雲行キガ怪シイ…貳
それから少し酒場から歩いた所にある落ち着いた雰囲気のカフェに行った。勿論服装は私服であり店員に迷惑をかけるようなことはしない。
しかし、なぜ此処に行こうと思ったかというとアレンが話したい事があると言ってきたからである。
「で、話ってなんだ?」
「ああ、これを話すにはドーマとマークルには帰ってもらった方がありがたい。」
「りょ、了解。」
「了解!」
と言い二人は宿舎の方えと帰っていった。上官の命令は絶対という事だ。
「さぁ、話をしよう。」
マスター(軍の関係者で多分俺達よりも階級は上と思われる)が案内してくれた席に座る。このカフェで一番目立たない席だ。互いに珈琲を頼みそれを飲みながら話をすすめる。
「早くしろや。勿体ぶるなよ。」
「ははは…大丈夫、直ぐに話すから。」
珈琲を啜る。
「で、どんな内容なんだ?」
「それがな、もう時期にローメンツと戦争をするかも…」
「は?ローメンツと?なんでさあ?あの国とは何も問題無いようだったが?」
「いや、俺も詳しくは分からいんだが、」
「噂か?」
「多分そうだと思う。」
「厄介だな。」
「ああ、本当に戦争の準備をしていたら話は別だが…これが完全なデマだったら…」
「嫌な事になるな。だからアイツらを先に帰らしたのか?」
「まぁ、そうなるな。」
また珈琲を啜る。
面倒な事になった。こういう噂が流れると大抵噂になった国との関係が悪くなる。今までそれで何回か戦争やその一歩手前まで行ってしまったことがある。そうなってしまえばまたあの地獄へ逆戻りになってしまう。
そんな事を考えて俺達がやる任務?が分かったような気がした。それは、即ち、
「今からかどうかは分からないがその噂の元を辿れっていう任務か?」
「まぁ、そうなったな。これは大隊長からの命令だ。」
一気に珈琲を飲み干す。
「で、実行するのは?」
「俺達二人だ。」
「は?俺達は一応小隊長だぜ?隊長が前線で闘うのか?」
「しょうがないだろ。大隊長の命令なんだし、そもそも俺達の小隊や中隊は殆ど全員が若くてその強さで役職が決まってくるんだから…その中で使えそうなのは俺とお前しかいね~よ。」
「じゃあ、第一小隊長は?」
「あいつは使えね~よ。」
「やっぱりか…。」
「決行日時は?」
「今からだ。」
「期限は?」
「そりゃあ。一般人とか俺達の部下に感知されるまでだろ?」
「失敗したら?」
「そんな事を考えていると本当に失敗するぞ。」
「ああ、悪かった。」
また珈琲を啜ろうとしたけれどもう冷めきったカップに珈琲は入っていなかった。
「それじゃ、任務を開始する。」
アレンが俺とアレンしか聞こえないような小さな声で言った。