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人間大量破壊兵器の異名を取る男、ケモミミ嫁を拾ったので、生活環境を整え始めたら、いつの間にか癒やしの宿を作ってしまった件について  作者: 木場貴志
Mission 6.ケモミミ嫁との快適住まい空間をつくろう!~ケモミミ少女を嫁に貰ったジェルンの最初のミッション
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Mission 6.ケモミミ嫁との快適住まい空間をつくろう!~ケモミミ少女を嫁に貰ったジェルンの最初のミッション その5

バトルエンジニアという、罠や飛び道具や爆弾などを作って戦う、戦う技術屋を生業にする男、ジェルンは、時として大量破壊を伴う仕事も多々こなすことから、冒険者や町の人から怖れられ、敬遠されているため、遠く離れた山の中に住んでいる。

そんな彼は、またひとつ大きな仕事をこなして戻ってきたとき、家の前の小屋に迷い込んで眠り込んでいたケモミミ少女・ソフィーを見つける……。

ソフィーを保護し、二人での生活が始まると、ソフィーはジェルンにどんどん懐いていって、彼女はジェルンへの恋慕を隠さなくなる。

可愛らしい少女の好意をむき出しにしたアタックに、徐々にジェルンもグラついていき……。

そして、ジェルンはついにソフィーを妻にすることにしたのだった。

ソフィーを妻に迎えたことで、家庭を持つことになったジェルンは、本格的に今後を見据えた住環境の整備に取りかかる。



主人公:ジェルン

バトルエンジニアという、その辺にあるもので何でも武器にして戦える戦闘のエキスパート

直接的に戦うと言うよりも罠や飛び道具や爆弾などを作って戦う

他、薬などを使った回復にも長けている、戦う技術屋さん

ダンジョン踏破には欠かせない職業

ただ、時には大量破壊を伴う仕事も多々こなすこともあり、町の人からは怖れられていて、あまり町での居心地はよくないらしい……




ソフィー

主人公の暮らす山の中に迷い込んでしまった獣人族の女の子

種族の中では発育が良くないらしく、きょうだいからもイジメに遭って、逃げ出したら気が付いたら知らない場所に出てしまっていたらしい

さまよった挙げ句、主人公の小さな家に迷い込んでいたところをジェルンに見つかり、拾われた。

以降、こちらの土地の言葉が分からないソフィーに言葉から山での生活に必要なことまで、優しく教え、保護してくれたジェルンに好意を抱くようになる。

町に出た時、変な噂の出ないようにと、ジェルンは建前上彼女を妻……ということにしていたのだが、その結果、逆にジェルンもソフィーを妙に意識し始めることに。

そして、二人は自然と一緒になることに……。


 1ヶ月ぶりの町に着くと。

 いつもの宿屋に馬車を止めて部屋に通してもらい、荷物を置く。

 この時点でまだ陽が暮れるかどうかといった時間帯。

 ちょうどいい時間なので、これもこの町に来たら食事にはだいたい立ち寄るいつものレストランで夕食にする。

 女将さんはすぐに俺を見つけると。

「あ、ジェルンじゃないの。久しぶり。いつこっち来たんだい?」

「ああ、ついさっき着いたところ。席、空いてる?」

「二人席ならそこが空いてるよ。あら、連れはこの前の可愛いお嬢ちゃんかい? 嫁にしたって聞いたけど、本当なのかい?」

 女将さんにそう尋ねられる。

 あれから1ヶ月、女将さんの耳にも伝わっていたらしい。

「ああ、まあね」

「そうかい……。ねえ、お嬢ちゃん。ジェルンに変なことされてないかい?」

 女将さんはソフィーにそんなことを尋ねるが。

 ソフィーはにこにこ顔のまま。

「そんなことは全然ありませんよ。ジェルン、とっても優しくしてくれます」

 と、即答する。

「そうかい。でも、本当になんかあったら言いなさいよ。おばちゃんがとっちめてあげるから」

 女将さんはそんなことを言うので、俺は思わず溜息。

「女将さん……俺そんな信用ないの?」

 そんな俺に、女将さんは。

「あんた……仕事人としては凄腕だけど、女性関係はからっきしだからねぇ……。こんなお嬢ちゃんを幼妻にしたって聞いて、大丈夫なのかと思ったよ。女の子をきちんと扱いきれるのか、とか、嫁にしたからって、欲求が暴走しちゃったりとか、あたしから見たらちょっと疑問があったからねぇ……」

 うわ……やべぇ。

 このおばちゃん、鋭いぞ……。

 実際、初夜の時のことがあるから、あまり強く言い返せないのが……。

 しかし。

「心配ないですよ。ジェルンは夜もとても優しいですから」

 ソフィーは即座に女将さんに笑顔でそう答える。

 すると、女将さんは大きく溜息一つ。

「……そうかい。あんた、さっさと手を出したのかい。まだこの子、赤ちゃん産ませるにはちと早いとは思うがねぇ……。余計なお世話かもしれんけどさ」

 どうやら、ソフィーはまんまと誘導されてしまったようだ。

「いや、嫁にしたのに手を出さないってのもちょっとおかしいだろ。それはそれで傷つけるってもんじゃないか?」

 さすがにそれには俺も少し反論するが。

「まあ、それも一理あるけども……。子供作るのは、もうちょっとカラダができてきてからにしといた方がいいと思うよ。あんたの方が歳食ってんだから、そういうところも気を遣ってやんないと」

 女将さんにそう釘を刺されてしまう。

 ただまあ、女将さんの言っていることも言われてみればその通りなところもあるわけで。

「まあ、その辺はちゃんと考えるよ」

「ええ、そうしておやりよ。で、今日はなんにするんだい?」

 女将さんはそう言いつつ、俺とソフィーを席に通す。

「そうだな……」

 軽くメニューに目を通して、ソフィーにすぐに渡す。

「俺はハンバーグセットで。ソフィーはどうする?」

 ソフィーは少しメニューを見た後。

「じゃあ、わたしもジェルンと同じで」

 俺と同じハンバーグセットを選択した。

「あいよ。じゃあ、しばらく待っててね」

 女将さんはオーダーを通しに戻っていった。

 ……あれ? そう言えば……。

「いいのか、ソフィー。この前ここに来た時も同じだったろ?」

 この前、初めて彼女をここに連れてきた時を思い出したのだ。

「うん。美味しかったから、もう一度食べたくなったの」

「そうか。それならいいんだが」

 確かにここのハンバーグは絶品だからな。

 俺としても自信を持ってオススメできる。

 もちろん、他のメニューもみんな美味いんだが。

 すると、今度はソフィーが俺の顔色を窺うようにして、こんな事を尋ねてくる。

「ねえ、ジェルン。なんかわたし、変なこと女将さんに言っちゃったかな……?」

 まあ、確かにまんまと女将さんの張った罠にかかって、夜の事情を白状してしまったとは言うものの。

 その辺の配慮を完璧にするというのは、今のソフィーにはまだ難しいことだろう。

「いや、いいんだ。ソフィーは気にしなくていいよ」

「そう……? ジェルン、困ってない?」

「特に困ってはいないな。大丈夫だよ」

 女将さんの言うことももっともなところもあるし。

 これから、ソフィーとの将来を考えるとなると、そういうことまで考えてやらなきゃいけないということだ。

 そんな感じで、料理が出てくるのを待っていると。

「あれ? ジェルンじゃないか。こっち来てたのか」

 見知った顔が現れる。

 ラファエルだ。

「お、ラファエル。久しぶり」

「今日来たのか?」

「ああ、着いたばかりだ。これから夕食か?」

「まあな」

 ちなみに、通された席の隣の席がまだ空いている。

 これは好都合かもしれない。

「そしたら、ちょっと明日そっち行こうと思ってたんだ。家具を頼みたくてさ」

「へえ」

「その話もざっくり軽くしときたいから、夕飯そこの席とここを合わせて、一緒に食わないか?」

「ああ、いいよ。ちょうど俺もジェルンに頼みたいことがあったし」

 そんなわけで、隣の席をこちらへ寄せて、ラファエルと相席することにした。

 ラファエルも女将さんにオーダーを通してもらい、それぞれ料理が揃ったところで。

「で、ジェルン。俺に何を作って欲しいんだ?」

 運ばれてきたグラタンをパクつきながら、ラファエルが俺に尋ねる。

「実は、うちに書斎を作ったんで、そこに置くソフィー用の仕事机と寝室に置く化粧台を頼みたいんだ」

「ふむ。仕事机はどんな作業するの?」

「そうだな……秘書的な書類仕事から、裁縫とかの針仕事とかかな」

「そうか。書斎となると、少し雰囲気とかは考慮した方がいいな……」

「そうだね。応接用のセットも置くことにしているから、少し装飾とかあっても良いかもしれない」

「ふむ……。サイズはどのくらい?」

「一応、大まかな配置予定図があるんだ。ソフィー、見せられる?」

「あ、はい。これ……」

 念のため寝室と書斎の配置図を持ってきていたが、早速役に立つ時が来た。

「どれどれ……。ふむ……」

 図面を横目にマカロニをまた頬張りながら、ラファエルはしばし考えに沈む。

「サイズ的には標準的だが……とにかく、まずは奥さんの寸法をとらないといけないな。椅子の高さと机の高さが合わないとどうしようもないし」

 つぶやくようにそう言うと、ラファエルは俺の方に顔を上げて。

「そしたら、明日はうちへ来る予定だった?」

「ああ、まあな。ここで逢えるとは予想してなかったし」

「じゃあ、予定通りうちに来てくれ。採寸の準備しておくよ」

「わかった。夕方くらいに行くよ」

「ああ。待ってる」

 たまたまここで出会えたこともあるけれども、話がスムーズに進みそうで良かった。

 ……あ、そう言えば、ラファエルも俺に頼みがあるって、さっき言ってたっけ。

「ところで、ラファエルも俺になんか頼みがあるって話だったけど?」

 今度は俺の方からラファエルに尋ねてみる。

 すると。

「うん。実は、探してもらいたいものがあるんだ」

「探してもらいたいもの? なんだ? それは」

「この間依頼された家具なんだけど、ものすごい大きな一枚板が要るんだ。その板を取るための巨木、おまえの住んでる山にないかな?」

「ああ、そういうことか……。確かに、うちの山には大きな木はたくさんあるからな……」

「めぼしい木を幾つかチェックしてもらって、知らせて欲しいんだ。そしたら、実物を見た上で切って持って行こうと思うんだ」

「ふむ。サイズとかの条件はあるか?」

「一応、サイズの条件はあるんだけど、それ以外にも形の条件があるから、サイズ条件と大まかな型の要件だけ明日渡すから、それに合いそうなのを幾つも見つけておいてくれるとありがたい。結構山には入るんだろ? 日常のついでに1ヶ月くらいかけて探してくれればいいよ」

「ああ、それならお安い御用だ」

「あと、切った時に一次加工だけは近場でやっていきたいんだが……」

「だったら、うちの庭先を使うといい。場合によっては泊まっても行くだろ?」

「そうだね。加工含めると2~3日かかるかもしれないしな」

「わかった。そのつもりでこっちも考えておくよ」

「頼むよ」

 そんなわけで、互いの用件の段取りもスムーズに決まる。

 そのまま、食事を共にした後、ラファエルと別れて俺たちは宿に戻る。

 今夜はゆっくりソフィーと仲良くしてぐっすり休んで、明日は午後まで予定も特にないし、少しゆっくり起きようか。

 どのみち今夜も夜は長いだろうから。

 宿に戻る道々、俺の腕にしがみついて、べったり寄り添う可愛い幼妻の幸せそうに笑う笑顔を見ながら、そんなことを思う宿への帰り道だった。


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