ショートショートII「砂の街」
オアシスがあって、緑の木々がまばらに生えています。
そのオアシスを囲って、街がありました。家は石を高く積み上げて作られていて、街を往く人も砂のような肌をしています。そんな街につつましく人々は暮らしていたのです。
ある日、土色の風が吹いてきました。初めはそよ風でしたが、だんだんと強くなってきました。やがて沙漠の砂を巻き上げ、街に吹きつけます。
そのあらしが去ると、街も人も砂になってきれいに崩れ落ちていったのです。
オアシスだけ残り、今も緑の木々がまばらに生えています。