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Mission 5.ジェルン、人生最大の決断

バトルエンジニアという、罠や飛び道具や爆弾などを作って戦う、戦う技術屋を生業にする男、ジェルンは、時として大量破壊を伴う仕事も多々こなすことから、冒険者や町の人から怖れられ、敬遠されているため、遠く離れた山の中に住んでいる。

そんな彼は、またひとつ大きな仕事をこなして戻ってきたとき、家の前の小屋に迷い込んで眠り込んでいたケモミミ少女・ソフィーを見つける……。

とりあえず、ソフィーを保護することにしたジェルン。

差し当たって、麓の町に繰り出してソフィーの服などの生活必需品を買いそろえ、ここから彼女と二人での生活が始まる。



主人公:ジェルン

バトルエンジニアという、その辺にあるもので何でも武器にして戦える戦闘のエキスパート

直接的に戦うと言うよりも罠や飛び道具や爆弾などを作って戦う

他、薬などを使った回復にも長けている、戦う技術屋さん

ダンジョン踏破には欠かせない職業

ただ、時には大量破壊を伴う仕事も多々こなすこともあり、町の人からは怖れられていて、あまり町での居心地はよくないらしい……




ソフィー

主人公の暮らす山の中に迷い込んでしまった獣人族の女の子

種族の中では発育が良くないらしく、きょうだいからもイジメに遭って、逃げ出したら気が付いたら知らない場所に出てしまっていたらしい

さまよった挙げ句、主人公の小さな家を見つけたが、留守だったので、鍵の掛かっていなかった道具小屋に忍び込んで、眠り込んでいたところをジェルンに見つかり、拾われることに。

「ソフィー。そこ、押さえて」

「ハイ。これで……イイ?」

「オッケー。そのまま持っててくれ」

 今は、手袋をはめたソフィーに板材を掴んで押さえてもらいつつ、設計図の寸法に合わせて部材を切り出す作業の真っ最中。

 あまり危険なことはさせられないが、俺が梯子や屋根に登っての作業の時の道具出しとか、こういった簡単な作業補助など、彼女の担当である部屋の内装の準備作業の手を止めて、積極的に買って出てくれている。

 それに、あの告白の日から1週間くらい、さらにソフィーはこちらの言葉をうまく操れるようになった。

 たどたどしさはまだ残るものの、不通の日常会話程度なら、だいたいこちらの言葉で話せるようになった。

「ソフィー。そこのヤスリ、取って」

「コレ?」

「ああ、それ。サンキュ」

「はい。……あっ」

 指先が触れあった瞬間、ソフィーが慌てて手を引っ込めてしまい、ぽとんと音を立ててヤスリが地面に落ちる。

「あ、ゴメンナサイ……」

 慌てて拾い直して、ヤスリを俺に渡してくれる。

 そんなソフィーの顔はほんのりと赤くなっていて。

「やっぱり、ちょっと……ハズカシイ……デスネ……えへへっ♪」

 ソフィーはそう言って照れ笑いする。

『なんか……すごく、わたし、意識しちゃってますね……』

 今の気持ちをこっちの言葉でどう表現したらいいのか分からなかったようで、そこは彼女の国の言葉で話したソフィー。

「俺も同じだから、別に気にしなくていい」

 俺も正直にそう答える。

『正直言えば、俺も指が触れた瞬間、すごくドキドキしたよ。だから、お互い様なんだ。やっぱり、俺もすごくソフィーのこと、意識してる』

 少し難しいので、俺も彼女の国の言葉にしてそう伝える。

「ホント? 嬉しい……」

 ソフィーが俺の言葉に顔をさらに赤く染めてはにかんだ笑みを浮かべる。

「ソフィーがうちに来てくれて、良かったよ」

「わたしも……飛ばされたトコがココで、よかったデス」

 そして、彼女は言った。

「きっと、これ、ウンメイ、だと思いマス」

 最初、ソフィーがここに飛ばされてきた時、いろいろ事情を聞いているので俺ももう知っていることだが、家では家族からあまり良い扱いを受けていなかったようだから、ここに来て、俺のところにようやく居心地のいい居場所を得られたような気持ちがあるみたいで。

 それだけに、俺を慕う気持ちがより強くなっているのだろう。

 そうやって、頼りにされる……というのは、俺も今までに経験したことがなかったが、俺もソフィーに頼られるのはまんざらでもなかったりする。

 仕事の方では、技能は頼られてはいるものの、どこか敬遠されたり、時と場によっては露骨に怖れられ疎まれがちな俺にとって、そんな風に心の底から頼られるというのは、今までになかったんだ。

 頼られる幸せを、俺もソフィーから教えてもらったようなものだ。

「ジェルン……ダイスキ……」

 目の前で、ソフィーが顔をこちらに上向けて、目を閉じる。

 明らかに、キスをねだっている。

 あれから、こんな風に、何かの拍子にそんなムードになった時、ソフィーはこうやって、俺にキスをねだるようになり、何度かキスをする回数を重ねていた。

 そして、今回も。

 俺は引き寄せられるように、そっと顔を近付けて、くちびるを重ねていた。




 夕食後、しばらく工房で昼間、作りきれなかった部材の切り出しの続きを片付ける。

 ソフィーには、先にお風呂に入っていてもらって、作業が終わった後、俺も入ろうかと思っていた。

 お風呂からは彼女がお風呂に入っている音が少し漏れ聞こえてくる。

 なんか、ちょっと歌ってたりするのだろうか?

 かすかに囀るような彼女の鼻歌の音も聞こえてくる。

 すっかりご機嫌だな。

 こっちも残った作業がいくらか残ってただけだから、早々に作業も片付いて、さっさと作業場を片付けて、リビングルームに戻る。

 今日は結構疲れたな。

「ふわ~ぁ」

 思わずあくびが出る。

 だいぶ眠気が……。

 ちょっと起きてるの辛いかも。

 まだソフィーがお風呂から上がってくるまで少しかかりそうだし、少しここで寝て待つとするか。

 そう考えて、俺はソファーにごろんと身体を預け、そのまま目を閉じる……。




「ん……んん!?」

 ふと気が付くと、部屋は明かりが落とされていて、すっかり真っ暗。

 だが、どうやら毛布が掛けられているらしく、暖かい。

 ……いや、それだけじゃないぞ。

 なんだ?

 この柔らかな感触……俺、毛布と柔らかい何かに包まれてる……?

 暗がりの中、少し目が慣れてくると、おぼろげに自分の今の状況がかすかに見えてくる。

 俺……誰かにかき抱かれている……のか?

 柔らかくて、いい匂いがする。

 お風呂上がりのお湯と石けんが混じったような香り。

 そして、顔には決して体格のわりに大きいわけではないけど、確かに感じる二つのふくらみ……頭上間近なところから、小さなスースーという寝息の音と共に、顔に当たる圧が大きくなったり小さくなったり。

 どうやら俺は、ソフィーに包まれて眠っていたらしい。

「ん……んん……」

 かすかな声を漏らしながらソフィーは小さく寝返りを打つ。

 ソフィーは俺の傍らに添い寝したまま、寝込んでしまったみたいだ。

 それでも、彼女はかき抱いた俺の事を離す様子はなさそうだった。

 こんなんされたら、俺、心揺らいじゃうじゃん……。

 年齢差とか、将来のこととか、そういうことを考えて、こっちは抑えてるってのに、こんなむき出しに「好き!」って気持ちを見せられたら、そういうことすべてかなぐり捨ててソフィーを俺のモノにしてしまいそうになる。

 そうでなくても、ここ最近はいつも何かにつけ、ソフィーのことを意識していて、事あるごとに彼女のことを考えてしまっている

 ……ああ、こりゃ決定的だ。

 俺、もう、心と欲求に素直になってもいいかな?

 俺、ソフィーのことが好きだ。

 ソフィーのことが欲しい。

 ソフィーが愛おしい。

 ただただ、抱きしめてしまいたい。

 いろいろと余計なものを振り払って、自分の気持ちだけを直視した時、素直にそんな感情が胸の奥から溢れてくる。

 だったらもう、迷うことはない。

 俺は躊躇うことなく、ソフィーのことを抱きしめ返す。

 そして、そのまま眠りにもう一度就こうとした時。

「うう……ん……ジェルン……? ……おきたの……?」

 ソフィーが目を覚ましてしまったようだ。

「悪い。起こしてしまったか?」

 彼女の胸の中から顔を少し上げて、声をかける。

「ううん。ダイジョウブ……。ちょっと目が覚めちゃった」

「ずっと、暖めてくれてたんだな。ありがとな、ソフィー」

 すると、ソフィーは首を横に振って。

「ううん、いいの。わたしがジェルンと一緒に居たかっただけだから……」

「そうか……」

 ホントにソフィーは俺の側がいいんだなぁ……。

「そんなに俺の側がいいか?」

 そう尋ねてみると。

「うん。ジェルンと一緒がイイ」

「ずっと一緒がいいか?」

「うん……。え、それって……?」

 ソフィーは俺の言葉の意味に気付いて、ハッとした顔になる。

「本当に、俺の嫁になるか?」

「ジェルン……わたしで……いいの?」

「はっきり言う。俺はソフィーが欲しい」

 そう告げると、ソフィーの表情が一気に崩れて、目からぽろぽろと涙がこぼれて落ちるのが、暗がりの中、かすかに見えた。

「うれしい……。うん、なる。わたし、ジェルンの奥さんに、なる!」

 ソフィーは何度もこくこくと頷く。

 そして。

「ねえ、ジェルン?」

 甘えるように俺に呼びかけてくる。

「ん? なんだい?」

「わたしのコト、お嫁さんにしてくれるなら、お嫁さんにするコト、わたしにしてくれる?」

 そんなお願いを俺にぶつけてくる。

 ちょっとした悪戯心が湧いた俺は、ちょっと意地悪な質問を聞き返す。

「お嫁さんにすることか。例えば?」

「た、タトエバ……。あう……」

 暗いので表情はちょっと見辛いが、ものすごく恥ずかしそうに、困ったような顔をしている様子がなんとなく分かる。

「タトエバ……キス……とか……」

「こうか?」

 こちらから顔を近付けて、軽くキス。

「……違うデス。もっと、顔くっつけるくらいに」

 うっすらだけど、ちょっと不満そうに唇を尖らせている様が見えた。

「じゃあ、こうか?」

 さっきよりもっと深いくちづけ。

 しっかり、くいっとくちびるを押し付けて、彼女のくちびるを奪うようにキスをする。

「んっ……あむ……ん……むぁ……」

 最初は驚いたのか、思わずなのか、顔を少し引っ込めるようにして離れようとしたソフィーだったが、そのまま身じろぎするように身体をぎゅっと硬くして、俺にされるがままキスされること数十秒、少し慣れてくると、徐々に俺の動きに応えるような感じに、ソフィーの方からもくちびるを重ねてくる動きをするようになり。

 くぐもった、少し甘い吐息が繋がったくちびるの間から漏れ始める。

「んん……ふぁ……あん、んふぁ……ふぁぁ……」

 至近距離なら暗くても彼女の表情もよく分かる。

 目を閉じたまま、俺の与えるキスを味わうようにして、甘い吐息を漏らすソフィー。

 時折、とろんとした感じにかすかに目を開くが、すぐにまた閉じて、キスを味わうことに意識を集中させているかのよう。

 いつしか彼女の両腕は、包み込むように俺の首に回されて、俺を抱え込んでいた。

 まだまだたっぷり味わいたいようだ。

 それなら、そろそろ頃合いだろうか。

 重ねたくちびるの隙間から舌先を出して、彼女のくちびるの隙間に軽く差し込んでみると。

 一瞬、ビクッと反応して、目を見開くソフィー。

 俺は、そんな彼女の瞳を強い視線で射貫くように見つめる。

 それで、彼女は俺の意志を悟ったのだろう。

 くちびるを閉じる力が緩んで、少し中が開く。

 そこをすかさず、俺は舌を彼女の口の中に差し込んでいった。

「ん……ふぁぁ……あふぁ……」

 くちびるの裏をなぞり、上顎の歯茎、そして下顎の歯茎を舌先で順番になぞっていく。

 舌先に絡まるソフィーの唾液は、どこかほんのり甘い感じがした。

「んふぁ……ジェルン……ふぅ……あ……」

 俺にされるがまま、俺の行為を受け入れているソフィー。

 時折身体をびくびくっと小さく震わせながら、感じるままに声を漏らし続ける。

「あふぁ……んっ、あ……んんぁ……んっ……」

 お互いの服越しに触れあう身体からも、少しずつソフィーの身体が熱を帯びてきているのが分かる。

 さらに、俺は彼女の前歯の間を舌で軽くノックする。

「んっ……」

 一瞬ビクッと反応した後、俺の意図を理解したのか、特に抵抗することもなく顎の力を緩め、上下の歯の間が少しだけ開く。

 そこをこじ開けるようにして、俺は舌を彼女の口腔内に差し込んでいき、歯の裏側、そして彼女の舌に絡めるようになぞっっていく。

「あっ……ふぁ……くちゅっ……あむ……ぺろっ……ふむぅ……」

 恐らく初めてたいけんするであろう、大人の深いキス。

 互いの口を開いて、深く繋がり合うキス。

 最初は俺にされるがまま受け入れていたソフィーだったが、徐々に俺の舌に彼女の方から舌を遠慮がちながらも絡めてくるようになる。

 ソフィーは薄く目を開いて、俺の舌の動きを口の中で受け容れながら、それを追いかけるように自分の舌を絡めつつ、与えられるキスの恍惚感を味わっているようだった。

「ふぁぁ……ジェルン……」

 ひとしきり彼女の口の中まで味わい尽くすと、俺はゆっくりとくちびるを離す。

「こんな感じで、どうだ?」

「ジェルン……いきなりレベル上げすぎよ……」

 ほんの少しおかんむりな感じで、頬を膨らませるソフィー。

「そうか? 夫婦ならもっとすごいことするだろう?」

 俺はちょっととぼけてそう返すと。

「それはそうだけど……いきなり一足飛びにそういうキスまでは……心の準備が……」

 ソフィーは口を少し尖らせて、そうごちる。

「怒ったか?」

「怒ってはいないけど……。もうちょっと、段階を踏んで欲しかったわ……」

「段階か……」

 いったいどういう段階なんだか。

「どんな風に?」

『そうね……。最初に軽くキスしたら、その先に行く前に、優しく頭とか、背中とか、撫でてもらって……それから、いっぱいわたしのことが好きって、囁いて欲しいわ』

 ソフィーは彼女の国の言葉で、そんなことを言う。

「なかなか段階が細かいな……」

 思わず苦笑する。

「もうちょっと、ムードを盛り上げて欲しかったのよ」

「そういうもんかね……」

 だがなぁ……ちょっと今の俺にはそういうまだるっこしいのは無理かもしれん。

 正直、このまま一気に突き進んでしまいたいんだ、こっちの方は。

 だから。

「だが、すまんな。正直、もう、今日の俺はそんなに悠長にできる自信がない……」

「え……それって……?」

 やおら俺はガバッと彼女を組み敷いた。

「奥さんにすること、して欲しいっていったのはソフィーだからな。ここからさらにどんどんレベル上げさせてもらうぞ。もう、こっちが我慢できないんだ」

 ディープキスのさらに上のレベル。

 それが何を意味するか、ソフィーにも分かるはずだ。

「いいな?」

 強い視線で彼女の目を真っ直ぐ見据える。

 有無を言わさないという俺の意志が、伝わったのだろうか。

 それとも、これから何が起こるかを悟ったか。

 恐らくその両方だろう。

 ソフィーはこれから足を踏み入れる未知の領域への恐れからか、恐る恐るという感じではあるものの、しっかりと首を縦に振って頷く。

「うん……いいよ……。夫婦だけですること、教えて……ジェルン……」

 彼女はそう言って、その身体から力を抜いた……。


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