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人間大量破壊兵器の異名を取る男、ケモミミ嫁を拾ったので、生活環境を整え始めたら、いつの間にか癒やしの宿を作ってしまった件について  作者: 木場貴志
Mission 7.近くに川と源泉があったので家まで引いて、夫婦でいちゃいちゃ楽しんだ件
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Mission 7.近くに川と源泉があったので家まで引いて、夫婦でいちゃいちゃ楽しんだ件 その3

バトルエンジニアという、罠や飛び道具や爆弾などを作って戦う、戦う技術屋を生業にする男、ジェルンは、時として大量破壊を伴う仕事も多々こなすことから、冒険者や町の人から怖れられ、敬遠されているため、遠く離れた山の中に住んでいる。

そんな彼は、またひとつ大きな仕事をこなして戻ってきたとき、家の前の小屋に迷い込んで眠り込んでいたケモミミ少女・ソフィーを見つける……。

ソフィーを保護し、二人での生活が始まると、ソフィーはジェルンにどんどん懐いていって、彼女はジェルンへの恋慕を隠さなくなる。

可愛らしい少女の好意をむき出しにしたアタックに、徐々にジェルンもグラついていき……。

そして、ジェルンはついにソフィーを妻にすることにしたのだった。

ソフィーを妻に迎えたことで、家庭を持つことになったジェルンは、本格的に今後、ソフィーとの間に子供が生まれてくることなどを含め、将来を見据えた住環境の整備のため、自宅を大きく改築することにし、その準備に取りかかったのだった。



主人公:ジェルン

バトルエンジニアという、その辺にあるもので何でも武器にして戦える戦闘のエキスパート

直接的に戦うと言うよりも罠や飛び道具や爆弾などを作って戦う

他、薬などを使った回復にも長けている、戦う技術屋さん

ダンジョン踏破には欠かせない職業

ただ、時には大量破壊を伴う仕事も多々こなすこともあり、町の人からは怖れられていて、あまり町での居心地はよくないらしい……



ソフィー

主人公の暮らす山の中に迷い込んでしまった獣人族の女の子

種族の中では発育が良くないらしく、きょうだいからもイジメに遭って、逃げ出したら気が付いたら知らない場所に出てしまっていたらしい

さまよった挙げ句、主人公の小さな家に迷い込んでいたところをジェルンに見つかり、拾われた。

以降、こちらの土地の言葉が分からないソフィーに言葉から山での生活に必要なことまで、優しく教え、保護してくれたジェルンに好意を抱くようになる。

町に出た時、変な噂の出ないようにと、ジェルンは建前上彼女を妻……ということにしていたのだが、その結果、逆にジェルンもソフィーを妙に意識し始めることに。

そして、二人は自然と一緒になることに……。


 いつになく賑やかな昼食を済ませた後、ソフィーとパメラさんを片付けに残し、残りの面子で俺が報告した大木を順に見て回ることに。

 ラヴィちゃんは女の子だけど、普段からラファエルのアシスタントを務めていることもあって、こちらに同行することになったみたいだ。

 実際、彼女は1本目の大木まで一行を案内してくると、素早く木に近寄って、そのまま根本付近から上へと、順に幹の太さを手際よく測り始める。

 しかも、身のこなしも軽く、するすると木を登っていき、所々で測定とメモを繰り返しながら、かなり高いところまで登っていってしまった。

「おい、ラファエル。あんな所まで登らせて大丈夫なのか?」

 ちょっと心配になって、ラファエルに聞いてみると。

「ああ、あいつはいつもあれくらい登っているよ。女の子だから、男より身体が小さくて身軽なもんで、俺たちなんかより高いところまで登れてしまうんだ」

 ……と。

 なるほど、そういう利点があったか。

 それで、普段からこういう仕事とか任されているっていう感じなんだな。

「まあ、さすがに木を切り倒す時とか、危険を伴う作業の時は退避させているけどな。十分離れた場所から木の倒れる方向とかを見てもらったりしているよ」

「ふうん」

 確かに、そういう使い方ならアシスタントとしてはものすごくお役立ちだな。

 ラファエルが重宝して側に置くのも分かるな。

 そのまま様子を眺めていると、ラヴィちゃんは調査を終えたのか、登るのと同じようにスムーズな動きで木を降りてくる。

 すとんっと軽やかに着地したラヴィちゃんは、腰にぶら下げたクリップボードをベルトから外してラファエルに渡す。

「はい、終わったよ。お父さん」

「どれ……」

 ラヴィちゃんのメモをチェックするラファエル。

 ややあってから。

「うん、良いね。よし、とりあえず次行こう」

 うんうんと満足そうに頷いた。

 その様子だと、俺の見繕った木を気に入ってくれたようだ。

「どうだ? 使えそう?」

「ああ、素晴らしい。ただ、あと2本候補があるし、全部持って帰れるわけじゃないからな。どの木を採っていくかは全部見てからにするよ」

「それもそうか」

 ラファエルの答えに俺も頷いて、すぐに次の木へと案内する。




 その後、俺が報告した大木の3本すべてを調査し終えて、帰宅したのは夕刻になっていた。

 ちょうど時間的なものもあるのだろうけど、家のキッチンから外まで良い匂いが漂ってくる。

 きっと、ソフィーとパメラさんが夕食の用意をしていると思われるが。

「ただいま」

 家に入ると。

「お帰りなさい! 夕食ができるまでもうしばらくかかるから、ジェルンたちは順番に軽く汗を流したら?」

 キッチンから小走りに迎えに出てきたソフィー。

「わかった。そうしよう」

 俺が頷くと、彼女は慌ただしくキッチンへ戻っていく。

「そんじゃ、どうしようか? とりあえず、まずラヴィちゃんから入ってもらうか?」

 ラファエルに確認すると。

「ああ、そうだな。そうしてやってくれると助かる。料理の手伝いもあるだろうしな」

「だと思って」

 というわけで、まずラヴィちゃんからお風呂場に入ってもらう。

 彼女が出てくるまで、俺たちは工房の作業台に集まって、今日見てきた木の調査結果をみんなでもう一度見比べる。

「やっぱ、1本目の木が最高だな。3本目も良かったが、サイズが1本目よりやや小ぶりで遠いからな」

 調査結果を見ながら、ラファエルがそう言った。

「じゃあ、採るのは1本目か」

「ああ。まず、1本目は採る。で、持ってきた車の荷台にどのくらい余裕が残るか……ってとこだな」

「余裕が残ったらどうするんだ?」

「もう1本……多分、2本目だな。サイズがいちばん小さいから。そいつからも材木を採って、持ち帰ろうかと思う」

「ふむ」

 まあ、せっかく来たんだし、良い材木ならなるべくたくさん持ち帰りたいだろう。

「それでな、2本目を切り出すとなると、多分少し切り出した木材が余ると思うんだ。それで、ジェルン。おまえ、木材とか要るか?」

 ラファエルが俺に尋ねてくる。

「良い木材ならもちろん欲しいな。いいのか? もらっちゃっても」

「切るだけ切って捨てていくのも勿体ないからな。ジェルンに使い途のアテがあるなら、持ちきれない分は置いていくよ」

「そうか。助かるよ。どうせこの家もこの先の生活を考えたら、これからさらに改築したりしなきゃならないだろうし」

 元々が俺一人の暮らしと仕事しか想定していない作りだったからな……。

 俺がそう答えると、ラファエルも頷く。

「だな。先々考えたら、もっと大きく増築しないといけないだろう。奥さん、たくさん子供欲しがってるみたいだし」

「う……ま、まあな……」

 その辺はあんまり触れないでおいて欲しい……。

 もちろん、俺だって、思いがけなく妻帯者になったわけだけど、そうとなれば、子供は欲しい。

 だけど、ソフィーが言うようにたくさん……となると、ちょっと考えてしまうし。

 でも……ソフィーにおねだりされたら、負けちゃうんだろうなぁ……。

 そんなことをぼんやり思う。

「ま、がんばんな」

 肩をポンッとラファエルに叩かれる。

「まあ、ほどほどに……」

 俺は苦笑するしかなかった。




 そんなわけで、ラファエルたちはうちの敷地内にキャンプを張って滞在し、二人だけで静かに過ごしていた我が家はにわかに賑やかな様相を呈するようになる。

 さっそく、翌日からは男たち総出で家の水場に接した外側の庭地を掘って、近くの河原から集めてきた石を掘った穴の窪みの底から側面まで敷き詰め、セメントで塗り固めて浴槽部分に。

 そして、その周囲一面、やや広い範囲で少し土を深く取り除いて、その分川から採取してきた丸い玉砂利を分厚く敷き詰める。

 これで、水はけも良くなるはずだ。

 ここの元々の土が水はけがいいので、これで水はけにも苦労はしないだろう。

 そして、玉砂利を敷いた周囲に柱を立てて、板壁を立て、底から母屋に向かって梁を渡して、屋根板を付ける。

 これで、雨が降っても問題ない、広いお風呂場の完成である。

 ラファエルたち大工の頭数も揃っていたので、これだけの工事も3日もあれば終わってしまった。

「ふむ。急ごしらえにしてはなかなか良い出来だな」

 できあがったお風呂場の様子を見て、満足そうに頷くラファエル。

「いや、こんなに早くできあがるとは。助かったよ」

「しかしまぁ……こんだけ立派な風呂に、温泉引いてくるんだろ? これ、温泉宿開けるぞ」

 ラファエルはそう言って笑う。

 彼なりに、結構気に入った出来映えなんだろう。

 しかしねぇ……。

「こんなど田舎……というより、もはやうち以外に何もないような秘境に、わざわざ来る奴いるかねぇ?」

「まあ、ジェルンの場合、仕事柄、周りに人がいない場所ってことで、わざわざこんなとこ住処に選んだくらいだもんな」

「まあな……」

 俺の仕事柄、爆発物や毒物など、かなり危険な物品を置いたり作ったりしているし、万が一の事故があった場合に、他に影響が及ばないように、こういう場所をわざわざ選んでいるわけだが。

「でもよ、これからの生活を考えたら、この家は住居の機能だけに絞って、作業環境は近くに別の建物を建てて移った方が良いと思うな」

「なんだ? 早速営業か?」

 ラファエルの提案に苦笑する俺だが、アイツはいたって真面目だった。

「いや……ガキなんてなぁ、ホント、いつ何するかわかったもんじゃないからな。俺もラヴィが小さい時は、作業場と住居の接続部分を封鎖したりもしたもんさ。おまえの場合は扱ってるモノの危険度は俺んとこの比じゃねえからな。絶対生活空間とは分けといた方が良い。これは、子育て経験者からの進言だ。もちろん、営業って側面も否定はしねえがな」

 そう言って、ラファエルはがっはっはと大声で笑う。

 まったく、悪びれもしない。

 が、それがかえって、嫌みがない。

「そうか……確かに、あんたの言う通りかも。そしたら、ソフィーとも話し合って、真剣に検討することにするよ」

 俺はラファエルに頷き返す。

 ラファエルも、俺の前向きな返答にうんうんと頷きながら。

「まあ、そうした方が良いだろうな。取り返しのつかない何かが起こる前に、打てる手は打っておいた方がいい」

「あんたの仕事も増えるしな」

「ま、お互いに悪い話じゃないだろ? ジェルンのことだから、俺の所に持ってくる時には既に図面くらいできてるだろうし、それだと俺も頭使わなくていいから楽だしな。それに、またこの温泉に入りに来れる」

「ラファエル……あんた、下心ちょっとくらい隠せよ」

 俺のツッコミに、ラファエルは笑って。

「ジェルン相手に隠したってしょうがねーだろ。これくらいの下心で気を悪くするおまえでもあるまい」

「まあ、確かにそうだが……」

 こういう信頼のされ方が良いのか悪いのか。

 よく分からんが、あまり気にしないことにしておこう。

 実際、俺としてもラファエルの裏表のないところが気に入っているし。




 そんなわけで、外風呂が完成した翌日、いよいよ温泉から湯を引いた樋を外風呂の浴槽まで延長して、湯を注ぎ込む。

 丸い大きな石を並べて間をセメントで固めた浴槽に、徐々に湯が溜まっていく。

 これなら、漏れもなさそうだ。

 そして、浴槽部いっぱいに湯が溜まると、外縁部から少しずつ周囲へ湯が溢れ、溢れた分は周囲の玉砂利を敷き詰めた層へと流れ込んでいく。

「うん、大成功……だな」

 その様子を見て、この外風呂を計画したイメージ通りに仕上がっているのを確認できて、ホッとした。

「これなら水はけも心配ないし、雰囲気もいいじゃねぇか」

 ラファエルも感嘆の声を上げる。

「ね、ジェルン。これ、もう入っても大丈夫なの?」

 ソフィーが俺に尋ねる。

「ああ、大丈夫だ。先に女性陣3人で入ったらどうだ?」

「でも……いいの?」

 少し遠慮がちなソフィー。

「いいさ。このお風呂に入ってってもらうってのはパメラさんたちへの約束でもあるし、せっかくだから綺麗な状態なとこ入ってもらおう。俺らはその後男どもで入るけど、その時こっちでみんなで一杯やろうと思うから、出たあとその準備頼んで良いか?」

「うん、わかった!」

 ソフィーが頷く。

 それじゃあ……ということで、一旦男どもはその場から退散。

 リビングに戻って、俺がコーヒーを用意して、それを飲みながらしばらくのんびりと寛ぐことにする。

 しばらくすると、外風呂のある水場の方から、甲高い声できゃっきゃとはしゃぐような声が聞こえてくる。

 女性陣、盛り上がってるみたいだな。

 すっかり楽しんでくれているようで、良かった。

 小一時間ほどして、女性陣たちがお風呂から上がって、着替えて戻ってきた

「すごい気持ち良かったぁ! 広いし、いいお湯だし、最高だよ!」

 戻ってきたソフィーの第一声がそれだった。

「気に入ったか? ゆっくりしてたみたいだけど、楽しんでもらえたなら作った甲斐があったってもんだ」

 そう言うと、ソフィーは何度も頷いて。

「うん! 3人入ってもめちゃくちゃ広くて、ゆったり身体伸ばせるから、ラヴィちゃんたちもすごくリラックスしてたよ!」

 工房の部屋の向こう側で、ラファエルにラヴィちゃん、パメラさんの二人がちょっと興奮気味にいろいろ楽しそうに話しているが、あの様子だと、あの二人もあの風呂場を楽しんでくれたみたいだ。

「そうか。それなら良かった」

 ホッと胸をなで下ろす。

「すっごい気持ちいいから、ジェルンたちも早く入りに行きなよ。すぐにお酒の用意して持って行くから!」

 ソフィーはそう言って、俺の背中を押す。

「じゃあ、俺たちも入るか。ソフィーが酒の用意をしてくれるから、中でみんなで飲もう」

 俺はラファエルたちに声をかけると。

「おおっ! あそこで湯に浸かって一杯か……いいねえ!」

 ラファエルと仲間の大工たちも歓声を上げる。

「そうと決まれば早速行くか!」

「おうよ!」

 その声を合図に、男どもはこぞって風呂場へ向かったのだった。


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