表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/41

ある変動の夜 2

R15です。注意!

――苦しい


 泣きそうになっている、事実泣いているのかもしれない麗を見て、胸が軋んだ。

 でも、麗が悪い。

 こんな薬で、フィフと仲良くなろうなんて、思わなければ良かったのに。

 僕に使おうと思っていたなら、毒が混じっていようとも、喜んで飲んだのに。僕は死ぬほどの快楽を与えることなど、造作も無いことなのに、彼女が選んだのは僕の使い魔。


 最初はいつも以上に仲が良い2人に軽く嫉妬しただけだった。

 でも、何かおかしいのを感じ、2人を観察した。

 フィフは僕に隠し事をしているみたいで、それを麗は知っているらしく、軽く青ざめている。僕が知らないことを2人が共有しているのが腹立たしく、悲しい。


 何だろうと、周りを探っていると、おかしな香りが漂ってきた。まさか僕が気づかないとでも思うのだろうか。フィフも甘いな。

 いつ、人型のフィフと会ったのだろうか。

 いつ、彼から薬を貰ったのだろうか。

 まだ、使ってないよな?

 自分に対して拒み続けた癖に、何故フィフは良かったんだ? どうして僕を裏切った!?

 裏切る、なんてものではないのだろうけれど。僕と彼女は決して、そういう仲ではなかったのだから。

 でも、許せなかった。


 押さえつけられた身体は、小刻みに震えている。

 一見すると、追い詰められているのは彼女だが、それ以上に僕は逃げ場を失っていた。

 嫌われたかもしれないが、後には引けない。もう、あの心地よい関係も今日で終わりだ。


「ゼロ……ごめ……っ」


 麗は全く分かってない。

 僕の君への執着は、異常だということに。

 麗は全く分かってない。

 これは恋とか生易しいものじゃなくて――狂気だ。


「ゼロ……」


 うるさい! うるさいっ!

 何で今名前を呼ぶんだ!?

 数回しか呼ばれたことがないそれに、喜んでしまう心が哀しい。

 柔らかい身体を解しながら、自身も高めていく。


「麗、僕は化け物なんだよ? 分かってたでしょう?」


 だから、傷つけるしかできないんだ。ごめんね、麗。

 でも、愛してる。言い訳じみた愛を心の中で告げるなんて、本当最低だな。でも、止められないんだ。

 彼女が息をのみ、喉が動いたのが見えた。

 その部分を舐め上げれば、僕の雄の部分が悦ぶ。

 人間とほとんど変わらないが、本質は全く異なる。そんな僕を受け入れられないと言うのなら、他の物も受け入れないで欲しい。


「フィフのどこが良かったの?」

「なにっ……それっ……?」

「そうやって、はぐらかさないの。仕方ないなあ。素直に返事できるようにしてあげるよ」


 指で、彼女の赤い実をはじく。軽い痛みに、彼女が顔を顰めるのが分かった。

 僕は、どうしてこうも彼女にとって害にしかならないのだろうか。

 頭では最低だと分かっていたが、手を止めることが出来なかった。

 麗の潤んだ目元にキスを落としながら、右手で臍の周りを撫で上げる。

 足に力が入っているのを感じ、今度は太ももを触る。足を閉じようともがいているみたいだが、だんだんと緩んでいく。

 


「あ……いやっ、もっ……」


 首を夢中で横に振っている様が扇情的で、余計に火をつけてくれる。


――彼女が欲しい


 生物に存在する本能に従い、彼女を蹂躙していく。

 もう服など着ていない彼女が、ひどく煽情的で綺麗だ。

 まだ固いその場所に指を押し込めば、「いたっ」という声が聞こえてきた。


「麗」


 淡く微笑めば、彼女ははらりと涙を零した。


「ゼロのバカ……っ!」


 ごめんね、痛みしか与えることが出来なくて。

 中をかき混ぜていくと、痛みも快感に変わっていくはずだ。だから、僕は何度も何度も擦り付けるようにして、回していく。


「あ……っく」

「麗、君は僕のものだ」


 欲しかった月を、無理やり手に入れていた。


「麗、貰うよ」


 誓いの代わりに、僕は彼女の首元に歯を立てた。

 あまりの気持ちのよさに、全身が狂喜の声を上げる。

 彼女の血は、僕の思っていた通りに、甘かった。それでいて、どこか切ない。


「いやっ……ゼロ……っ」


 僕の意識は、彼女の声と快楽と後悔に弾けて消えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ