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人間大量破壊兵器の異名を取る男、ケモミミ嫁を拾ったので、生活環境を整え始めたら、いつの間にか癒やしの宿を作ってしまった件について  作者: 木場貴志
Mission 1.モンスター大量発生! ダンジョンからモンスターの大群を排除せよ!
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Mission 1.モンスター大量発生! ダンジョンからモンスターの大群を排除せよ! その2

主人公:ジェルン


バトルエンジニアという、その辺にあるもので何でも武器にして戦える戦闘のエキスパート


直接的に戦うと言うよりも罠や飛び道具や爆弾などを作って戦う


他、薬などを使った回復にも長けている、戦う技術屋さん


ダンジョン踏破には欠かせない職業


ただ、時には大量破壊を伴う仕事も多々こなすこともあり、町の人からは怖れられていて、あまり町での居心地はよくないらしい……


 そんなわけで、早速翌日から俺はダンジョンのコボルドの大群退治のための準備に取りかかった。

 昨日あんな現金なことを言って押しかけてきた女子二人、ちょっとどのくらい働いてくれるか心配だった。

 特にミランダの方。

 とりあえず、こちらが頼んだことをきっちりこなしてくれればまあいいか……くらいに考えていた。

 ところがだ。

 この二人、最初の朝から俺が起き出してくる前に部屋から起きてきて、朝食まで作って起こしてくれるとか、頼んですらいないことまでやってくれた。

 唯一問題があるとすれば……起こし方が耳元でフライパンお玉でガンガン叩いてうるさすぎた……ということくらいだ。

 しかしだ。

 いきなり叩き起こされて、最初は何が何だか分からなかったが、ムリヤリ起こされてダイニングに連れて来られて、そこに朝食が綺麗に整えてあって、ようやく状況が飲み込めて。

「……なにこれ? おまえらで作ったのか?」

「そうだよ」

「ジェルンの口に合えば良いんだけど……」

「いや……こんなの頼んでもいなかったのに……いいのか?」

「もちろんだよ。そのために作ったんだし」

 そう言って胸を張るミランダ。

「けど、なんで……?」

 そう尋ねると。

「だってさ、昨日家の中見て回ってたら、お風呂場もキッチンもすごく良い感じに整っててさ。だから、使ってみたくなっちゃって」

「それで、昨夜は疲れたのもあって結構早くに寝ちゃったでしょ? それで、今朝は早くに起きて、ミランダと一緒にお風呂に入ってから、こっちで朝ごはん作ってたの」

「まあ、こんな上等な宿に入れてくれたから……ちょっとした宿賃ってとこ?」

 ミランダとメリッサがそう答える。

 そんなわけで、二人が作ってくれた朝食……これがまた美味かったのだが、その後、二人には今日やっておく手続きと買い物リストを紙に書いて渡し、ギルドへ行ってもらって、俺は駆除の際に使う道具の製造に取りかかる。

 いや、道具というよりは、実際のところ、罠や障害物といった類いなんだが。

 これらは最終的には現地で組み立てるわけだが、そのパーツをある程度ここで作っておくのだ。

 そうでないと、素早く設置することなんてできないからな。

 今回みたいな大がかりな駆除案件の場合、大抵準備のほとんどはこういう現場で組み上げる仕掛けのパーツ作りに費やされる。

 過去に手がけた案件では、こういう作業の合間にギルドや官庁に行って、人集めやら、あれやこれやの許可申請などをこなす必要があるのだが、今回、この辺をミランダとメリッサに任せられるのは、作業時間を割かなくて済むのですごく助かる。

 でもって、あの二人はその後も食事やら掃除やら、そういうのを一手に引き受けてくれたので、本当に準備作業以外のことに煩わされずに済んだ。

 おかげで、当初は1週間以上たっぷりかかると見積もっていた事前準備が5日で終わってしまった。

 ミランダとメリッサの方も、ギルドの仕組みをよく分かっていて、人集めの方も滞りなく進めてくれて、おかげで、俺が準備作業を終えた頃にはすぐに実行する準備が整っていた。




 とりあえず、準備が整ったのなら、さっさと事は実行してしまうに限る。

 この前出入りした入口は封印の仕掛けで封鎖しておいたけど、他にまだ見つかってない出入り口があるかもしれないし。

 そんなわけで、さっそく集めた20人余りと共に、封印を解除してこの間のダンジョンに踏み込んでいく。

 幸い、入口付近で彼らが徘徊したり暴れたりしたような痕跡は見られず。

 どうやら、こっち方面にはあの後コボルドたちはほとんどやって来ていないようだ。

 迷い込んだ奴はいたかもしれないが、その場合でも、行き止まりと知っておとなしく引き返したということだろう。

 ダンジョンを1層、2層と、少しずつ奥へと踏み込んでいくごとに、徐々にコボルドたちとぼつぼつ遭遇し始め、何度も遭遇戦が繰り広げられる。

「おい、そろそろこの辺で仕掛けないのか?」

 今回も戦闘班のリーダーを務めるアルバートが俺に尋ねる。

「いや、まだだ。もっとたくさん出てくるポイントまで進まなければ意味がない。ひっきりなしに戦いが続くくらいにな。そのために戦闘班に通常の4パーティー分の頭数を用意してるんだ。交代で休めないことには、戦い続けるのは大変だからな」

「軽く言ってくれるなよ」

 まあ、アルバートが口を尖らすのも分からなくはない。

 今日の戦闘班の仕事はかなりハードだ。

 仕掛けの設置に適当な場所までは資材の運搬役も兼ねているし。

 もちろん、ギルドでの契約でも仕事内容には書き加えてあるし、報酬も高めに支払っている。

「まあ、今回はそういう仕事で頼んでいるしな。頼りにしてるよ」

「分かってるがなぁ……。おっと、またおいでなすった!」

 再びコボルド数匹と遭遇して、話は一旦中断される。

 ただ、前進していくごとに、遭遇する数は確実に増えてきている。

 どこまで進めるだろうか。

 前回ダンジョンに潜った時にマッピングしておいた地図と周囲の様子を見くらべながら、そんなことを思う。

 少なくとも、この間到達した場所辺りまでは深く進みたいところだが。

 そして、4層目。

 ここの途中までは先日訪れてマッピングは済んでいる。

 さすがにここまで来ると、ひっきりなしにコボルドたちが次々と奥から出てくる。

 本当に、倒しても倒してもきりがない……というのを地で行くフロアだ。

 ここからは戦闘班はできる限り戦いながらじりじりと前進してもらい、俺はフロアを繋ぐ階段のたもとでフロアの封鎖準備を始める。

 このフロアを制圧して、さらに奥へ進むのは困難と判断したのだ。

「なあ、ジェルン」

「なんだ?」

 戦闘班からただ一人俺の側に残したアーチャーのルートが、俺の作業を手伝いながら、俺に声をかけてくる。

「ここを封鎖しちまったら、ここから奥へはこちら側からも入れなくなるって事だよな?」

「まあ、そうなるな」

「しかし、そんなことやっちまって、本当にいいのか? ダンジョン封鎖しちまったら、それこそ冒険者たちは商売あがったりだろう?」

 ルートの言うことはまあ冒険者の立場からすれば、まあもっともだが。

 しかし、だ。

「とは言っても、もう既に今の状況では、あのダンジョンは潜るには危険すぎるだろ。どっちみち使い物にはなってないと思うが」

「まあ……今の状況なら、確かに」

「それだけならまだ良いが、時折ダンジョンの外にまで大挙して出てきて、町にまで騒ぎを起こしている以上、ほっとくわけにはいかない」

「まあ、そうだな……」

「ま、どうしてもダンジョンを再開するんであれば、しばらく時間が経ってから、封鎖してるところを壊して、そこから奥を調べてみればいいんじゃないか? それで大丈夫そうなら、また元通りに探索できるさ」

「そうか。まあ、それならなんとかなるか。さて、こっちはできたぞ」

「そしたら、次は……」

 ルートに次の作業を指示する。

 そんなことを繰り返しながら、最後に通路の両側の幅を狭めるように組み立てて固定した金属枠の中に土嚢を積んでいく。

 退避ができるように階段のたもとから数メートルの区間にダンジョンの通路中央に最低限の幅だけ残して、両側を土嚢で塞いだ格好だ。

 あとは、退避した後にここを埋めれば良いわけだが、その資材は既に階段の上に置いてある。

 ここの準備はこんなもんか。

 あとは……いよいよ本番か。

 よし、必要なものは……持ったな。

 持って行く装備を確認して、俺はルートを呼んだ。

「ルート。それじゃあ、ここはこれで終わりだ。行くぞ」

「おう」

 俺は先に進ませた戦闘班の後を彼と一緒に追っていく。

 戦闘班は結構頑張ってくれていて、4層目の入口付近からだいぶ奥に向かってコボルドの死体がそこら中に散らばっている。

 思っているよりも結構奥まで押し込んでくれているようだ。

 コボルドたちの方も、これだけ仲間が次々やられていくと、敵わないと見て逃げ腰なのかもしれない。

 洞窟が分岐した箇所は、俺が指示した通り、片側はバリケードを築いて塞いである。

 つまりは、そちらにはコボルドたちがあまり逃げ込んでいないということ。

 戦闘班はコボルドの撤退する方向に向かって押し込んでいくからだ。

 そんな分岐を2カ所ほど過ぎた辺りで、奥から戦闘の音が聞こえてくる。

 間もなく、おぼろげな炎の明かりが見えてきて、その周辺に休憩中の戦闘班の面々の影が見える。

 休憩中の戦闘班の面々の大事な仕事の一つが、焚き火を焚くことだ。

 戦闘中の仲間の背後で焚き火を焚いて暖を取りながら、戦闘の現場を明るく照らすのだ。

 コボルドのように、炎を怖れる敵の場合は、敵を怖れさせる効果もあるし、戦っている仲間のすぐ背後に焚き火があることで、こちらは順光、敵は逆光で戦うことになる。

 それだけ、あちらからはこちらが見辛い環境にするだけでも戦っている仲間への手助けになるのだ。

「あ、ジェルン」

 ちょうど休憩を取っていたミランダが俺の姿を見つけて声をかけてくる。

「思ったよりも順調だな」

「まあね。こっちも頭数いるし。ジェルンがこっち来たということは、そろそろ撤収準備?」

「ああ。焚き火はそのままにして、荷物をまとめてくれ」

「わかった」

 ミランダが仲間に声をかけて、持ち帰る荷物をまとめる。

 荷物がまとまったのを見計らって。

「よし、ルート。こいつを思いっきり奥に撃ち込んでくれ」

 ルートに数本の矢を渡す。

 矢の先には鏃の代わりにちょっと重たい黒い物体が付いている。

「なんだこれ? ……先っぽの中に入ってるの、何か液体か?」

 ルートが首を傾げる。

「着弾すると割れて揮発する。吸うとヤバいから、撃つが早いが撤退するぞ。だから、なるべく奥まで飛ばして欲しい」

「OK」

 敵の攻撃が途切れた頃合いを見計らって。

「よし、撤退!」

 俺の号令と同時に、戦闘班が全員ダッシュで上階に退避する。

「ルート、頼む」

「任せろ!」

 ルートがさすがの早撃ちで次々と渡した矢を撃ち込んでいく。

 あっという間に渡した7~8本を撃ち終えて。

「よし、逃げるぞ!」

 俺と一緒に最後に撤退する。

 俺は走って撤収する最中にも、幾つも赤い球を投げ捨てていく。

「おい、なんだそれは?」

 ルートが走りながら俺に尋ねる。

「一定時間経ったら火吹く球だ。あんまり時間がないから、とにかく走れ!」

「おい、やめてくれよ! そんなヤバいもん持ち歩いて走るとか! 一歩間違えたら大事故だぞ!」

 ルートが半ギレで怒鳴るが、こればかりは仕方がない。

 大急ぎで先程半分封鎖した場所を通り抜け、上の階へ上がると。

「全員いるか?」

 パーティーメンバー一人一人の顔を確かめ、人数が揃っているのを確かめると。

 そこに置いてあった緑色の球を下の階めがけて投げ込み、階段の石扉を閉める。

「今度は何を投げ込んだ?」

「説明は後だ。すぐにここに全員集まれ!」

 ルートの質問を遮り、全員を一カ所に集めると。

 空間転移の魔法石を取り出して、素早く座標設定をして、全員をダンジョンの外まで転移させた。

 パーティー全員ダンジョン外へ脱出した直後。

 ズドドドドォォォォォンッ!

 地鳴りのような音と振動の連続。

「ジェルン……おまえ、まさか……?」

 ルートは俺がやった処置に気が付いたようだ。

「結局、あれだけの数の大群を処置するには、ああするくらいしか方法がない。直上階に避難しただけじゃ、熱でやられる可能性もある。だから、一刻も早く脱出するために、全員で空間転移したんだ」

 ルートに撃ち込んでもらった矢の先に付けていた硬質の容器の中には揮発性が強く可燃性の催眠ガスが入っており、コボルドの集団を眠らせ、追っ手を断つと共に、ばらまいた発火瓶から出た炎に引火させ、一気に焼いてしまう……そういう計画だ。

 4層目の入口付近に放り込んだ緑色の玉の中には、割れると膨らむ発泡材が入っていて、膨らんで通路の両側に積んだ土嚢の間を埋め、それが熱で硬く変質して、完全に塞いでくれるという算段だ。

 そうすることで、4層目以下にいるコボルドを高温の爆風で焼き尽くすわけだが、当然4層目の天井はそのまま3層目の床の下であり、3層目に逃げただけでは下の階の熱が上の階の床に伝わってくるのは時間の問題。

 だから、一刻も早くそこを脱出するために、転移魔法を使うのが手っ取り早かったのだ。

「ってことは、これ4層目以下どころじゃなく、ここのダンジョンほとんど使い物にならないんじゃないのか?」

「………………まあ、熱が冷めれば問題ないと思うが、それまでは……ちょっとな……」

 俺はルートから視線を逸らしながら、そう答える。

「おいおいおいおいおい……。それやべぇぞ。冒険者連中から苦情が出まくるんじゃねぇか? 俺知らねぇぞ」

「そう言うな……。あんなに大量にいたんじゃ、ああでもしないと一気に駆除なんかできるわけないだろ……」

「それはそうだが……」

 ルートはそう言って口を閉ざすが。

 目が「これぜってーやべーことになるぞ」と言っている。

 俺もルートが言ってることは頭をよぎったさ。

 だけど、領主サマの命令となると、やらないわけにはいかず、こうするしかなかったんだよな……。





「ジェルンよ、良くやってくれた。約束の報酬は後程そなたの家に届けさせよう。それとは別に褒美を遣わす」

「ありがたき幸せ」

 領主サマの側近から大きな金袋が手渡される。

 それをありがたく受け取って。

「ところで……あれでよかったんでしょうかね?」

 念のため、領主サマに訊いてみる。

「良いも悪いも。あれだけのコボルドの大群を一網打尽にしてくれたのだから、言うことなど他にあろうか」

「まあ、それについても、もうちょい経過観察しておく必要があると思いますよ。我々が把握してない出入り口があるかもしれませんし、あのダンジョン以外の棲息場所があったりするかもしれませんから」

「あいわかった。何かあれば、またそなたのところに使いを寄越す故、よろしく頼むぞ」

「ははっ……!」

 領主サマは特にダンジョンについて気にしていないようだった。

 まあ、領主サマが良いなら俺としてはいいか……。

 金払いは良いしな。

 そんなわけで、俺は領主サマとの謁見を終わり、そのまま帰路についた。

 城を出て街中に出ると、既に今回のことは街中に知れ渡っていて、俺の姿を見るなり、町の人々はひそひそと互いに何か囁き合っている。

 その反応に、少しばかり嫌な予感がした。

 帰る前にミランダやメリッサ、ルートといった面々に挨拶していこうと思い、とりあえずまずはギルドに向かう。

 すると、どういうわけか、ギルドの店先にいて、俺の姿を見つけたミランダが慌てて俺の方に走ってきて、俺の腕を強引に引っ張って、ギルドとは反対方向へ引きずっていく。

 少しばかりギルドと離れた場所へ移動すると。

「あんた、こんなとこ来ちゃダメだって。あそこのダンジョンが探索不能になったことで、怒り狂ってる連中が結構居るんだ」

 ミランダがそう教えてくれた。

 ああ……やっぱりか……という思いと同時に、もうそんなことになっているのかと驚きもあった。

「もうそんなことになってんのか……。なんでそんなことに?」

 俺がミランダに尋ねると。

「あの後、誰かダンジョンの様子を調べに行ったみたいなんだ。それで……」

「どうだったんだ?」

「1層目から結構暑くて、2層目は灼熱地獄だと。2層目の半分弱進んだところで命の危険を感じて諦めたって話で」

「そうか……」

「そんなわけで、中に生えていた植物とかの類いはほとんど全滅。他の小動物なんかも姿を消していたらしくて」

「まあ、そうだろうな……」

 ある程度予想していた通りの結果だった。

「そんなわけだから、上層階でそういうのを収集して暮らしている連中も結構居るからな。その辺りの連中が怒り心頭なんだよ。あんたのことぶっ殺すって息巻いてる。あんた、しばらくギルドや酒場には出入りしない方が良いよ」

 そう忠告してくれたミランダ。

 彼女は俺の性格を見ていて、自分やメリッサなどの面々と顔を合わせに絶対にギルドか酒場の少なくともどちらかに顔を出すと予想していて、早く見つけて近寄らせないように使用と、店先で待ち構えていたらしい。

「すまないな、気を遣わせて」

「いいのよ。宿も居着かせてもらったし。それよりも、変な寄り道しないでさっさと帰りなよ。しばらくはあんまりこの辺うろつかない方が安全だよ」

 そう勧めてくれた。

「わかった。そうするよ」

 ミランダの気遣いに、ここは素直に従っておくことにする。

「ミランダはこれからどうするんだ?」

 ちょっと気になったので、訊いてみると。

「そうだね。たぶん、しばらくの間はこの町はダンジョンに潜ったりする依頼もなくなるだろうし、あたしも近くの別の町にしばらく拠点を移そうかと思ってるよ」

「ま、そうなるよな……」

 冒険者は探索できる場所がなければ仕事がない。

 ダンジョンが少なくともしばらく使い物にならなくなった以上、そうするのは当然と言えば当然である。

 この町も少々寂れてしまうかもしれないな。

 そう考えると、やっぱり俺のとった手段が正しかったのかはかなり疑問が残るところかもしれない。

 そんなことを考えて、少し深刻な顔をしていたかもしれない。

「そんな顔するなって。あんたはあんたのやれることをやっただけなんだから。実際にあんだけのコボルドの大群が湧いて出てる現場を見てるあたしらなら、あの状況のヤバさも分かるけど、見てないヤツには分かんないのよ。あんたはあんたの仕事をしただけ。それでいいじゃん」

 ミランダのヤツ、気を遣ってそんな風に言葉を掛けてくれる。

「ま、あたしが言いたいのはそれだけ。あんた、早いとこ帰っといた方が良いよ。あたしも明日には移動しちゃうから」

「そうか。じゃあ、もうしばらくは会えないな」

「ま、次になんか仕事できたらまたあたしに声かけてよ。そんな遠くの町には行かないからさ」

「ああ、そん時は頼りにしてるよ。じゃあ、また」

「そうだね。バイバイ」

 そんな話をして、俺は彼女と別れた。


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