雲行キガ怪シイ…壹
「お見事でした小隊長!」
と、俺の小隊の部下ドーマ・アーケラーが言い駆け寄ってきた。俺の小隊には二十八名の部下がいる。今は彼一人きりのようだ。
ドーマ・アーケラー…『銀』髪で『藍色』の目をしている。俺が平民に対しこいつは貴族となる。しかし、貴族と言っても下級になり俺よりも軍の階級は下になるため俺は敬語を使っていない。本人もそのようにしてくれと言っていたので問題無いだろう。
苦笑いのような顔を自分がしたと思う。
「いや、まだまだだ。剣術がまだメインになっている、もっと魔術も鍛えなくては。」
たった今まで俺の同僚のアレン・クーカルと稽古をしていた。結果は俺の辛勝。あいつもあいつの部下と話している。髪は『藍色』、目は『赤』。
「いえいえ、隊長は赤髪赤目なのに藍色に勝つなんて凄いですよ!」
「そんなものかなあ…」
「そんなものです。」
アレンが近づいてくる。
「いや~やっぱりお前は強いな、やっぱり髪や目の色の序列なんて関係ないんだな。」
部下との話は終わったらしい。
「いや、そうでもないぞ、生まれつきの魔力の差がとてつもない差を生み出す。実際俺が刀を使えなかったら瞬殺されていた。」
「そう言われると助かる。」
ハッハッハ
と四人で笑う。
太陽は丁度真上にきている。
昼だ。
そうなると訓練はいいのか、それとも昼休みなのかとなるが俺の第三小隊とアレンの第二小隊は今日は非番だから問題無い。
軍の宿舎前のグラウンドでただ単に稽古をしていただけだ。
「そろそろ飯でも食うか。」
俺の提案に一同頷きグラウンドを後にする。向かう先は此処王都で一番大きい酒場だ。
その酒場は王の城の近くにあり王の城以外でなら街で一番大きい建物になる。石造りの建物で装飾はほぼ無いに等しい。椅子と机は木でできており無数に並んでいる。灯りはあるものの少し薄暗い。各料理の素晴らしい匂いと喧騒、受付嬢の笑顔がとても良い。
たまに酔っ払い同士の喧嘩が起きるがスタッフが直ぐに飛んでくるので問題無い。今は無いみたいだ…。
丁度昼なのでとても混雑している。
「此処で良いか?」
アレンが一つの机を指差す。
別に反対する必要も無いので
「いいぜ」
と返しそここに座る。
直ぐにスタッフが来て注文を取る。各々好きなものを頼み料理が来るのを楽しみに待つ。しかし、他の客も多いので結構時間がかかると思われる。
「しまった!」
いきなりドーマが声を上げる。
他三人がビクンと反応する。
「何がですか!」
アレンの部下マークル・タラテが直ぐに返す。
「戦闘服で来てしまった…」
「………あ。」
此処だけ声がかぶった。完全にやらかした。
別に戦闘服で出歩くのは問題ないのだが…
「大変お待たせしました!こちらが牛ステーキでございます!」
ほら…直ぐに来てしまった、全員分が。
「完璧にやらかしたね…どうする?アイレス。」
「そりゃあ、頂くしかないだろう?出てきてしまったわけだし…早く食べてここをどこう。」
それぞれ料理の味を楽しみつつも早くたいあげていく。戦闘服から私服に着換え無かった俺達が悪いのだがイラッとした。
「ごちそうさまでした。」
と言い酒場から出る。散々は昼飯だった。
はてさてこれからどうなるのやら。
これからもよろしくお願いします。