プロローグ
作者の 芳乃 秀吉です
よくペンネームで間違えられますが、男です!
こういうジャンルのは初めて書いたので、多めに見ていただけると嬉しいです。
では、どうぞお楽しみ下さい。
東京のとある小さな街では、夜になると、音一つ存在しない静寂の丘が現れる。そんな風に言ったら、あなたは信じますか?
そこは、いつも月が綺麗で、その光に照らされた背の高い草がサラサラと揺れて、その街では見えるはずのない沢山の星々が優しく輝いてます。
その丘にたどり着く人は、大抵迷ってしまった人々、皆んな色んな何かを抱えているんですよ。私もその一人だったんです。
ほとんど何もないこの丘には、たった一つだけ、頂上に小屋が建っているんです。
木の丸太を重ねたような形のそれは、いわゆるログハウスと言う奴だと思うのですけど、壁にはツタがはって、少し古い建物な感じがしました。だけど、その古そうな風貌は、周囲の草原とあいまって、最初来た時は別世界に迷い込んでしまったと思うようなオーラがありましたね。
それでね、この小屋の入口には、ひとつの窓と、ひとつの古びた看板。
そして、その看板には柔らかい字で、
「月夜見時計店」
とだけ書いてあるんです。
窓を覗くと黒髪の青年が、いつも必ず紫色のエプロンをして、揺り椅子に揺られながら本を読んでいます。
傍には、いい匂いのするコーヒーと、紫色のウサギが一匹丸くなって寝ています。もしかしたら、私もいるかも。
もし、このお店に来ることが出来たなら、思い切ってドアを開けてみて下さい。
きっと、
あなたの壊れた「時」を動かしてくれるから。
不思議な出会いは、
不思議な物語へ、
冷え切り凍ったあなたの時と共に、
また再び笑えるように、
どうぞ、扉をお開けください
あなたの心が忘れた光をもう一度
月夜見時計店、今日も開店です