあったと思える。

 調査を始めて3日目、僕はナオさんのファンとやらを見つけ出したのだ。


     ○     ○     ○


 ナオさんの受け持つ数学の授業はいわゆる一般教科なので1週間の授業数が多い。

 そんな中、1人のクラスメイトがナオさんに声を掛ける回数が多いことに気が付いた。

 その生徒は天道果美。性格はすごく真面目で、ふざけている男子がいれば叱るようなカタブツタイプ。制服を着崩すことは無いけれど、日焼けして少し赤みがかったショートカットが活発な印象も持たせる女子生徒だ。

 そんな彼女には1つ異名があって。天道さんは授業が終わると同時に席を立ち、先生に質問をしに行くことが多い。

「先生、授業の内容で少々よろしいでしょうか!」

 そう言いながら授業担当の先生に突撃していく姿から、一部の男子生徒から”天道少将”なんて呼ばれていたりするのだけど……この話はまあいいや。

 僕が気付いたのは、ナオさんに対して天道さんが「川名先生」としっかり苗字を付けて呼び止めること。また、話しかけている間にナオさんを見つめる目線に何か熱いものを感じること。

 この2つについては真面目な天道さんのことだから、と言い切ってしまえるかもしれない。けれど、苗字を付けずに話しかける先生に対しては、さほど熱心に話さずに手短に質問を終えてしまうこともある。そこを考えればナオさんへの感情が特別だという可能性は多分にあるだろう。

 更にもう1つ気付いたのは、天道さんの名前だ。

 ミヤビさんはラッキー・スターについて、名前の通りだと言っていた。天道と言えばテントウムシ。テントウムシと言えば七星……つまりラッキー・スターとなる。


 そうと決まればあとは天道さんにストーカー行為をやめさせる算段を立てなくてはいけない。でも、そう思ったところで、1つのことに引っかかった。

 ナオさんが被害に遭っているのはオンラインでのことで、僕はその実情をほとんど知らない。ともすれば先にヒアリングをするのが筋ではないか。

 思い立ったら吉日。そう考えた僕はこれまでの推理をまとめていた放課後の教室から飛び出し、ナオさんのいる職員室へと向かおうとした……のだけど。

「倉敷君、ちょっと止まりなさい!」

 今にも走り出そうとした廊下で、背後から急に呼び止められたものだから前のめりによろけてしまった。

 この3日間でよく聞いた覚えのある声は、と恐る恐る振り返ってみるとそこには予想通りの人物が仁王立ちしていた。

「天道さん……?」

 特定はできたけれども何故ここにいるのかがわからないその人物に、首を傾げながら応対をする。

 片腕片足が前に出た状態で首を斜めにしながら後ろに回す、そんな滑稽な姿をする僕に、天道さんは鼻息を鳴らしながらこう言うのだった。

「迷惑だから、川名先生のストーカーをやめなさい!」と。


     続く

残念ながら彼では役者不足だったようですね。

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