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3話「ロリとキスしてレベルアップ」

「私もアレンお兄さんと一緒に旅がした……「クソアマぁぁぁ!」


「なっ……!」


「その場で這いつくばれ! 今すぐ服を脱げ!!」


「っ……すみません、すみません」


「お前、何やって……っ!」


 アリアの主人である野郎は、あろうことか、アリアの頭を足で踏みつけ、服を脱ぐように命令した。


「テメェこそナニもんだァ? 奴隷を好きにしようがオレ様の勝手だろうがよぉ。なぁ? クソアマ」


「そうです。ご主人様の言う通りです」


「っ……」


 その場から逃げられるなら今すぐに立ち去りたいほど、その光景は吐き気がした。


「その服、オレ様の許可なく買いやがったな。悪い子にはたっぷり躾をしてやんねぇとなぁ?」


「ごめんなさい、ごめんなさい。お仕置きは嫌です。やめてください。もう服は着ませんから……っ」


「クソアマの言うことを信じろっていうのかぁ? 奴隷の分際でご主人様に命令とはテメェも偉くなったなぁ?」


「いやっ……!」


「その汚い手を離せ!」


「アァ?」


 服を強引に脱がせようとする男の手を掴む俺。


 最初から止めるべきだった。けれど、レベル0の俺じゃ適わないって諦めていた。だが、レベルなんて関係ない。


 幼い少女が目の前で酷い目に遭っているのに、黙って見てるほど俺は弱くない。


「ウォーターボール」


「いっ……!」


「アレンお兄さ……っ!!」


 男の水魔法で近くの木まで飛ばされた。強い力で木に当たったせいで痛い。全身の骨がバラバラになりそうなほど痛え。でも今はそんな弱音を吐いてる余裕はない。


 アリアを助けなきゃ。この子を助けるにはどうすればいい? 仮にこの場から上手く逃がせたとしても足枷がある限り、遠くに逃げることはできない。


 俺が囮になったとしても、男の魔法ですぐに動きを止められるだろう。骨を折られるだけならマシなほう。男が本気で怒り、今よりも強い魔法を放たれれば、俺は確実に死ぬ。


「アレンお兄さん、大丈夫ですか!? 今すぐ回復魔法をかけますから」


「アリア。お前だけでも逃げるんだ」


「クソアマァ、何をやってる! そんなザコ男に駆け寄るより、主人のオレ様の元に戻ってこい!!」


「嫌です」


「主人に楯突いたらどうなるかわかってんのかぁ。あぁ?」


「アリア。俺のことは置いていっていい、から」


「アレンお兄さん。私、幸せでした。ほんの少しでもアレンお兄さんとお話できて。それに、こんな醜い私と仲間になりたいだなんて、そんなスカウトを受けたのも生まれて初めてです」


「アリア……」


 アリアは全てを諦めていた。俺がこの場で意識を失えば、アリアは男の元で酷い折檻を受ける。それこそ次は逆らう気なんて起こらないほどに。このままアリアを男に渡すわけにはいかない。


 俺が男よりも強かったら……チートだったら、どんなに良かったことだろう。そうすればアリアを簡単に助けることが出来たのに。


「アレンお兄さん。私、次にアレンお兄さんに出会うことが出来たらアレンお兄さんと旅がしたいです」


「ん……!?」


「んっ。えへへ。これがおそらくアレンお兄さんに会う最後なので、思い出です」


「っ……」


 柔らかい唇が触れた。俺はアリアからキスをされた。異性から初めての口付けに俺の心臓は破裂しそうなくらいバクバクしていた。


『アレンフォールド。レベル0からレベル1になりました。炎魔法、ファイアボール使用可能』


「……え?」


「アレンお兄さん?」


「アリア。諦めるのはまだ早いぞ」


「え? え?」


「俺から離れるなよ」


「ふぇっ!?」


 俺はアリアを強く抱きしめた。


「テメェェ……人の所有物によくも……!!」


「アリアは物じゃない」


「ソイツはオレ様の奴隷なんだよ。その足枷がある限り、ソイツはオレ様から逃げることはできない!」


「契約した奴隷が自由になるには足枷を外すか、その主人が死ねば奴隷は自由になるんだったよな」


「オレ様がテメェごときに殺られるわけねぇだろ!?」


「それはどうだろうな」


「なんだと?」


「さっきまでの俺なら尻尾を巻いて逃げてたかもしれねぇな」


 はなからアリアを置いて逃げるなんていう選択肢はなかったが、今さっきの俺なら男に勝つ術はなかった。だけど、今なら勝てる気がした。


「悪いな。アリアは俺とパーティーを組んで、旅をするんだ」


「寝言は寝てから言えよ。オレ様の最強魔法でクソアマごと塵も残さず燃やし尽くしてやる!」


「っ……」


「アリア。怯えなくていい」


「アレンお兄さん?」


「アリア。お前のお陰だ。ありがとう」


「え?」


「アリアに謝るなら今のうちだぞ」


「ハァ? オレ様がクソアマに謝罪する日は一生こねぇ!!」


「だったら天国に逝った後でもいいからアリアに謝罪してくれ。……ファイアーボール」


 俺は手のひらを男のほうに向けた。


 男もまた魔法を放っていたが、俺の魔法に押し切られていた。


「ナゼだ……! こんな初級魔法にオレ様の魔法が負けるなんてっ……クソがぁぁぁぁ!!」


ドカーン!!


 そして男はその場で灰となって消えた。


 勝てるかもしれないとは言ったが、まさか本当に勝利できるなんて思わなかった。


 だって俺がさっき放ったのはレベル1のファイアボールだぞ? 男のレベルはわからなかったが、俺より強力な魔法を唱えたのは間違いはず。


 魔法さえ使えなかった俺がレベル1になった途端、強くなるなんてどういうことなんだ? 


 アリアとキスをしたあとレベルアップの表示が出た。それはつまり誰かとキスをすればレベルアップするということか。俺がレベル0だったのは誰ともキスをしなかったから? 


 まだまだわからないことだらけで色々調べることがありそうだな。今はそんなことよりアリアのことだ。


「アレンお兄さん。助けてくれてありがとうございます」


「わっ……!」


「さっきのアレンお兄さん、すっごくかっこよかったです」


「それはどうも」


 気のせいだろうか。

 アリアの目がハートになっている気がするのは。


「ご主人様が死んでしまったので、アレンお兄さんが私の新しいご主人様ですね。アレンお兄さんの身の回りのお世話は私にお任せくださいね? たっぷり御奉仕しちゃいますから」


「なぁぁぁ!?」


 いつの間にかアリアに押し倒されている俺。


 ソロが寂しいからアリアをスカウトしたものの、俺はとんでもないロリをパーティーに入れたんじゃないのだろうか? 後悔してももう遅い。

この作品が面白い!と感じた方は星をマックスで評価してくれると嬉しいです。今後の作者のモチベにも繋がります。

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