ある変動の夜 2
R15です。注意!
――苦しい
泣きそうになっている、事実泣いているのかもしれない麗を見て、胸が軋んだ。
でも、麗が悪い。
こんな薬で、フィフと仲良くなろうなんて、思わなければ良かったのに。
僕に使おうと思っていたなら、毒が混じっていようとも、喜んで飲んだのに。僕は死ぬほどの快楽を与えることなど、造作も無いことなのに、彼女が選んだのは僕の使い魔。
最初はいつも以上に仲が良い2人に軽く嫉妬しただけだった。
でも、何かおかしいのを感じ、2人を観察した。
フィフは僕に隠し事をしているみたいで、それを麗は知っているらしく、軽く青ざめている。僕が知らないことを2人が共有しているのが腹立たしく、悲しい。
何だろうと、周りを探っていると、おかしな香りが漂ってきた。まさか僕が気づかないとでも思うのだろうか。フィフも甘いな。
いつ、人型のフィフと会ったのだろうか。
いつ、彼から薬を貰ったのだろうか。
まだ、使ってないよな?
自分に対して拒み続けた癖に、何故フィフは良かったんだ? どうして僕を裏切った!?
裏切る、なんてものではないのだろうけれど。僕と彼女は決して、そういう仲ではなかったのだから。
でも、許せなかった。
押さえつけられた身体は、小刻みに震えている。
一見すると、追い詰められているのは彼女だが、それ以上に僕は逃げ場を失っていた。
嫌われたかもしれないが、後には引けない。もう、あの心地よい関係も今日で終わりだ。
「ゼロ……ごめ……っ」
麗は全く分かってない。
僕の君への執着は、異常だということに。
麗は全く分かってない。
これは恋とか生易しいものじゃなくて――狂気だ。
「ゼロ……」
うるさい! うるさいっ!
何で今名前を呼ぶんだ!?
数回しか呼ばれたことがないそれに、喜んでしまう心が哀しい。
柔らかい身体を解しながら、自身も高めていく。
「麗、僕は化け物なんだよ? 分かってたでしょう?」
だから、傷つけるしかできないんだ。ごめんね、麗。
でも、愛してる。言い訳じみた愛を心の中で告げるなんて、本当最低だな。でも、止められないんだ。
彼女が息をのみ、喉が動いたのが見えた。
その部分を舐め上げれば、僕の雄の部分が悦ぶ。
人間とほとんど変わらないが、本質は全く異なる。そんな僕を受け入れられないと言うのなら、他の物も受け入れないで欲しい。
「フィフのどこが良かったの?」
「なにっ……それっ……?」
「そうやって、はぐらかさないの。仕方ないなあ。素直に返事できるようにしてあげるよ」
指で、彼女の赤い実をはじく。軽い痛みに、彼女が顔を顰めるのが分かった。
僕は、どうしてこうも彼女にとって害にしかならないのだろうか。
頭では最低だと分かっていたが、手を止めることが出来なかった。
麗の潤んだ目元にキスを落としながら、右手で臍の周りを撫で上げる。
足に力が入っているのを感じ、今度は太ももを触る。足を閉じようともがいているみたいだが、だんだんと緩んでいく。
「あ……いやっ、もっ……」
首を夢中で横に振っている様が扇情的で、余計に火をつけてくれる。
――彼女が欲しい
生物に存在する本能に従い、彼女を蹂躙していく。
もう服など着ていない彼女が、ひどく煽情的で綺麗だ。
まだ固いその場所に指を押し込めば、「いたっ」という声が聞こえてきた。
「麗」
淡く微笑めば、彼女ははらりと涙を零した。
「ゼロのバカ……っ!」
ごめんね、痛みしか与えることが出来なくて。
中をかき混ぜていくと、痛みも快感に変わっていくはずだ。だから、僕は何度も何度も擦り付けるようにして、回していく。
「あ……っく」
「麗、君は僕のものだ」
欲しかった月を、無理やり手に入れていた。
「麗、貰うよ」
誓いの代わりに、僕は彼女の首元に歯を立てた。
あまりの気持ちのよさに、全身が狂喜の声を上げる。
彼女の血は、僕の思っていた通りに、甘かった。それでいて、どこか切ない。
「いやっ……ゼロ……っ」
僕の意識は、彼女の声と快楽と後悔に弾けて消えた。